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経済に関するメモ(3) 【経済と宗教】
本メモは経済の基礎的な内容に関するメモです。
1. はじめに 5項目
1-1. 経済とは契約、互いに資源を譲り合って得をするような信用関係を作る
→宗教とは契約履行の保証、善悪の判断を共有し利己的衝動を抑制する
1-2. 経済が不調だと信用不安により消費を抑え自己を保身し悪循環に陥る
→理性によって人々が再び協調し信用できるようにする、元を辿れば宗教
1-3. ピケティ、経済成長率<資本収益率
…経済成長によって得る富よりも、経営者の資本の取り分が大きくなり格差拡大
→宗教により貧者を結束させクーデターを起こす正当性を保証、資産課税を促進
1-4. 経済はモノの固有の論理に関わる世界
宗教は信仰という人間の内面に関わる世界
1-5. グローバリゼーション
…キリスト教文明が生み出した経済にそれ以外の文明圏が感染していくこと
→日本には律法が存在しない、最も早くうまく感染できた、なぜ勤勉なのかは謎が多い
→中国・インドの台頭、勤勉さが持つ日本の相対的優位は失われつつある
2. 古代 15項目
…経済が生まれる、経済から宗教が生まれる、神は人間によって創られる
2-1. 自然崇拝の多神教(ギリシャ神話)
→律法化された制度宗教(ユダヤ教、キリスト教)
神が一元的にルールを集約提示
2-2. 一神教(ユダヤ教、イスラム教、キリスト教)
…誰でも神の言うことを聞けば救われる、God(絶対神)に価値を置く、終末には地上は滅びる
→許され救われて神の国に入れるかどうかが最大の関心、地上の経済活動に価値を置かない
→地上の経済活動に価値がないかというとそうではない
2-3. ユダヤ教、ユダヤ民族に約束の地を与え地上の経済活動を配慮、神が約束し望んでいる
→イスラム教、シャリーアが与えられ地上の経済活動を配慮、二重の幸福論
→神が定めた通りに経済活動を送り利子を取らずに暮らしなさい
→キリスト教、経済活動を規定する宗教法がない、創意工夫し資本主義経済が生まれる
2-4. ヒンドゥー教
…わかりやすさが売り、バラモン教の後継、インド全体に広がる信仰、損得以外に価値を見出す
2-5. ユダヤ教
…財産所有の肯定、おカネ貸しや金利の肯定、金融の始まり
聖と俗は分離されたものではない
2-6. 儒教
…年功序列、組織愛
2-7. 仏教
…富の分配、バラモン教とカーストを否定、身分にとらわれない、絶対神を否定、自己啓発
2-8. 三宝印
…全てのものは互いに関係し常に移り変わる、執着を捨てろ、これに気づかないから苦しむ
→God(絶対神)を持たない、流動的に捉える
2-9. 大乗仏教
…経済活動も修業につながる、時代・地域に応じて教えも変化すべき、シルクロード商人の原動力
2-10. インドでは仏教はヒンドゥー教との差別化に苦しむ
…呪術・祈祷などを取り入れる、密教、生命尊重主義、菜食主義の伝統
→ガンジー、非暴力主義運動推進、キング牧師にも影響
2-11. 神道
…経済活動は自然界の神から委託されたもの
→労働は神に仕えること、勤勉は義務、神がコメ作りを人間に委任した
2-12. 日本に欧米型マネジメントを導入
…労働神仕説の長時間労働と、労働懲罰説による効率化・ヒエラルキーを無理に結びつける
→職場の非人間化が進む
2-13. 神仏習合
…神社が仏教の般若心経を唱える、仏教は葬式だけというレベルまで矮小化
死の穢れを祓うために仏教式葬儀を行う、戒名をつけブッダの弟子として来世に旅立たせる
→修業に無関係だった人間も悟りの道に至れる
2-14. キリスト教
…貧困層によるユダヤ教改革、格差拡大、哀れさを痛感し怒りに変わる、苦しみは死後に救済
2-15. カトリック
…教会は絶大な権力があり信者を救う役割を担う
ローマ教皇はキリストの代理人
3. 中世 6項目
