「ついやってしまう」体験の作り方 を読んで
元任天堂の企画開発担当者である玉樹さんの本。
玉樹さんは主に「Wii」を担当し活躍された方みたいです。
この本は、ついやってしまう・思わず夢中になる・誰かにすすめたくなるような仕掛けを体系的にまとめた体験設計の入門書って感じです。
現在僕は体験を専門的にデザインするような立場ではありませんが、大学院にいた頃の研究では体験について考えることも多かったので読んでみました。
大学での研究ではふわっとしたぼやっとした概念みたいなのを考えていました。仕事としてゲームを作るように明確な狙いを持って考えることは少なかったので、本書のように体系化されている本は新鮮で楽しめました。
特に、実際のゲームの内容に沿って、どうしてこういう演出なのか、それがどういう体験を生んで何を感じてほしいのかが明らかになっているのは、とてもおもしろいし、何よりわかりやすい。
それとたぶんこの方は体験設計の考え方を伝えると同時に、「つい読んでしまう」ような仕掛けを入れて書いているような気がします。
まあその仕掛けのせいで、何も出来てないのに出来た気になってしまうような気がしちゃうんですが笑
それにしても、ゲームの開発側がどんな狙いを持ってどんな仕掛けをいれているかを解説した本って珍しいですよね。例えば漫才師が笑いのポイントを丁寧に解説するみたいな感じですもんね。
特にゲームはプレイヤーと一緒に作っていくというか、プレイヤー側からのアクションも重要な相互作用的なコンテンツなので、奥が深い。
やっぱりゲームって、遊んでから、10年以上経って全然思い出す。小説とか映画も、たしかに感動するんですけど、感動したということは憶えていても、あらすじさえ言えなかったりします。ところが、ゲームって、自分で操作して、体験してることだから、しっかり届いている。強いですよね。
やっぱりゲーム最高!
それと最後にもう一つ。
巻末により深く学びたい人に向けての推薦図書がまとめられていて良かったです。
それも章ごとの内容に分かれていて、読んでいて気になった部分をより深く知るためのヒントをくれるんです。
本を探すのって結構難しいので、専門の人がお勧めしてくれるのはかなりありがたいです。
僕も早速この推薦図書の中から読みたいと思います。