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イヤイヤ期は大人にないの?
フランスから帰国した後、次の仕事のつなぎとして、地元の保健センターでお手伝いをしていたことがある。
生活習慣病予防教室や乳幼児健診、栄養教室など沢山のお手伝いがあって、5ヶ月あまりだったがとても楽しかった。
もともと大学病院では大人も子供も看護していたけど、最も手こずったのは乳幼児健診だ。私はお手伝いだったため、保健師さんのように相談業務はせず、体重・身長・頭位測定を担当していた。
3ヶ月健診で来る子たちはいい。まだまだ赤ちゃんのため、体重も頭位もなんの抵抗もなく測れる。
3歳児健診になると、ものすごくしっかりしていて、誇らしげにビシッ!と立ってくれる。だからあっという間に全ての測定が終わってしまう。
最も大変だったのは1歳6ヶ月検診だった。いわゆる『イヤイヤ期』突入の時期なのか、こんにちは😃と言っただけで泣かれる。
頭にメジャーなんて巻こうものならギャン泣きされた。
ここでkidsのカリスマ、ワンワンとしまじろうを投入する。
これまで、幼児の歯磨き教室でも数々の成果をあげてきたカリスマ2人の「泣きやませ」成功率には目を見張るものがあった。
私はワンワンとしまじろうを信じ、ぬいぐるみを使って「ほら!ワンワンもしまじろうも応援してるよー!」と言ってみるのだが、kids界のツートップをもってしても泣きやまない子が出てきた。まだ1年と半年ほどしか生きてないのに、まるでこの世の終わりかのように突っ伏して泣いている…。恐るべしイヤイヤ期…。
最終手段はママの抱っこだ。
ママが我が子を抱っこして体重計に乗る。そのあとママだけ体重計に乗ってもらい、引き算をすれば子供の体重が算出できるというわけだ。
不意に体重を誰かの前に晒さなければいけなくなったママたちは、慌てふためき、最後は我が子のためにしぶしぶ体重計に乗ってくれる。
こんな1歳6ヶ月健診を経験すると、ひとんちの子なのに3歳児を見て「大きくなったねぇ…」と感慨深くなってしまうのである。
きっと私にもそんな時期があったと思うが、いったいいつからこんなに物分かりがよくなったんだ???
それが大人になるってことなのか??
いやでもやります、頑張ります!と言い続けてきたような気がする。
大人になったらイヤイヤ期はないのかなー?と先日布団の中で考えた。
いや、あった。
それは老年期だ!
私は何度も高齢者のイヤイヤ期を見てきたではないか!
私も80、90になったら、
確実に!!
お風呂を嫌がるばあさんになっているだろう。(今だって結構めんどくさい)
介護士さん:「zoéさんお風呂行きましょう。」
zoé:「今日は寒いからイヤ。(夏なのに?)」
「風邪ひいているからイヤ。」
「昨日入ったからイヤ。(入ってないのに)」
と、断る理由が無限に出てくる。
そしてうまーく煽てられ、浴室に誘われ、風呂に入り、入ったことも忘れてしまうという私の姿が目に浮かぶ。
人間とは子供から大人になって、また童心に帰るんだなぁとしみじみ思う。
童心に帰った私のワンワン・しまじろう的な何かを今から用意しておいたら、きっと介護士さんたちも困らないかもしれない、と考えてみるのである。今のところ、BGMでTXTの曲を浴室に流してくれれば、嫌がらずに入るつもりではいる。
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