…経済の歪みから宗教が生まれる、宗教からさらなる経済が生まれる
宗教中心の世界
3-1. キリスト教が資本主義の土台となる
…教皇に保証された分権体制のなかでマーケットが生まれて発展
→おカネ余りを建築へ、地方細分化と教会、支配権の拡大
3-2. キリスト教が土台で資本主義が乗っていた
資本主義が大きくなり関係が逆転した
…経済はみんなが参加するゲーム
宗教は個別でコミットする人だけが参加するゲーム
→資本主義は自律的に拡大するようになった
→先進国の貧困・飢餓に立ち向かう方法
❶先端的な技術革新・低賃金で利益を上げる
❷途上国に移転できない最先端技術で産業を創出
→誰かが豊かになるほど誰かが貧しくなる、ただし普遍的な説得力を持つ
3-3. 十字軍
…キリスト誕生の地エルサレムをイスラムから奪還せよ、主におカネ目的
イスラムはエジプト・シリアを中心に人・モノ・おカネが集まっている
3-4. アンコール・ワットはヒンドゥー教への投資
…タイ、ミャンマー、きれいな美術品、カンボジア植民地としたフランスの調査隊が持ち帰る
3-5. イスラム教
…経済の歪みから生まれる、急速な経済発展と格差拡大、神に譲渡
→利権闘争に貧困層を巻き込むための装置、おカネを払えば他宗教も OK
→人間が神に代わって世界を支配することを禁じる、地上を任された人間の責任を自覚させる
3-6. イスラム教、シャリーア、利子が禁止されている
ヒンドゥー教、カースト制、勤勉の倫理が働かない
儒教、政治優先、経済活動は庶民のもので価値がない、道教が利潤を司る
4. 近世 5項目
…宗教が経済を促進し、膨張した経済欲求を支配する、宗教中心の世界
4-1. オスマン帝国
…単一市場・単一通貨が反映をもたらす、他民族協調主義
→経済的な豊かさの追求は民族や宗教を超える普遍の原理
→相互の妥協を繰り返し引き出し蓄積していく制度を粘り強く設計
→成長が停滞すると機能せず民族や宗教の摩擦が表面化
4-2. ルネサンス
…ヨーロッパのリニューアル、神中心の世界観からの脱却、
人間性の自由や解放、イタリアの経済発展がきっかけ、
ローマ文化を元に新たな文化を醸成、大航海時代
4-3. 宗教改革
…カトリックの金権政治(既得権益)への反発、ドイツを巡る
4-4. プロテスタント
…教会は信者を救わない、ローマ教皇の権威も認めない、個人の信仰のあり方が大事
→労働は神の命令、勤勉は神を讃えること、利潤は神の恩恵なので再投資しなさい
→人間の労働は意欲があるかが大事、あれば救われる、利潤は資本として蓄積し再投資する
→市場原理主義、神の見えざる手、強欲を正当化して終わったのでは
4-5. 経済と宗教を関係づけるには
❶ある信仰を持つ人が、信仰内容に応じてモノの世界で特定の態度をとっていると示す
❷ある信仰を持つ人が、モノの世界での態度に応じて特定の信仰内容を選んでいると示す
→ウェーバーは❶を行なった、宗教改革で生まれたプロテスタントの職業倫理、禁欲
ピューリタンの考え、カルヴァンの予定説、祈りや慈善は救いに影響しない
→救いが約束されている人は救いの証が現実に現れる、経済的な成功は救いの証
→平日は勤勉な職業生活・日曜日は神に奉仕という合理的経済人の考えが形成される
→資本主義は自律的に拡大するようになった、禁欲は用済み
→アメリカの資本主義、経済的成功を追い求める、欲望だけでない、寄付文化の奨励
5. 近代 8項目
…経済・宗教・科学の分立で時代を改革する、人間中心の世界
5-1. プロテスタンティズムが近代化を進めた
…神は常に地上を超越しているという考え
→神の働く場所が社会において少なくなった
→社会の物事が自律的な仕組みで運営できるようになった、
プロテスタントは実生活ではあまり宗教的ではない
→アメリカは建国当初からプロテスタンティズムが人々の結束の軸となっていた、ピューリタン、イギリスから抜けて新しい神の正義の国を作る
→南部では黒人奴隷制度があった、不正義では?
