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デワルチ / ワヤン版マハーバーラタ(2)


アルヤ・ヴリコーダラ、2人の巨人に立ち向かう


アルヤ・ヴリコーダラはチャンドラムカ山に到着した。 彼はシグランガ洞窟を見つけ、グン・ススヒン・アンギンの木を探すために洞窟に入った。 その洞窟には2人の恐ろしく大きな巨人が住んでいた。 彼らは怒り、アルヤ・ヴリコーダラに襲いかかった。

年上の巨人はディティヤ・ルクムカという名で、若い巨人はディティヤ・ルクマカラという名だった。 彼らはアルヤ・ヴリコーダラを捕らえ食い尽くそうとした。 しかし、アルヤ・ヴリコーダラは彼らの獰猛さに巧みに対抗した。 まず、ディティヤ・ルクムカが殺された。 彼の胃は、アルヤ・ヴリコーダラの手にあるパンチャナカの爪によって切り裂かれた。 驚いたことに、ディティヤ・ルクマカラがその死体を踏み越えたとたん、ディティヤ・ルクムカはすぐに蘇生した。 そして、死んだディティヤ・ルクマカラにアルヤ・ヴリコーダラの蹴りが命中して死ぬと、彼もまたディティヤ・ルクムカに跨がれて生き返った。

アルヤ・ヴリコーダラは二人の巨人に圧倒された。 疲労困憊した彼は、自分を落ち着かせるために深呼吸して沈黙の時間を取った。 不思議なことに、アルヤ・ヴリコーダラが沈黙を破ったとたん、二人の対戦相手はふらつき、よろめいた。 そのチャンスにアルヤ・ヴリコーダラは彼らの髪をつかみ、割れるまで頭を叩きつけた。 二人の巨人は死に、再び立ち上がることはできなかった。

ヴリコーダラ


ディティヤ・ルクムカとディティヤ・ルクマカラは死んだ。 すると二人の体は突然煙に包まれ、二柱の神となった。 ディティヤ・ルクムカはインドラ神となり、ディティヤ・ルクマカラはバーユ神となった。 二人の神々は、アルヤ・ヴリコーダラが自分たちの呪いを浄化してくれたおかげで、神の姿に戻ることができたと感謝した。

アルヤ・ヴリコーダラは、バタラ・インドラとバタラ・バーユが双子の巨人になった理由を尋ねた。 バタラ・バーユは、ある日バタラ・グルが天界ジョングリン・サラカで集会を開いたと話した。 その時、天女のバタリ・ウィロタマは参加した神々を楽しませるために踊ることになった。 バタラ・インドラとバタラ・バーユは遅れて到着した。 バタラ・インドラはバタラ・バーユに、自分たちが天界ジョングリン・サラカに早く到着できるように、強い風を吹かして自分たちの体を押してくれるよう頼んだ。 バタラ・バーユは同意した。 バタラ・インドラはバタラ・グルの前に到着した。 残念なことに、踊っていたバタリ・ウィロタマも風に吹き飛ばされた。 その結果、バタリ・ウィロタマの衣服がはだけて露わになり、バタラ・グルはバタラ・バーユとバタラ・インドラに非常に腹を立てた。 そのため、バタラ・グルの呪いのせいで、彼らは双子の巨人になってしまった。

アルヤ・ヴリコーダラはグン・ススヒン・アンギンの木は何処にあるのかたずねた。インドラ神は、グン・ススヒン・アンギンの木は、普通の木ではなくて、象徴的な言葉なのだと答えた。 Kayu Gungは "大きな木 "という意味で、実際には人間の体の比喩であり、Susuhing Anginは "風の家 "という意味である。 つまり、Kayu Gung Susuhing Anginの意味は、風が出入りする場所、あるいは呼吸と呼ばれる人間である。 入ってきた息はきれいな空気を運び、体のすべての部分を循環し、汚れた空気を運んで出す。

アルヤ・ヴリコーダラは、存在しないものを探すように命じたドゥルナは、嘘を言ったのかと尋ねた。 バタラ・バーユは、そんなことはないと答えた。 レシ・ドゥルナが与えた課題は嘘ではなく、謎かけだった。 グン・ススヒン・アンギンの木は物ではなく、教訓だった。 チャンドラムカ山、シグランガ洞窟、ディティヤ・ルクムカ、ディティヤ・ルクマカラ、バタラ・インドラ、バタラ・バーユはすべて教訓を含んでいる。 教訓の意味については、アルヤ・ヴリコーダラが本気であれば、自分で見つけることが出来るだろう。 そのため、もしレシ・ドゥルナが次の課題を出したら、アルヤ・ウレコダラにそれを拒否してはならないと伝えた。

