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【おすすめの本】「妖怪ハンター」シリーズ/諸星大二郎を読んだ。


 映画「ヒルコ/妖怪ハンター」観た余韻で諸星大二郎の「妖怪ハンター」を読んでます。文庫サイズでは文字が小さくて、ひとつのページに詰め込まれた文字、文字、文字は老眼鏡なしではもはや読めない…。昔持ってたA5版の単行本をまんだらけに売ってしまったのをもの凄く後悔してます。

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 今回はその文庫版3冊を大人買いした。本日休みだったにも関わらず、合間に家事などこなしたとはいえ一冊読むのに足かけ5時間かかった。3冊全部読む気だったけど、とてもとてもでした。半端ない情報量。老眼鏡の世話にならなければならなかったとはいえ。

 「妖怪ハンター」というタイトルに反し、考古学者である主人公・稗田礼二郎は妖怪を狩ることはない。そもそも妖怪と戦う話でもない。彼は日本古来の伝承に潜む謎や怪異を持ち前の知識で読み解いていく。各エピソードに怪異の中心となる主人公がいて、稗田は彼らが恐怖に立ち向かう助けとなる。カッコいいぜ。そして、その主人公の物語上の立ち位置から市川崑版・金田一耕助へのオマージュを導き出し、映画化の際のキャラクターの書き換えを決断した塚本晋也監督の慧眼にも、今回再読して改めて恐れ入った。


 作者、諸星大二郎の深い洞察に基づいた古事記日本書紀民俗学からの引用、さらには聖書世界各国の神話もからめた着想は、物語に強い説得力奥深さを与えていて、しかも読者の知的好奇心を刺激する。決して安易にクトゥルフ神話に逃げたりしない。各エピソードの読後の余韻も素晴らしい。ストーリーテラーとしての手腕たるや。

 人気のある「生命の木」「奇談」と改題し実写映画化。主演は藤澤恵麻阿部寛。そこそこ面白かったし、主人公が女性になっているという邦画の悪癖はあるものの「ヒルコ/妖怪ハンター」のような大きな改変はなく基本的に原作に忠実だった。

(個人的にはエンドクレジットに知り合いのピアニストの名前を見つけた記憶の方が強い。出演者の一人にピアノレッスンを数回したそうで、名前が載るとは聞いてなかったそうだ)

 ただ、忠実すぎるのも考えものだ。「ぱらいそさいくだ」の場面は、漫画のコマの構図をそのまま使っちゃってっていうね…。映画的に一番盛り上がるところだから、そこは頑張ろうよと思わずにいられません。

 もとい、再読とはいえ、残りの2冊も楽しみじゃ。

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