→南北戦争、黒人奴隷解放、リンカーンは聖人となった
→リベラルと保守の対立、福音派、モルモン教、エホバの証人、統一教会
5-2. ブルジョワが王権の財政を支え、王権はブルジョワのビジネスを支える
…人間中心の社会では経済的欲望がむき出しになり近代国家を形成する原動力となる
→宗教による欲望抑制から理性による欲望抑制へ、神を失った人々の焦り
近世の人々にとって国家とは無いもの、正当性は?
→社会契約説、国民一人一人が主権を有する
5-3. アダムスミスの見えざる手とは?
…自律調整機能
自己の利益を追求すれば結果として社会全体の利益が最大化される
5-4. カントのアプリオリとは?
…人間は理性によって生まれながらに神(超越者)を前提としている
→無神論者であっても思考・行動は神(超越者)を前提としている
→思考・行動を振り返り変えたければ神(超越者)や宗教を考える必要がある
5-5. フランス革命
…宗教と理性の闘争、教会の国有化と聖職者のリストラ
→デフォルト寸前の財政、戦争費用による負債、マリーアントワネットのせいにする
→財源をおいしい思いをしている教会や聖職者から確保しよう
→聖職者は宗教を使って民衆を扇動し大規模な反乱を生じさせる
5-6. イギリス国教会
…カトリックとプロテスタントの間
→ブルジョワのプロテスタントは入る、貧困層のプロテスタントは不完全だと批判
→貧困層のプロテスタントはピューリタンと言われ迫害されてアメリカへ
→辺境の地を開拓、全てを自身の力でやらなければならない、起業家精神、身分は関係なし
→苦難を乗り越えれたのは宗教的情熱のおかげ、極端な理想を掲げ先住民を排除
→経済的に成功するとバランスの取れた宗教観を持ち始める
→フランスとの植民地争奪戦、イギリスはアメリカに投資
→アメリカ独立戦争、アメリカとイギリスの利害対立によりアメリカ人の反骨精神が覚醒
5-7. 清王朝は儒教に蝕まれる
…儒教は変革にさからう思想、豊かな富を近代化に振り向けられなかった
→イギリスが発明した機械の有用性を理解できず小賢しいとさえ考えた
→日清戦争で敗北、現代日本も似たようなところがある
5-8. イスラムは政教分離ができず学問統制があり近代化に向けて科学を吸収できなかった
…イジュティハードの門の閉鎖、近代的法制度を取り入れて富国強兵を断行できなかった
→不労所得・投機・利子が認められない、時間は神のものでおカネに換えるな
→石油輸出とオイルマネーにより経済的欲望が出てくる
6. 現代 16項目
…経済・宗教がグローバリゼーションの中で変化する
6-1. ユダヤ人がどう動くか?
…ベルギーのアントワープ、ダイヤモンドビジネス、独占的に取得し市場流通を制限するから高い
→蓄積された情報・ネットワーク・金融技術によりロスチャイルドや JP モルガンが生まれる
→ネイサンの逆売り、ワーテルローの戦い、ナポレオンが勝つか負けるか
イギリス勝利の情報を掴み国債上昇を把握、わざと国債を売ると大衆は売る
暴落時に買い戻して巨額の利益を得る
6-2. パレスチナ紛争、ユダヤ教 vs イスラム教、ユダヤ人 vs アラブ人
イスラエル vs イスラム国
…第1次世界大戦後にイギリスの投資でユダヤ人はパレスチナ移住
→アラブ人は追い出されて反発、提案したイギリスに批判
→第2次世界大戦でナチスのユダヤ人迫害が本格化、アメリカは投資しイスラエル建国
→アラブ人は強引に追い出されて紛争が本格化、イスラム国(IS)、イラクやシリアを支配
6-3. 第2次中東戦争、ユダヤ教 vs イスラム教、ユダヤ人 vs アラブ人
イスラエル vs エジプト
…エジプトがスエズ運河の国有化を宣言、ソ連に近づく、イスラエルが侵攻、アメリカが支援
→イラン革命、反アメリカ政権、アメリカにおいてイスラエルの重要性が高まる
6-4. 石油危機
…アメリカは中東に依存したエネルギー安全保障体制から脱却したい
ペルシャ湾周辺国への米軍駐留、中東の民主化支援、サウジアラビア
→シェールガス、エネルギー革命、アメリカは中東と距離を置きイスラエルとの関係を強める
→宗教紛争が激化する可能性
6-5. アラブの春
…中東の民主化ドミノ、市民デモ、反政府運動、チュニジア・エジプト・リビア・シリアなど
→社会が宗教の教えに則って運営されるという理想、実行されるべきという思いが強すぎる
→内戦で多くの人々が命を落とす
6-6. イスラム経済はビジネスチャンスか?
