【読レポ】分断を生むエジソン
「分断を生むエジソン」著北野唯我を読みました。
北野唯我さんの作品はビジネス書をストーリー仕立てで書き、手に取りやすく、読みやすい様にしている。
過去には、「転職としての思考法」、「天才を殺す凡人」の二作を出しているが、どちらもストーリー仕立てで作成されている。
そして、そのストーリーの続編であるのが今回のこの書籍だ。
北野唯我さんの書籍は、社会や組織に置ける自分の役割を分類をし、それぞれの役割の戦い方、勝ち方について書かれている事が特徴である。
そして、今回の「分断を生むエジソン」はリーダーとしての役割を担う人の戦い方について書いてある印象を受けた。
また、分断を生むエジソンの著者北野唯我はこのように語る。
人は自分の役割によって世界を認識している。
その認識の幅を広げる。
自分の知覚を広げる地図を持つ事がこの書籍の真のメッセージである。
そして、この書籍は働く人への応援歌であって欲しいとも語られている。
認識の世界は分断されている
この書籍のテーマは分断である。
つまり、社会の人々の認識の齟齬が生まれる事が今の世の中のテーマであるという事だ。
この書籍では大きく以下の様に分類されている。
(本書では国という表現で分類を表す)
・西の国:革新派の集まりで、未来の利益を最大化する者。
・中部:全体の利益を最大化させるために、ルールを調整を行う者。
・東の国:現在の利益を最大化する者。
・南部:経済ルールにはない、幸せ・感情的な側面を最大化する者。
西が天才
中部が政治家みたいな立場の人
東が大企業に務める人
南部が凡人
のようなイメージである。
そして、西:中部:東:南部は1:2:10:100のバランスで成り立っているという。
今回は西のリーダーと東のリーダーの考え方について描く。
この西と東のリーダー達は往々にしてぶつかる事があるが、本当は支えあう事ができるのであると。
この書籍ではメッセージをしている。
変化する世界
そのリーダー論を語る上で、
まず今の時代にはどんな能力が必要になっているのか。
そもそもこの社会における
サービス、商品は大きく2つに分類される。
・ペイン型:苦痛を取り除くもの
・ゲイン型:価値を広げてくれるもの
ペイン型のサービスで勝つためには他のサービス、商品の選択肢を与えないようにする事が必要であり、求められる能力は支配力(このサービスを選んでおけば大丈夫と思われるもの)である。
ゲイン型で勝つためには、そのサービス、商品でユーザーが得られる価値を大きくする事が必要であり、求められる能力は多くの人を共感させる事ができる影響力である。
そして社会が便利になりすぎてきつつある中で、
今後必要となっていくのはゲイン型のサービスである。
愛の違い
この両者に求めらる大きな違いは、私は愛のベクトルの違いだと思った。
ペイン型は外側に対する愛で、
ゲイン型は内側に対する愛なのだと。
どういう事かというと、
ペイン型は組織のメンバーやカスタマーに対しての愛が必要になり、
ゲイン型は商品や自らの好奇心に対する愛が必要になるという事だ。
ペイン型の支配はお客様は社員の無駄や面倒をなくすことができるのかが重要になり、
ゲイン型の影響力は製作者がその商品、サービスにどれだけ心が震えているのかが重要になるのだ。
リーダーは2度生まれる
世の中に革新的変化を生む商品・サービスを生み出し、それを広げるためには
ペイン型思考を得意とするもの(西の国のリーダー)と
ゲイン型思考を得意とするもの(東の国のリーダー)との
両者がいる必要がある。
0→1を作るのがゲイン型の役割で、
1→100にするのがペイン型の役割である。
この2者が共存し、支え合うことが一番の理想形である。
しかし、一番最初に述べた通り西国と東国とはバチバチにぶつかり合う事が多いのだ。
それは、なぜ起こるのか?
それは、天才の好奇心に多くの人はついて行けなくなってしまうからである。
火は人々を照らすが、大きくなりすぎ、近付きすぎると周囲の人を燃やしてしまうのである。
なので、リーダーは2度生まれるという現象が起きてしまうのである。
最後に
北野唯我さんはこの本を応援歌にしたいと語っていた。
この本が応援歌になり得るのは、
人はやり直せるという事。
弱さを認めるという事。
違いを認める事。
をこの本では描いているからだろう。
挑戦するからこそ人は壁にぶつかるのである。
壁を飛び越えるためには人は大きくしゃがむ必要がある。
そのしゃがむ行為とは弱さを認め、違いを認めることである。
どの役割の人間も苦悩していて、
それなりの問題を抱えて生きている。
それでもその問題に向き合うことで成果は得られるという事を示してくれている一冊だった。