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【映画感想】旅先で観るドライブ・マイ・カー 


ドライブ・マイ・カーを先日、映画館で観てきました。
結果、すごくすごく良かったので、映画の感想を残したいと思います。

私は普段そんな映画とか観ないし、感想とかを伝えるのも苦手なのですが、今まだ内容を覚えているうちにこの気持ちを残しておきたい!と思えるくらい引き込まれた映画でした。


1 シネマクレール岡山


というミニシアターで私はこの作品を観ました。
「え、岡山?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、私、先日岡山あたりまで一人旅に出かけていたのです。
(この一人旅のことも近々noteに書こうと思います!)

このシネマクレール岡山はもともと私が気になっていたミニシアターで、折角だし何か映画をみたいなぁと思っていたところ、丁度いい時間帯に上映していたのがドライブ・マイ・カーでした。

シネマクレール岡山

ドライブ・マイ・カー、最近よく観たって聞くしアカデミー賞も受賞したみたいだし、これに決定!というノリで観ることに。
なので、あらすじも全く知らないし、誰が出ているのかもあんまりよくわからないという状態で映画館の椅子に座ったのでした。

地域柄なのかアカデミー賞を受賞したからなのかは分かりませんが、ミニシアターとしては年齢層が高めの方が多かったです。
お客さんは30人くらいいたと思うのですが、その大半がご高齢のお婆様方。20代の女は多分私だけで、あとはおじさんが数名、大学生くらいの男性が1名。
スタッフの方も、事務制服を着た私の母と同世代くらいの女性。ミニシアターの所謂サブカルの空気感を全く感じないのが面白かったです。

前半の、親と一緒に見れないわ!と思えるような激しめ(?)のシーンの時、映画館という同じ空間で祖母と同い歳くらいの方々とそれを一緒に観ているというのは、なんか面白くてちょっと吹き出しそうになっちゃいました。笑


2 “無”の表現が素敵

※ここからは内容について言及することになるので、まだ観てない方は注意してください!

この映画を見て凄く好きだと思ったのが、
“無”の表現でした。

例えば、韓国手話の役者の方。
彼女が話す時、演技する時、その場が一瞬無音に包まれます。だからこそ彼女の表情や些細な動きに集中できるし、言葉が静かに私の中に入ってくる。

そして、無口なドライバーのみさき。
初めは主人公に対して心を開いておらず、尋ねられたことにだけ淡々と答える彼女。
でも物語が進むにつれてどんどん主人公に自己開示をしていく過程が凄く好きでした。
そして、みさき、めっちゃ聴き上手なんですよね。
聴き上手ってこういうことか、と思いました。
自分のことを全然話さないのに、相手のことを心から思い、そして欲しているであろう言葉を選んで相槌をうつ。だからこそ、主人公も彼女に興味を思って、彼女自身のことについて質問をする。


みさき、めっちゃモテそうですよね〜!!
私は普段から自分のことをベラベラと話してしまう節があるので、こういうみさきのような女性に凄く憧れます。

あと、劇中では私よりも歳下の23歳ということだけれど、計算するとおそらく平成9年生まれの同い年。
そういうこともあって、私はみさきに凄く感情移入しちゃいました。

余談ですが、みさき役の三浦透子ちゃん、どこかで見たことあるなぁ、と思っていたら架空OL日記の後輩かおりん役の人でした。
調べたら私と一歳しか変わらないのに、凄く大人びた雰囲気を持つ方のように感じます。


3 ドライブのシーン

映画の中でドライブのシーンが多く使われていて、クルクル回るクラシックカーの演出が凄く素敵でした。

私の好きな映画、ソフィアコッポラ監督の“Somewhere”を思い出したのですが、これは私だけなのかなぁ、、。


広島の街をドライブするシーンはすごく印象的でした。
2人でタバコを吸いながら、オープンカーの天井から煙を出すシーンがこの映画の中で私の一番好きなところです。


4 縁を感じた広島、瀬戸内海

実は去年の夏、友人に会うために広島を訪れ、そして友人達と夜に広島の街をドライブしたんです。私にとってその頃は、色んなことが重なって、辛くてずっと落ち込んでいた時期だったんですよね。

これが劇中の主人公達と重なる部分があり、その時のことを凄く彷彿させる映画だったなぁ〜!

また、つい1ヶ月程前に、別の友人達と香川や瀬戸内の島を旅行していた私。
そして今回の一人旅。

たたまたま岡山のシアターでこの映画を観たけれど、最近の私の瀬戸内ブーム(?)との縁をすごく感じました。
今このタイミングで、この場所で、この映画を観れたこと。
全部が全部繋がっているような気がします。

劇中劇の最後のセリフ

生きるのが辛い。でも時が来て死んで神様に憐んでもらって。そしたら貴方はようやく休めるから。


みんな哀しみを持って生きている。
大きさや深さは人それぞれ。
辛いけれど、絶望しても生きなければならない。

前日に見た瀬戸内海



3時間もの長い映画を観るのは人生初めて。でも長さなんて全く気にならないくらい没入できる映画でした。

旅先で、初めて訪れた岡山で、3時間も映画館の中にいるのは観光客としてどうなのかと思う一方、
岡山に住む人の暮らしを少し体験できた気もする時間だったので、これはこれでいい選択をしたなぁと思っています。

北海道での完全な無音のシーン。
その“無の空間”を映画館にいる皆さんと作れたこと、共有できたこと。もう2度と会わない方々だけれども、いい旅の思い出になりました。

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