…中東・アフリカ、インドネシア、マレーシア、OIC と自由貿易協定
→マレーシアの日本人コミュニティ、新日が多い、中東のオイルマネーと欧米の資金
→イギリスが積極的に関与、権力者は学校、病院、道路を作ろうとしない
6-7. イスラム金融
…シャリーアに基づく融資、全体の 1%、政治経済も全て信仰の実践領域
→有利子の貸付・実体の無いビジネス・アルコール等を扱うビジネスへの投資は禁止
❶パートナーシップ契約による事業出資、ムダーラバ(投資一任)、ムシャーラカ(共同出資)
❷実体のあるビジネス、ムラーバハ(代理売買)、イジャーラ(不動産リース)
→スクーク(イスラム債券)として債券化、市場取引の対象となっている
6-8. 2050 年には世界の 3 分の1 がイスラム教
…アメリカで急増、インドでもヒンドゥー教よりイスラム教
6-9. コーポレートランド化
…人が企業に隷従、企業という虚構を実在すると信じる世界、99%の人が報われない世界
→文明的転換が必要、宗教を現代的に再解釈することも重要、イスラム経済は先を進む
6-10. シク教
…イスラム教とヒンドゥー教を融合しようとする、助け合いと勤勉による共同体を目指す
6-11. アメリカの 80%がキリスト教徒、40%が創造論を信じる
…胎児でも人命を奪うことは罪、結婚はアダムとイブを雛型とする
→妊娠中絶、同性婚、薬物乱用、神への祈りを禁止
→キリスト教の基盤が崩れそう、政治に関与し始める、政治・宗教は分離できないと考える
6-12. モルモン教
…キリスト教の一種、一夫多妻制、不利になるのか?
6-13. ブラジルは 70%がカトリック、リオのカーニバル、謝肉祭
…アメリカとの関係強化、スペイン語圏に囲まれたポルトガル語圏の孤立感から
6-14. 経済危機が深刻なのはスペイン・ポルトガル・イタリア
…著しくカトリック色、ギリシャのギリシャ正教会も
→ドイツ、こうした国々の EU からの脱落を防ごうとする、プロテスタント色
スウェーデン・ノルウェー・フィンランド、EU 加盟国ではないが経済危機の影響を受けない
6-15. 日本では金銭の多寡に汗と涙を費やす修羅の経済に向かっている
…目指すべきは菩薩の経済、道徳に則った
6-16. 中国ではカトリックが急増
…蔓延する汚職や拝金主義的風潮にブレーキをかけようとする
→儒教・道教、共産主義化・文化大革命により仏教は打撃を受けている
7. 宗教・物理から経済の構造を考える 25項目
7-1. 国難、ショック・災害
…潜在的に経済・社会の底にくすぶっていた問題を一挙に表面化させる、
ショックそのものの直接的な影響より重大な問題になることもある
7-2. 理数系の武士団
…狭い専門分野から脱して常識を超えたビジョンを生み出し国を先導する、
ものづくりの力を国のために活かすという意味ではない
→戦国時代と幕末に顕著、正気を疑うようなビジョン、結果的に歴史を現実にした
→役割分担を行なっていたことで普段ではありえない経済・社会の動きが可能になった
→国難に対して4つのタイプが同時に生まれて自然に連携をとって
時には政府を無視して自発的に行動することで国に決定的な影響を与える
❶独創的な発想を持つ思想家
…突出した発想力は経済・社会では受け入れられないもの、他のタイプとの連携で国の中心となることが可能
→織田信長、勝海舟、島津斉彬
❷順応性を持つ開明派官僚
…❶の考えとその価値を十分に理解できて組織の中でも浮き上がらずに生きていける
→石田三成、大久保一翁、小松帯刀
❸各地に現れる自発的学習者