アルヤ・ヴリコーダラはバタラ・バーユの提案に同意した。 バタラ・インドラは感謝の気持ちを込めて、Druwenda Mustika Manik Candramaの指輪を贈った。 その指輪の効能は、水の中に入ってもアルヤ・ヴリコーダラの安全を守るというものだ。 アルヤ・ヴリコーダラはその贈り物を謙虚に受け取り指にはめた。 そして、バタラ・バーユとバタラ・インドラは天界に戻った。

Bhatara Bayu


レシ・ドゥルナはアルヤ・ヴリコーダラに生命の水を見つけるように命じる。

ラデン・カルタワルマはドゥルヨーダナ王に、アルヤ・ヴリコーダラはチャンドラムカ山の二人の巨人に殺されず、代わりに二人を殺したと報告した。 プラブ・ドゥルヨーダナは非常に憤慨し、従弟を追い払うための第二の計画を練るようレシ・ドゥルナに命令した。

それから間もなく、アルヤ・ヴリコーダラが現れ、そのままレシ・ドゥルナのもとへ向かった。 彼はチャンドラムカ山での経験を語り、そこでグン・ススヒン・アンギンの木は見つからなかったが、神々となった二人の巨人、すなわちバタラ・インドラとバタラ・バーユに出会ったと伝えた。 レシ・ドゥルナは、その二人がグン・ススヒン・アンギンの木なのだと答えた。 つまり、アルヤ・ヴリコーダラは第一の条件をクリアしたということだ。

アルヤ・ヴリコーダラは、サンガン・パラニン・ドゥマディの科学を学ぶことができるかどうか尋ねた。 ルシ・ドゥルナはまだだ、もう一つ条件があると言った。ミナンカルブ海にあるティルタ・パウィトラサリ・マヘニン・スチ、と呼ばれる"生命の水"を見つけなければならないと教えた。

アルヤ・ヴリコーダラはその海はどこにあるのか尋ねた。 レシ・ドゥルナは「ミナンカルブとは、心に求婚するという意味でである」と答えた。 アルヤ・ヴリコーダラは自分の心の海はどこかと尋ねた。 自分の心にきいてみろ、北と思うなら北の海に、南だと思うなら南の海に行くべきだ。

バタラ・バーユのメッセージを思い出したアルヤ・ウレコーダラは、喜んで挑戦すると言った。 そして、第二の任務を遂行するための暇を求めた。


兄弟に別れを告げるアルヤ・ヴリコーダラ

アルヤ・ヴリコーダラは、生命の水を見つけることは、グン・ススヒン・アンギンの木を見つけることよりもずっと難しいと感じた。 そこで彼はまずアマルタ王国に戻り、母と兄弟に別れを告げ、祝福を求めることにした。

デウィ・クンティ、プラブ・プンタデワ、デウィ・ドルパディ、ラデン・プルマディ、そして双子のラデン・ナクラとラデン・サデワがアルヤ・ヴリコーダラの帰国を歓迎した。 アルヤ・ヴリコーダラは、ミナンカルブ海でティルタ・パウィトラサリ・マヘニン・スーチ"生命の水"を見つけることを条件に、レシ・ドゥルナからサンカン・パラニン・ドゥマディ・レパシング・ブディの科学を学ぶつもりであることを告げた。

それを聞いたプラブ・プンタデワと他の兄弟は驚いた。 デウィ・クンティはすぐにアルヤ・ヴリコーダラにその意思を取り消すよう頼んだ。 しかし、アルヤ・ヴリコーダラはすでに同意しているとして拒否した。 ラデン・プルマディは、レシ・ドゥルナがドゥリュダナとパティ・サンクニから、兄に危害を加えるよう促されたに違いないと答えた。 プラブ・プンタデワはそれに同意した。 彼は若い頃にプラブ・ドゥルヨーダナがパティ・サンクニの助けを借りて、バライ・ガラガラの事件でパンダワ兄弟とデウィ・クンティを焼き殺そうとしたことを思い出した。

アルヤ・ヴリコーダラは、過去にプラブ・プンタデワがバライ・ガラガラの火事の話を持ち出すなと忠告したのに、なぜ今になって自分の言葉を破るのかときいた。 さらに、プラブ・ドゥルヨーダナとアルヤ・ヴリコーダラが共にワシ・ジャラダラに行った時、プラブ・プンタデワは非常に感謝し、プラブ・ドゥルヨーダナ(当時はまだラデン・クルパティという名だった)が悔い改め、パンダワ家との関係を改善したいと告げた。 このため、パンダワはもはやコラワを敵視してはならないとした。 不思議なことだが、なぜプラブ・プンタデワは突然偏見を持ち、プラブ・ドゥルヨーダナがレシ・ドゥルナに自分に危害を加えるよう促した違いないと疑うのだろうか?

