K. -h. I.

本業は固体物理学の実験屋です。最近、アマチュア無線に復帰しましたので、それに関して書き綴ってみたいと思います。

K. -h. I.

本業は固体物理学の実験屋です。最近、アマチュア無線に復帰しましたので、それに関して書き綴ってみたいと思います。

マガジン

  • TS-820V(S改)のレストア

    TRIO (Kenwood)の無線機TS-820V(S改)をレストアしました。

  • カーボン釣り竿直接給電アンテナに関する考察

    近頃話題になっているカーボン釣り竿直接給電アンテナについて、理論的に考察し、シミュレーションを行いました。さらにアンテナを試作して、このアンテナの可能性について論じました。

  • 上級ハムを目指す人へ

    第2級アマチュア無線技士(2アマ)の無線工学の基礎問題を、高校物理と高校数学の範囲で解いてみる試みです。

最近の記事

「カブ主」になりました(おまけ)

これまで3回にわたって「カブ主」になった話を書いてきました。残りは来シーズンなると思って文章を締めたのですが、入荷待ちだったマフラーが入ってきたというメールが届いたのでそのまま注文してしまいました。さっそく商品が届いたので開封してみます。 段ボールに印刷されているのはベトナム語のようで、ロケットのようなイラストと相まっていい感じです。マフラー本体に加えてサイレンサー、ステー、ガスケットが同梱されていました。さっそく取り付けてみます。特に追加工の必要もなく、あっさりと交換でき

    • 「カブ主」になりました(その3)

       前回は、C70のエンジンが焼き付いてしまったところまで書きました。物置に場所を作って保管しながら、どうやって走れるようにするかを思案する日々が続きました。エンジンを下してから分解し、問題のある個所を特定して修理可能かどうか見極めるというのが常識的な修理手順となります。しかし、そこは世界で最も生産された単車なので、エンジンだけ外してネットオークションで出品されているものが簡単に見つかります。1987年から1993年に作られたC70用エンジンならば、おそらくそのまま交換可能だと

      • 「カブ主」になりました(その2)

         前回は、1987年式のC70を手に入れて試運転をするところまでを書きました。単車は人がむき出しのまま乗って走る乗り物なので、きちんと整備をしておかないと安心して乗ることができません。近所のバイク店に行ってタイヤの交換その他をお願いしました。カブのタイヤなら自力で交換することも可能でしょうが、一度プロのメカニックの目で状態を確認してほしいという気持ちもあったのです。  実際のところ、タイヤ交換作業中にリアホイールに錆穴が見つかったり、ベアリングが使用限度を超えていたり、スピー

        • 「カブ主」になりました(その1)

           高校生の頃、原付免許をとって初めて手に入れた単車がスーパーカブ50でした。その後、AR80、CB125T、Z250LTD、MVX250Fに乗り、最後はエンジンを焼き付かせたのをきっかけに単車に乗るのを止めました。それから30年近く単車とは縁のない生活を送っていましたが、やはり学生時代以来止めていた無線に復帰してから、次は単車だと漠然と思いながら某ネットオークションを眺めていました。  無線機もネットオークションを活用して手に入れたので、単車もなんとかなるだろうと思っていたの

        マガジン

        • TS-820V(S改)のレストア
          4本
        • カーボン釣り竿直接給電アンテナに関する考察
          4本
        • 上級ハムを目指す人へ
          16本

        記事

          真空管アンプ第2号の改造

           先日、真空管アンプ第2号という記事を書きました。その後いろいろ調べていくと回路に重大な問題がみつかり、ちょっとした改造を施しました。回路はこちらです。 その問題というのは、整流管に接続されている平滑用コンデンサの容量が大きすぎることです。もとの回路では100μFが接続されていたのを、47μFを2本直列にしたものに変更しました。実はこれでもまだ大きすぎて、規格では10μF以内にするよう求めています。プレート電圧が210Vと低いことから、今回はこの値にしましたが、より高い電圧

          真空管アンプ第2号の改造

          古いデジタルオシロの画像キャプチャー

           今やオシロスコープといえばデジタルが標準となりました。それが普及しだしたころに導入した、岩通DS-8706を現用しています。このオシロには外部出力としてパラレルプリンタポートやRS-232Cが標準装備されていて、画像を簡単に印刷することができるようなっています。また、RS-232Cを経由してPCに取り込むためのソフトウェアも提供されていました。  しかし古い機種がサポート外になるのも世の常で、いつの間にかソフトウェアがダウンロードできなくなってしまっています。なければ作って

          古いデジタルオシロの画像キャプチャー

          ICOM CI-Vのデータを見る

           ICOM製の無線機に装備されているREMOTE端子は、CI-Vという規格で外部機器との通信を行うためのものです。PCと接続して周波数や通信形式を自動的に記録したり、あるいは設定したりするのによく使われていて、多くのソフトウェア(Turbo HAMLOG, CTESTWIN, WSJT-Xなど)が対応しています。  これがうまく動作しているときは気にならないのですが、何かトラブルがあったときには問題の切り分けをしなければなりません。ハードウェアなのか、ソフトウェアなのか。ある