…自発的に色々な場所を渡り歩いて考え・技術を習得する
→鉄砲鍛冶、蘭学塾
❹文系出身の伝導者
…❶を神のように崇めて代行者として人の前に立つ、深く信仰しているので迷いがない、とっつきにくさがないため共感を得やすい
→豊臣秀吉、坂本龍馬、西郷隆盛
7-3. ❶が経済・社会の常識では考えられないビジョンを提示
→❷によってビジョンが保護され組織の中で生きる場所を得る
❸が量的な人材確保を鈍い政府に代わって引き受ける
→❹が間に立ってビジョンを浸透させる
→自発的な連携があるため外から見ると存在がわかりにくい、
中にいる人間だけの間で確信が共有されている
→奇襲効果、戦略力を飛躍的に向上させる、蓋を開けたらびっくり
→次第に小規模で戦術的なものに矮小化し理数系武士団が形骸化、
各自が関わる意欲を失って新しい場所に散っていき再び長い眠りにつく、
手の内を読まれると打ち手がないまま押し返される
→現代で❹がどのようにして現れるか、❹がいないとビジョンを他人事として見てしまう、IT の発達で何もかもが取り込まれて早く消費されるため主導権を失う可能性
7-4. そもそも現在の世界はどこへ向かっているのか?
…経済戦争・宗教戦争が次々と続く、カオス
→過去の戦争も初期の頃はカオスだった、第二次世界大戦などの名称もついていなかった
→戦争は中盤以降になるとテーマがはっきり現れてくる、
将来が見えにくいので過去の歴史で似たものがないかを探す
→現在の世界はグローバリゼーションがテーマ、
ロシア・北朝鮮はグローバリゼーションに乗り遅れてあがいているが一時的な挿話の可能性、
グローバリゼーションの先端がどこへ向かうかを巡って歴史は動く可能性
→戦争のパターンとしては共通点が多い、ナポレオン戦争、第2次世界大戦、
グローバリゼーションとナショナリズムのどちらに向かうかギリギリの戦い
❶強烈な個性を持つ独裁者を中心に動く
❷独裁者率いる国の軍に対して複数国の連合軍が対抗する
❸海軍の力に依存している国と陸軍の力に依存している国が戦う
❹結局ロシアに矛先を向けざるをえなくなって甚大な損害を出す、トルストイの戦争と平和
→戦争のパターンは地政学的条件が両者に現れる、半ば必然的に似てしまう、地球科学も考えたい
→相違点は戦争が持つ歴史的意義
勢力均衡型の世界・世界統合型の世界の戦い
世界をどういうシステムで運営するかという選択、第2次世界大戦はロシアの存在が大きすぎた、さらに大きくなってしまった、核兵器を生み出して人類史を異なるステージに移行させた
7-5. ギリシャ世界
…多数の都市国家が対等な立場で並立する世界
→勢力均衡型の世界、ナポレオン戦争のイギリス
7-6. ローマ世界
…ローマが地中海を制覇してローマ帝国に統合した世界
→世界統合型の世界、ナポレオン戦争のフランス
7-7. 世界をどういうシステムで運営するかという選択は地形で決まる
…ヨーロッパは入り組んでいる、中国は大きな陸の塊
→海と陸の関係を考える、海が大陸内部に切れ込む、島や半島の存在、山脈が通って陸を分断
→大平原には帝国しか生まれない、軍事的な理由、逃げる場所がないと皆殺ししか選択肢がない
→河川と海の違いを考える、経済的な機能は変わらない、特に国内で商業が成り立つ場合は
→軍事的な機能は大きく違う、海は盾の役割を果たす、
河川を盾として活用するにはある程度以上の兵力を持たなければならない
→海が活用されないと勢力均衡型の世界を守る能力が低くなる
→ヨーロッパは地形以外にも勢力均衡型の世界を人為的に守るメカニズムは存在したのか?