デウィ・クンティは、アルヤ・ヴリコーダラがどうしても海に行くと言うので、とても悲しんだ。 彼女は圧迫されて意識を失った。 プンタデワの妻であるデウィ・ドルパディはすぐに彼女を宮殿に運んだ。

ラデン・ナクラとラデン・サデワが次に話した。 二人はアルヤ・ヴリコーダラの腕を左右に抱きしめて、二番目の兄に「行かないでくれ」と頼んだ。 幼い頃から父と母に置き去りにされた孤児である自分たちの運命を嘆き、涙を流した。 彼らは、アルヤ・ヴリコーダラをずっと自分たちの庇護者だと思っていた。 アルヤ・ヴリコーダラは彼らにとって父親であると同時に母親でもあった。 彼らが幼い頃、アルヤ・ヴリコーダラはしばしば彼らを抱っこした。 また、もしこの次兄がいなかったら、彼らはシ・ガラガラの火事で死んでいただろう。 ラデン・ナクラとラデン・サデワは、アルヤ・ヴリコーダラを父親のように見なしていた。

アルヤ・ヴリコーダラは一歩を踏み出すことにためらいを感じていた。 しかし、サンガン・パラニン・ドゥマディの科学の複雑さを知りたいという強い意志が、彼を振るいたたらせた。 双子の手を振り払い、プラブ・プンタデワの体を持ち上げた。 彼は体が硬く、曲げることもしゃがむこともできなかったという。 そのため、彼は長兄の体を支え、祝福を求めた。 彼の意図が誠実で純粋なものであれば、彼は自分の目標を達成するであろう。 しかし、もし彼の意図が曲がっているのであれば、溺死するか、鮫に食われて死ぬことになるだろう。

プラブ・プンタデワは、弟の精神がとても強いことを知った。 そして、アルヤ・ヴリコーダラが夢を実現できるよう祝福した。 そして、アルヤ・ヴリコーダラは皆が見送るなか、ミナンカルブ海へと旅立った。 他のパンダワたちは嗚咽を漏らしながら彼を見送った。 プラブ・プンタデワは彼らを礼拝所に招き、全能の神に祈りを捧げ、2番目の弟のために最善を尽くすよう求めた。


アルヤ・ヴリコーダラ、レシ・ハノマンと対決

アルヤ・ヴリコーダラは決心した。 彼は心のささやきに従い、南に向かって歩いた。 その途中、彼は突然、ケンダリサダに住む義理の兄にあたるレシ・ハノマンに出会った。

レシ・ハノマンは、アルヤ・ヴリコーダラが南へ旅している目的を尋ねた。 アルヤ・ヴリコーダラは、サンガン・パラニン・ドゥマディの知識をレシ・ドゥルナに教えてもらいたいのだと、最初からすべてを説明した。 レシ・ハノマンはがっかりした様子で、弟に帰るように言った。 何故レシ・ドゥルナのところに行く意味があるのか? レシ・ドゥルナは戦争の達人ではあるが、神秘主義の達人ではない。 アルヤ・ヴリコーダラがサンカン・パラニン・ドゥマディを学びたければ、バガワン・アビヤサかレシ・ビスマに聞くべきだ。 二人ともレジ・ドゥルナよりよく神秘性を知っている。 しかも、レシ・ドゥルナは裕福な弟子であるプラブ・ドゥルヨーダナに肩入れした僧侶として有名だった。

アルヤ・ヴリコーダラは2つの点でレシ・ハノマンに失望した。 第一の失望は、レシ・ハノマンが尊敬する師を侮辱したことだった。 レシ・ハノマンは人を外から判断しすぎたと思った。 第二に、司祭としてのレシ・ハノマンはまだ心を静めてはいなかった。 司祭はもっと冷静で、賢く、気高い性格であるべきだ。 レシ・ドゥルナを身売りしたと判断したのは、明らかに怒りによるもので、澄んだ心に基づく賢明な思考の結果ではない。

レシ・ハノマンは義弟の旅立ちに微笑んだ。 彼は、アルヤ・ヴリコーダラの決意を試したかっただけだと言った。 弟の強い精神とまっすぐな意思を目の当たりにしたハノマンはアルヤ・ヴリコーダラが夢を実現させて、全能の神に常に守られているようにを祈った。

続く…

注 
アムルタはユディスティラの国
ジョンゴール・サラカ 天界

Sangkan   源
Paraning  目的
Dumadi.      生命
ジャワに古くから伝わる思想
生命は何処から来て
何のためにあるのか?

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