          ICOM CI-Vのデータを見る

          Making a digital negative with GIMP

          The digital negative has been extending possibilities of alternative photography. It is a transparent film printed with an inkjet printer. The advantage of the digital negative depends on the tone curve to fit the properties of the sensitiz

          Making a digital negative with GIMP

          真空管アンプ第2号

           「はじめての真空管アンプ」という記事を投稿したのは、もう1年ほど前のことになります。何事も一度ハードルを越えてしまうと、今まで見えてこなかった世界が見えてくるものです。前回作成したのはトランスレス用の真空管50EH5を使ったもので感電や漏電の危険があるので、今回は真空管機器用のトランスを使って、また、出力トランスも一回り大きなものに変えて音質向上を図ってみました。 今回使ったのは、6X4という整流管と、6005Wという5極管です。6X4は秋葉原のラジオデパートで箱入りのも

          真空管アンプ第2号

          同軸コリニアアンテナを作る(その2)

           前回の記事ではスタブの調整をしているときに、このままでは目的の周波数に共振しないおそれがあるために中断しました。そこで、位相整合部(1)を作り直すところからやり直しました。  短くするのはできても長くするのは大変なので、位相整合部(1)を380mmとして作り直し、スタブを外してnanoVNAで特性を測ってみました。 これなら大丈夫かなと、スタブを取り付けて測定しました。 今度はいきなり共振に近づきました。全体としてはまだ容量性なのでスタブを10mm縮めて測定したら次のよ

          同軸コリニアアンテナを作る(その2)

          同軸コリニアアンテナを作る

          同軸コリニアアンテナは、1/2波長の同軸ケーブルを互いに逆位相に接続することで、水平面には無指向性ながら打ち上げ角を低くして指向性利得を稼ぐアンテナです。同軸コリニア研究会のサイトに行けば詳細な作り方が載っているので、この説明に従ってこれまで何本か作ってみました。しかし、説明に腑に落ちないところがあったので一度自分なりに整理してみると、nanoVNAを利用することで簡単に性能を出すことができることがわかりました。2m用の3段同軸コリニアアンテナを作成しましたので、その概略を紹

          同軸コリニアアンテナを作る

          詭弁は見抜ける(その3)

           私が『解放社会学研究 35』に発表した論文に対する「反論」動画について、全く「反論」になっていないことを見てきました。特に重要なことは、論文の核心をなすところに関して全く触れず、自分の動画ではしれっと「訂正」をしてさもつじつまが合っているようにしていることです。このことを見るために、動画中で表示されている箇所を黒線で囲ってみました。 タイトルと「はじめに」 「2 「アイヌ民族否定論」への影響 「5 論理の破綻」 「5 論理の破綻」、「6 多分野にまたがる攻撃」 「

          詭弁は見抜ける(その3)

          詭弁は見抜ける(その2)

          前回は、的場塾第32回のうち特にわかりやすいところについて指摘しました。論文の内容に対する批判ではなく、詭弁によって論文の印象を下げようとしているだけに過ぎません。第33回でようやく論文の内容について「反論」を言っています。例によって先に動画を観てしまうと詭弁に引っかかるおそれがありますので、あとでゆっくり味わってください。 ふざけたタイトル画面をよくみると「アイヌ 稲垣准教でも分かる」とあります。准教は准教授の間違いだとして、その前の「アイヌ」というのは第32回の説明書き

          詭弁は見抜ける(その2)

          詭弁は見抜ける

          2022年に発表した論文『DNA解析と「アイヌ民族否定論」:歴史修正主義者による先住民族史への干渉』(解放社会学研究 35)は、ダウンロード数が1万8千回を超え、本業の固体物理学(特に低次元系)ではとても考えられないほど多くの方々にご覧になっていただきました。もちろん最初から内容などまともに読む気がなく、ただケチをつけるだけの人もいることでしょうが、自分の観察範囲ではこの論文によって新しい動きがいくつか生まれています。そのうちの一つともいえるのが、同紙の最新号(第37巻)に、

          詭弁は見抜ける

          学生時代の挑戦

           書棚を整理していたら、学生時代に受けた第2級陸上無線技士の試験問題が出てきました。結果は残念ながら科目合格。有効期限はもう30年以上も前に切れていますし、これを最後に無線従事者の試験を受けていません。問題には書き込みも残っていて、苦戦した跡が伝わってくるようでした。私は応用物理学科に進み、固体物理学で学位を得ることになるのですが、この試験を受けたときにはもちろんそんな将来が来ることを微塵とも想像していませんでした。  応用物理学科でも電子工学の講義は必修だったし、大学院の入

          学生時代の挑戦

          100均「ON AIRランプ」で遊ぶ(その2)

           先日、100均「ON AIRランプ」で遊ぶという記事を投稿しました。TS-820の送信時に外部VFO端子に出てくる電圧を利用して光らせるというのは簡便で良いのですが、やはりアマチュア無線家らしく、電波を検出して点灯させてみたくなります。しかし、そんなに難しくないとたかをくくっていたのが大間違いで、試作品はまったく使い物になりませんでした。最終的にできた回路図を示します。 この回路は高周波をダイオードで検波して、トランジスタをスイッチングさせているだけです。この検波回路を動

          100均「ON AIRランプ」で遊ぶ(その2)