→1位の国家が大きくなりすぎた場合に、
2位の国家が他の国家と同盟を組んで1位の国家を食い止めるというメカニズム
→中世、宗教、ローマ教皇庁の存在、バチカン市国、宗教という精神的・社会的な力
→近代、イギリス海軍
7-8. 人間を分ける壁
…金儲けして生計を立てるというフェーズ
社会問題の解決を行うというフェーズ
7-9. 現在世界を統一しようとする力は無形
…抽象的で人類が経験したことない権力として現れる
→名目上は民主主義だが形だけになる
→有形の力と無形の力を抽象化して根本から組み直す必要
→古典・力学、抽象化に用いるツール、メカニズム
7-10. ルソーの社会契約論
…一般意志と全体意志
→物理学の発想をヒントにして長期的願望・短期的願望をキーワードに説明、理想と欲望
→大多数の人間の長期的願望の共通項が一般意志、経済・社会の理想、
大多数の人間の短期的願望が膨れて増幅したものが全体意志、近視眼的な欲望
→経済・社会の理想は近視眼的な欲望に駆逐されやすい
7-11. ポリュビオスの政体循環論
…良い政体が3種類・悪い政体が 3 種類あって順番に入れ替わり全体として循環する
❶君主制が劣化して独裁制になる、1人の短期的願望が経済・社会の長期的願望を抑える
❷独裁者を貴族が倒して貴族制になる
❸貴族制が劣化して寡頭制になる
❹特権階級を民衆が倒して民主制になる、民衆の長期的願望が経済・社会の短期的願望を抑える
❺民主制が劣化して衆愚制になる、民衆の短期的願望が経済・社会の長期的願望を抑える
❻混乱をおさめた人を中心に君主制になる、1 人の長期的願望が経済・社会の短期的願望を抑える
→良い政体は一般意志が実現されている状態、悪い政体は全体意志に支配されている状態
7-12. 宗教・階級は長期的願望を成立させるための構造物
…長期的願望を高い位置で支えるために人間を異なる3つの集団に分けて三脚のように置く、本来質的な差異がないはずの人間の中で量的な差異を根拠にして分ける
7-13. アメリカにおける民主主義の神聖化
…長期的願望と短期的願望が別のものだと考えてはいない、君主制に戻ってはいけない
→欲望は個人でバラバラだが大多数が集まると個人的な差異は相殺されて共通項が強め合う
欲望を集めるほど互いの誤差が相殺され長期的な理想だけが残る、衆愚制は起こらないのか?
