ねこの話②
我が家のおーちゃん(ねこ男子)12歳。
たぶん生後2か月くらいでうちにやってきて、わりとすぐに一緒にドイツに引越しました。
事情があり、最初は山奥の村に住むことになったわたしたち。
おーちゃんはそれまでお外にいったことが無かったのですが、その家は広い庭があって周囲は森、車もあまり通らないエリアにありました。
近所のねこさん達(どこぞの家の子)が入れ替わり立ち替わり庭にやってくるような、そんな平和なところでした。
アジア人が皆無なエリアであったため、わたしは当初大変肩身の狭い思いをしたものですが(出掛けたら、とりあえずガン見される)、おーちゃんは田舎を大満喫。
朝起きたら、窓からいそいそとお出かけ。
たまにはどこかでオーバーナイト勤務シフトまで組んでいる様子。
ウチにはごはんの時しか帰らない時もあったのですが、そんなある日、いつもおーちゃんが出かける窓の真下に、どでかいねこの大の方💩が放置してあるではありませんか。
朝それを見つけたおーちゃんは、大変困惑(たぶん)。
おーちゃんが家にいる間のできごとであったから、おーちゃんは完全にシロ。
おそらく近所のボスらしきねこの仕業でありましょう。
こやつは、3軒となりの家のねこ。
いかにも欧州風味な顔のデカい、目付きの悪いヤツで、出会ったらわたしにも喧嘩を売ってくる大変ふてぶてしいねこだったのですが、どうやらおーちゃんはヤツのシマに立ち入ってしまった様子。
わざわざ窓の下に💩をしたということは、ワシのシマに入ったらタダじゃおかんぞ〜!という、意思表示だったに違いありません。
しかし箱入りしましまぼっちゃん、そんなことはお構いなし。
おそらくまたヤツのシマに立ち入り、そしてヤツに出くわしてしまったのでしょう。
わたしの部屋からも聞こえるくらいの大喧嘩を繰り広げたと思ったら、早々にうにゃーんと帰宅のおーちゃん。
ま、負けたんやな…
顔は引っかかれ、耳から出血し、ショックのあまり2日間寝込んだおーちゃん。
その後はお外に行くものの、ヤツのシマには近寄らず、ほんとに近所にしか行っていないようでした。
それからは朝出かけて、夕方には帰る、規則正しいサラリーマン生活を送っていたおーちゃんですが、ある日窓の外から大変誇らしげな顔をして、わたしを呼ぶではありませんか。
なになに、どないしたん?
わたしが窓を開けると、そこにはこれまた欧州風味ふわっふわの巨大な黒ねこさんが。
どうやらおーちゃんに、ねこライフ初の友が出来たようです。
わたしはこの子を「くろさん」と名づけました。
(もっとひねらんかい!)
くろさんはたぶん、隣の家に引越してきた子。
おそらく新参者同士、気が合ったのかもしれません。
くろさんが朝迎えに来たり、おーちゃんから誘いに行ったりする日々が続きました。
そして冬が来て(冬は激寒&雪が降るので、あまり2人とも遊べなかった)年が明け、わたしはこの家を出て引越すことに。
新しい家は車で40分くらいかかるので、まあまあ遠く、おーちゃんが気軽に1人で遊びに行けない距離。
しばらく前から「おーちゃん、くろさんにバイバイしとかなあかんよ」と言っていましたが、引越しの日にはガヤガヤしていたからか、くろさんは見当たらず…
わたしたちは車で引越し、その2週間後にわたしは置いていた荷物を取りに、この家に戻ってきました。
第一陣の荷物を持って、玄関を開けた瞬間、足元から黒い影がダーーーっ!と家に入ってきたのが見えたのです。
ビビり倒したわたしが腰を痛めながら家の中に戻ると、そこにはくろさんがまるで自分の家かのように座ってわたしを見つめていました。
くろさん、あなたくろさんよね?
おーちゃんに会いに来たの?
おーちゃんね、今日は来てないのよー。
といいつつ、くろさんはわたしに大人しく抱っこされてくれ、おーちゃんはいないの、と繰り返し言うと分かったのか、クールにわたしの腕から降りて玄関から帰っていきました。
たぶん、どこからかくろさんは見ていたのでしょう。
あの車が帰ってきた!
そして「あの車」には、おーちゃんが乗ってると思ったのでしょう。
引越し疲れと、先程いわした腰の痛みで、ふにゃふにゃと涙ぐむわたし。
ほんとに良いともだちだったんだね。
ごめんね。
引き離してごめんね、ごめんね(号泣)
いまでも、お互い覚えているのかな。
それは誰にも分かりません。
今でも思い出すと泣いてしまう、おーちゃんのねこ友の話でした。
(これ書きながら、また泣いてる)