VX-8Dに秋月電子のGPS受信機(AE-GPS)を接続する

 Standard (ヤエス)VX-8Dは50/144/430MHzに対応したハンディトランシーバーで、APRS機能も標準装備されている高機能なモデルです。しかも純正オプションのGPS受信機を取り付けることができます。しかし、現在ではこのGPS受信機を手に入れるのは難しく、ネットオークションを探してもなかなか見つかりません。この無線機を手に入れたときにはAPRSに興味がありませんでしたが、先日の記事で書いたようにTNCのROMをUIDIGIに差し替えてAPRSのデジピーターとして運用するまでになってしまいましたので、VX-8DにGPS受信機をとりつけたいという気持ちが大きくなりました。
 GPS受信機自体は、ずいぶん前に秋月電子でAE-GPS(現在は廃盤)を買ってありました。GPS受信機からのデータは規格が決まっているのでメーカーが違っても接続すれば動くのではないかと考えていましたが、ネットを検索すると実際にはそうではないということを検証した記事がみつかりました。さらに、記事の中ではその違いを吸収してVX-8に認識させるソフトウェアも紹介されていました。説明によればArdiuno Nanoを使っているために5Vの電源が別に必要になります。Ardiuno系は全く触ったことがなかったので勉強がてら情報を収集していくと、SparkFun製3.3V動作のArdiuno Pro Mini 328 - 3.3V/8MHzという互換ボードが見つかりました。これなら5V電源を用意する必要も、レベル変換回路も必要ありません。あとは秋月のGPS受信機が動作するかだけの問題となります。
 AE-GPSの電源電圧も5Vと書いてありますが、基板上のレギュレーターで3.3Vを生成しています。最近のレギュレーターはドロップ電圧が小さいのでひょっとしたら動くかもと、出力される信号をモニターしながら電源電圧を下げてみたら、3.3Vでは問題なさそうです。ここまで確認できれば、あとは部品を手に入れて実験するだけです。

回路図

ソフトウェアの解説にあった回路図から、電源まわりとレベル変換回路を上図のように変更しました。ここで重要なのは、この互換ボードではレギュレーターを通して3.3Vを作る回路をバイパスできることです。レギュレータを通す端子がVccで、直接3.3Vを入力する端子はRAWという名前になっています。偶然なのか、右側1ピンがRAW端子なのでもとの回路図と同じところに配線すればいいことになります。
 あと、注意する点として、この互換ボードにUSBのインターフェースがなく、FTDI端子を使ってPCと接続しなければならないことです。これは適当なUSB-シリアル変換ボードを使えば簡単にできるのですが、なにせArdiunoを使うのが初めてだったので、そういう基本的なことから調べる必要がありました。たとえばこの記事に解説があります。開発環境をダウンロードして、PCと接続してサンプルプログラムを動かすところまで少々手間がかかりましたが、いわゆるLチカ、つまりLEDを点滅させることが最初の目標となるのは非常に合理的だということを再確認した次第です。この開発環境でGithubからダウンロードしたプログラムをコンパイルし、互換ボードに書き込む作業は簡単に終わりました。

GPS受信機とArdiuno互換ボードを配線した様子

 準備ができたので、あとは配線するだけです。VX-8Dとの接続ケーブルはCT-M11という型番です。近くの無線機店で注文したらすぐに手に入りましたが、もう在庫がのこりわずかだったということです。配線間違いがないことを何度も確認してVX-8Dに接続し、電源を入れるとGPS受信機のLEDが点灯し、少し待つと1秒間隔で点滅するようになりました。これはGPS信号を受信していることを示しています。さらに数分待つと、VX-8Dの画面に人工衛星のアイコンおよび受信できている衛星の数が表示されました。これで測位が成功していることがわかります。この状態でテンキー左下のボタンを押すと、APRSビーコンが送出されます。デジピーターを経由してiGateに到達すると、地図上にコールサインとアイコンが表示されました。
 秋月電子のGPS受信機は、今回使ったものは廃盤となっていますが、別のモデルが販売されています。おそらく問題なく動作するでしょう。もっとも、最近のハンディトランシーバーにはGPS受信機が内蔵されていますので、この記事が参考になる方はほとんどいらっしゃらないとは思います。
de JM8SMO

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