ショート・ショート「消せない灯り-ホワイト-」
記憶をけしたい、と思ってしまうほど傷ついたのに、それでもあなたに会いたかった理由ってなんなの?
ラブホテルの天井は、宇宙そのものだった。
あなたとの、それ距離だった。
カラダを交わせば楽になれると思ってた。
私の軽率さ。
だけど、もっと問題なのは、それが残るということ。
ーー消えないで。
202号室の紫。深海みたいに部屋中が照らされている。
ベッドの側にある電気パネルの色。何色にでも変えられる。
赤、青、みどり、黒、白、ピンク……。でも、私の脳内が真っ白に変えられてしまった。
空白の時間。
見つけ出されない私の存在は、透明人間。誰にも見えない白い存在のまま。
私の残留思念はベッドの側に。あの電気パネルみたいに備えつけられていたのだろうか。
10年も前の話だ。
この話は、私の苦い体験に基づき、書きました。ラブホテルでの苦しい物語。短い文章だけど、この小説を始まりとして、性の小説を書いてみたいと思います。
頑丈なほどけぬロープのように、愛ある関係だけでもない、今に生きる人たちへ。
苦しんでいる気持ちを、何かしら昇華できないものか、と私が魂をそそいで、描き切りたい気もしてきました。
何か、この小説で感じ取ってもらえたら、嬉しいです。
では
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