→粒子的世界像、近代思想は分子運動に影響された
→分子はブラウン運動をしていてそれぞれのベクトルが互いに相殺されることで全体としてその速度が平均化される、人間は平均化されたものを認識する、タイムラグの存在を想定していない
→タイムラグの存在、ある人間集団の影響は 1 日のうちに現れる、
別の人間集団の影響は 1 年くらいでゆっくり現れる
→短期的願望は長期的願望より強い、先手必勝
7-14. 資本主義が世界に与えた最大の影響
…短期的願望の肯定
7-15. アレクシス・ド・トクヴィル、アメリカの民主政治
…アメリカの民主主義の中で短期的願望という概念を認識していた
→多様化は短期的欲望を限りなく解放すること
表面的な多様化だけが連呼され本質部分が同一化されている
→経済・社会のパターンが同一化されることで同じ商品・サービスを世界中のどこでも売れる、企業の無国籍化・多国籍化も容易になる
世界全体で生活習慣・制度が同一化され法律も同一化されていく
→新しい専制権力、人間が平等・短期的願望だけを追求すると無意識に巨大な権力が生まれる
7-16. 縮退力
…物事が多数の要素を回る状態から流れをショートカットして少数の要素を回る状態へ変わる
→物理学、秩序がなくなって一部の強い種だけで経済・社会が構成される
7-17. コラプサー化を防いだもの
…イスラム教文明
❶西ローマ帝国滅亡後
西ローマ帝国は腐敗していてゲルマン人でも滅ぼせる
滅ぼしたゲルマン人はすぐに染まって贅沢な生活に慣れて腐敗する
別のゲルマン人が滅ぼす
その滅ぼしたゲルマン人もすぐに染まって贅沢な生活に慣れて腐敗する
→イスラム教の台頭、キリスト教文明は商業的繁栄から切り離されてサイクルを抜け出す
→十字軍
❷ルネサンス
カトリックによる経済・社会が短期的欲望の中で腐敗していく
誰もが自分の個性を主張したがる雰囲気、当時の肯定的な記述はあまりない
→ローマ劫掠、神聖ローマ皇帝とローマ教皇の内輪揉め、
野放しにされた多様化は衰えて人間は宗教的秩序の中に入る
→オスマントルコの台頭、宗教改革を鎮圧する力を割かなきゃいけない、
宗教改革が生き残りコラプサー化を防ぐ
→イスラム教は経済・社会の歪みから人間を守るために生まれてきたのか?
7-18. イスラム教文明は微積分学を受け入れられなかった
…微積分学、動く物体についてはなんでも未来位置を正確に予測して対応できる
→調和的宇宙の発想がなかった、代数学など高いレベルの数学を持っていてプライドが邪魔をした
→日本ならイスラム教文明と手を組める可能性、アラブは親日が多い、中国に対するカードになる
7-19. 世界の商業的交通網
…最初の出発点はエルサレム、最後の接触点は日本
→世界の商業的交通網の中心はエルサレム、地形上重要、
ユーラシア大陸・アラビア半島・アフリカ大陸の中心、飲料水を得れる、
砂漠地帯であるため飲料水をどう確保するかをクリアする必要があった
→国家が資本主義によって腐敗してしまう、軍事力という手段に頼れない
砂漠では軍事的な貴族が封建領主として社会秩序を保つのは難しい
→3つの宗教が生まれた、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教、法律としての機能も代行する
→一神教、多神教はおカネと結びつくと厄介、
富裕な市民が自分に都合のいい神様をフィーチャーしておカネの力で像を作って、市民を虜にすれば法律より強い力を自分に引き寄せれる
多神教は農業社会でのみ無害なものとして存在できる
→エルサレムは 3 つ宗教の聖地、帰属をめぐって争いが絶えない、
社会秩序を保つのが国家・軍事的な貴族の場合は政権が倒れれば歴史・紛争をリセットできる
社会秩序を保つのが宗教の場合は永続的に効果があるため歴史・紛争をリセットできない
→大航海時代、世界の商業的交通網の中心はエルサレムからイギリスへ、
地中海よりも大西洋が主要ルートになった
→最も遠いのは日本、農業社会、多神教の文明が残っている
→世界の商業的交通網がある国家へ接触を望む際の動機
❶国家・文明自体が接触する価値・魅力を持つ
❷国家・文明自体が接触する価値・魅力を持たないが中継地としての価値・魅力を持つ、インド
→日本は鎖国できた、日本は接触する価値・魅力を持たず
中継地としての価値・魅力も持たなかった、あと単純に強かった
→アメリカの発展で世界の商業的交通網が世界一周、
日本は中継地としての価値・魅力を持つようになった、不可欠
→日本は鎖国できなくなった、日本は開国した、農業社会から脱することになった
金融で物事をやり取りするより工場でモノをやり取りするのがメイン、
商業社会というより産業社会として対応した
→金融とコンピューターが結びつくと商業社会として対応できない問題が表面化
7-20. マーク・トウェーン仮説
…マーク・トウェーンの人生はアメリカの精神史を最初から最後まで凝縮した人間だという仮説
→第1期、若い頃は自由で機智・活力に富んで優しさもある、何にも囚われない
→第2期、歳をとって成功すると満ち足りて純朴さ・優しさを失う
→第3期、人間不信になり物事を悪い方向にばかり考えて虚無的な世界観の中で一生を終える
→何にも囚われない人間が全時代的な経済・社会・宗教の力を借りることなく、自身の資質だけで精神の健全さ・活力を維持できるのか?
