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なぜ人はバイアスによって間違えてしまうのか?~思考の不具合を解明する~【1月書評】

皆さんいかがお過ごしでしょうか。
今年はnoteで書評を書いていきたいと思います。
早速今年最初に読んだ本が面白かったので紹介したいと思います。

【イェール大学集中講義 思考の穴 わかっていても間違える全人類のための思考法】著・アン・ウーキョン

イェール大学で最も人気のある講義の一つ「シンキング」は1年で450人もの学生が受ける。その講師を務めるのがイェール大学の心理学教授アン・ウーキョン氏である。専門知識に加えて日常的な批判的思考スキルを養成できるこの講義は広く賞賛されている。

今回は第1章1項の内容を紹介します。(一部引用)



~学生たちがBTSのダンスを踊れると錯覚したワケ~
授業中に学生たちにバイアス(自分はできるという認知バイアス)の存在を意識してもらうためにダンスを用いた一つの実験を試みた。

韓国の人気グループBTSが歌う「Boy With Luv」のMVから切り取った6秒の動画を流した。ウーキョン氏はあえて振り付けが複雑すぎない部分を切り取る。動画を流し終わったら、このダンスを踊ることができた人に商品を用意したと告げる。そして同じ動画を10回流す。さらに指導用のスローバージョン流す。そしてこのダンスに挑戦する志願者を募るのだ。
10人の勇猛な挑戦者が前方に集い、歓声が上がる。
他の学生たちも自分も踊れると錯覚したに違いない。しょせんはたった6秒のダンスだ。そして曲が流れだす。

すると志願者のタイミングはバラバラ、誰かはまったく違うステップを踏み、何人かは3秒で踊るのをあきらめる。結果は予想外の散々である。

これはバイアスの一つ「流暢性効果」と呼ばれる。
人間は頭の中で容易に処理できるものは人に過信をもたらすというシンプルなものだ。同様の実験をマイケルジャクソンのムーンウォークを用いて1回視聴したのグループと20回視聴したグループに分け実験を行う。すると20回視聴したグループの出来は1回視聴したグループの出来と同等であったという。
この効果は日常のあらゆる場面で作用する。歌手の高音や、YouTubeの料理動画、誰かのダイエット前後の写真。イメージできるものはさぞ簡単に再現できるのであろうと無意識に錯覚してしまう。



本書ではこのようなバイアスの具体的な対処法についても著者が分かりやすく解説してくれる。心理学の難しいことは分からないけど、人間の思考のメカニズムってこんなにも複雑で面白いんだなと思ってもらえる一冊になっている。
ぜひイェール大学のシンキングの授業に飛び込んだ気持ちになって読んでほしい。この本を読めば明日から思考バイアスにかかり不合理な思考をしてしまう自分に気づくことができるかもしれない。
(本書8章立て以下参照)



  1. 流暢性の魔力-人はすぐ「これは簡単」と思ってしまう

  2. 「確証バイアス」で思い込む-賢い人が自信満々にずれていく

  3. 「原因はこれだ!」-関係ないことに罪を着せてしまう

  4. 危険な「エピソード」-「こんなことがあった」の悪魔的な説得力

  5. 「損したくない!」で間違える-「失う恐怖」から脱するには

  6. 脳が勝手に「解釈」する-なぜか「そのまま」受け取れない

  7. 「知識」は呪う-「自分が知っていること」はみんなの常識?

  8. わかっているのに「我慢」できない-人はどうしても不合理に行動する








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