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フーディー(美食家)の世界
ちょうど1週間前にダイエットに絡んだ記事を書いた。
痩せたい願望はあるけど、基本、私は食べることが大好きだ。
先日、日経新聞の夕刊コラムに世界一のフーディー(Foodie)と呼ばれる浜田岳文さんの話が掲載されていたが、これが面白かった。グルメの世界に疎い私は、浜田さんについて存じ上げなかったが、世界の料理レビュアーランキング*で6年連続1位に輝かれるなど、この世界では有名人だ。
今年6月に発売された浜田さんの本「美食の教養」を早速購入し、読んでみた。
本によると、浜田さんは高校時代にアメリカに留学し、そのまま名門イェール大学に進学。学生寮の食事がまずかったことから、食べ歩きを開始した。
その後金融機関で働き、貯めたお金で世界一周旅行をし、その時に食への関心が再燃したそうだ。
南極から北朝鮮まで128の国と地域で食べ歩き、1年のうち5ヵ月は海外、4ヵ月は日本の地方、3ヵ月は東京で過ごしているという。しかも、年間800回以上を外食にあて、食と旅のためにすべてを諦めたのだとか。
この話だけだと、美味しいものを食べ歩いているグルメ評論家という印象にとどまってしまうかもしれないが、浜田さんのすごいところは、食に対する並々ならぬ情熱だけでなく、美味しい・美味しくない、好き・嫌いでは判断せず、論理的に分析している点だ。
彼の評価軸は、どれだけその料理が考え抜かれているか、そのシェフは自分の考えを体現できているのか、の2点だという。基準に達していない高級レストランに対しては手厳しい。ラーメンやハンバーガー店のおススメのお店も挙げていた。
食を文化的な背景から掘り下げ、国や地域、性別、年代における味覚の違いがあるのを認識したうえで、料理と真剣に向き合っているのがわかる。
料理はクリエイターによって創られるアートで、ストーリー性も必要という考えは非常に共感できる。
自分自身フーディーの世界とは無縁だけれど、今までの人生で一番美味しかったものってなんだろうか、とふと考えてみる。
アメリカの自然食品スーパーのホールフーズ・マーケット(Whole Foods Market)で売っていたブレッド・プティングが思い浮かんだ、笑。
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そして、人生最後に食べたいものは何だろう。
浜田さんは最後の晩餐は何を食べたいかと聞かれたら、炊き立ての白ご飯と答えるという。
トマトのパスタかな、普通のおにぎりかもしれない、と頭の中が食べ物で占拠されてしまったので、今日はこの辺にしたい、笑。
*浜田氏は「OAD(Opinionated About Dining)世界のトップレストラン」のレビュアーランキングで、2018年度から6年連続第一位にランクイン。OADとは2004年にスティーヴ・プロトニッキ氏(Steve Plotnicki)が創設した団体で、世界の料理レビュアー6000人の評価を統合し、あらためて世界レストランキングを決定するというシステム。