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学びと呼吸法 アウトプット意識して ~日経産業新聞 HRマネジメントを考える (2020.03)

日経産業新聞水曜日のリレー連載「HRマネジメントを考える」です。先週掲載の奴です。これで追いつきました。次は5月の予定です。正月にブログで書いた内容、gcdfの秋のクラスで特に感じたこと、などを融合させて書てたます。ちょうど今、ヨガやってました。今日から5日間の断食道場。いろいろアクティビィティもやってくれるのです。それにしても、不安とは「対象が特定されない恐怖」だといいますが、まさ未知のウイルスってこれそのものです。目に見えないから。

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日経産業新聞 HRマネジメントを考える (2020.03)*************************************
学びと呼吸法 ~アウトプット意識して 
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副業として週末にキャリアカウンセラー養成講座のトレーナーを担当しています。そこでは大人の学びについて考えさせられることが多くありまます。
最近の受講生は比較的若い層が増えてきています。彼らの多くは年上の相手を理解するのが難しいと感じています。その年代を経験していないのですから、難しいのはある意味で当たり前なのですが、年上のクライアントがくるだけで不安に陥る人もいます。不安に包まれながらでは良いカウンセリングはできません。
不安とは「対象が特定されない恐怖」だといいます。不安を和らげるには、対象を特定すること、その対象を理解することが、まず大切です。そのために私たちにできることは、実は「学ぶ」ことしかありません。キャリアの発達理論を学んだり、様々な年代の人の話を聞いたりすることで理解は深まります。そして、あとは実践と経験からの学びあるのみです。
学ぶことにより、知ることができ、不安が薄れ、そこはかとない自信が芽生えます。これが大切です。障害者やLGBT(性的少数者)の人々への対応も同じです。知らないと、どうしていいのか不安になりますが、知ることにより、その不安は和らぎます。
社会に出るのが不安だという学生であれば、身近な社会人の話を聞き、業界研究をすることで、漠然とした不安は具体的な「越えるべき目標」に変わります。
世の中のいさかいの大半は相手から学ぶこと、相手を知ることの努力を放棄したところから生まれます。学び合うことは、究極的には世界平和に結びつくといっても過言ではないでしょう。
では、よい学びをするためには何が必要なのでしょうか。ヨガなどの呼吸法では、吐き呼吸に意識を集中させて、吸い呼吸は自然体ですればいいといいます。ちょうど深呼吸の逆の感じです。
学ぶこともヨガの呼吸法に似ています。吐き呼吸はアウトプットであり、吸い呼吸はインプット、つまり学ぶことです。よい学びのためには、よいアウトプットが大切です。学ぶことが自己目的化すると、吸い呼吸ばかりが意識されます。
そうではなく、吐き呼吸であるアウトプットをしっかり意識すれば、おのずとよい学びができる。「いきなり人事に異動して面接や面談をしてるのですが、こんな自己流でいいのかと不安なので」「ずっと人事で仕事をしているのですが、一度ちゃんと体系的に人との接し方を学ぶ必要があると痛感して」といった受講動機をよく聞きます。まさに吐き呼吸と吸い呼吸を健全と回そうとする学びのスタンスです。
私は社外の仲間と経営学習研究所という一般社団法人をつくって活動をしています。「自ら学びたいと願う人が、学びを深める現場」「変わりたいと願う人々が変わることのできる現場」のクオリティを向上させること、その結果として日本を学習大国にすることを究極の目的として活動しているチームです。
活動の過程で様々な人の学ぶ姿勢に触れます。学びに貪欲な人の多くは真剣に何かに対峙しています。まさにきちんと吐き呼吸をしているのです。真剣に生きことが学びの欲求につながり、学ぶことによって生きることを輝かせている、そんな循環があります。
誰も学ばなくなってしまった社会は衰退して滅び去る社会です。これは組織にもいえます。あなたの組織は大丈夫でしょうか。

※写真は仙台「源氏」のカウンターでセンターをとった時のものです。

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