→個人ではコラプサー化を止められない、国家・世界も同じ
→出口のない問題の可能性、出口が見えにくい、妥協
→禁じ手が本当に禁じ手だったのかを新しい視点から検討し直す
→禁じ手と従来の方法の共通点となる原理を探す、その原理を据えてそれを基準に進むのが有効、禁じ手かどうかはどちらでも良くなる
→良い政体とは短期的願望が長期的願望を駆逐するのを防げるシステムという原理
→経済・社会を4つの階級に分けた場合に3番目が力を持っている状態が一番活力に満ちているという補助的な原理
1・2番目は自己顕示欲によって短期的願望に侵されやすい、
3番目は短期的願望に侵されにくい、
4番目は匿名性・規範のなさから無責任に短期的願望に侵されやすい
→国家をよくするという目的は長期的願望に基づいているが、
実際の行動はメディアで悪役を叩いて終わりであれば、
自分の正義感を満足させたいという短期的願望に基づいた行動であり、
結局悪い国家の一員として過ごしているに過ぎない
→宗教の代役を務めている科学では結論までのショートカットは許されない
→長期的なものに囲まれる、人間は次第に不滅性に価値を置く、宗教の道に自然に引き込まれる
7-21. ナポレオンの言葉
…社会は財産・地位の不平等なくして可能ではあり得ず、不平等は社会的規範なくしては耐え難く、社会的規範は宗教がなければ受け入れられない
→宗教をうまく使う以外に商業社会を保つ手段はない
7-22. 日本は出遅れているという見方が普通
…その見方しか出来ないのであれば戦略的には負けパターンに入っている、
何度も日本が経験した負けパターン
→今の戦場で頑張るが結果が出た途端に戦場をリセットされる
→戦場を作る力を手にいれるしか生き残る道はない、ルールを作る力
人類の思想を動かす力をバックにしないと勝つことはできない
7-23. 冷戦は第3次世界大戦
…現代の歴史のストーリーは見にくい、
軍事力という目に見えるパワーではなく経済力・メディアという目に見えないパワーが中心
→50年を要した、経済戦争は軍事戦争の1/10 のスピードで進行する
→圧縮してみてみるとよく似た経過を辿る
第1次世界大戦は鉄条網・機関銃による膠着状態の戦争
冷戦は核兵器による膠着状態の戦争
第1次世界大戦は戦車など軍の機械化で膠着状態を破る
冷戦はインターネットなどパワーの無形化で膠着状態を破る
→第2次世界大戦は戦車が主役になった戦争、
第4次世界大戦はインターネットが主役になった戦争、アメリカと中国が大きいプレーヤー
→過去の知恵ある人々は歴史を過去になぞらえて叙事詩化する、
メリットとデメリットを承知の上で使いこなした
7-24. 第2次世界大戦
…ドイツのポーランド侵攻
→フォニーウォー、まやかし戦争、戦争中なのか平和なのかはっきりしない
→西方電撃戦、ドイツがフランスを倒す
→ドイツの絶頂期
→バトルオブブリテン、迷走を始める
→ドイツ・ソ連開戦
→スターリングラード攻防戦、豪雪で麻痺
→ソ連のドイツ侵攻、ウラヌス作戦
7-25. 第4次世界大戦
…イラクのクウェート侵攻、湾岸戦争
→コールドピース
→アジア通貨危機、アメリカがアジアを倒す、ヘッジファンドが狙い撃ち
→アメリカの絶頂期、グローバリゼーション
→9.11 同時多発テロ、イラク戦争、迷走を始める
→アメリカ・中国開戦、金融危機、中国が野心を出してくる
→コロナショックで麻痺
→ロシアのウクライナ侵攻、プーチンはロシアを建て直すことに成功していたがこの事件で挫折、時計の針を大規模に戻しただけ
おわりに
ここまでご覧いただき、ありがとうございます。
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