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vol.622 おれは全然わかってないなあ!と思わせてくれることって刺激的ですよね。(稲田)2024/9/2

データサイエンティスト、マーケターの松本健太郎さんのツイートを読んでおおお…と思わず唸りました。

詳細はぜひ読んでいただければと思いますが、特に「おお…」と思った箇所を引用します。

数十年前、あるSaaSサービスで「お客様満足度」を追ってたのですが、数年分の売上データから生存時間解析を行ったら「満足しても解約するし、満足しなくても使用料が増える」という残酷な事実を発見したことがあります。

満足度の向上が売上を押し上げる直接効果がほぼ無く(1番効果があったのは広告宣伝費だった)、「えっ、じゃあなんで満足度を追うの?」と思ったものです。

つまり満足度によってお客様は「育たない」し、もっと言えばお客様はメーカーサイドによって「育つ」ことはない。

広告宣伝、開発、営業、CSと部署が分かれていた中で「お客様満足度はCSの重要KPIだから」と諭されたことも強く記憶に残っています。「それって本当にお客様を向いた発言なんだろうか?」「でもお客様満足度って言ってるからな…」とモヤモヤしたことを覚えています。

今にして思うと、お客様と私たちメーカー、両方にとって良い指標を追うべきだったんだと分かります。部署がサイロになってしまうと、このように「他部署でこれ微妙じゃない?と分かっても受け入れ難くなる」みたいな問題が起こります。

どうですか。おおお…と思いませんか。

更なるおおお…

上記にリツイートしているこの方の内容もおおお…と思いました。

あまりにも至極納得!と思ってしまったので全文引用させていただきます。

BtoBの話では、ふとNPS/満足度と、実態の売上との相関を自分でも分析したことがある。 結論から言えば顧客満足度と売上は相関してなかった。

もっと言えば、担当者はすごく満足してるのに、なかなか取引金額が伸びてなかった案件も多かった。

これは何故か。生々しい話をすると、売上は顧客の財布の大きさに比例する。 そして、顧客はこの◯◯カテゴリにはいくらくらい払おう、と何となくの相場がある。なので、カテゴリ内の最大出費額にも関係する。

①財布が大きい→②財布内出費額が大きいカテゴリ→③そのカテゴリでの競争優位性→④発注発生(売上) の構造になる。

顧客満足が高くても財布の大きさは変わらない。カテゴリの出費額は啓蒙で増やすことは出来るが、これは企業の意思決定だ。担当者個人の満足度だけでは調整できない。だから、満足度と売上はイコールではないのだ。

また、そもそも、満足とは「足りて満ちている」、つまりこれで十分と言われてるようなもの。実は満足されちゃうと出費額はこれ以上上がらない。

満ちてるがもっとこうしたい、こうなりたい、が取引関係の中で双方で膨れ上がり続けてるのが理想だ。

https://x.com/seiya_fujishima/status/1830451497022406835

語られている内容に至極納得で、特に下記の構造はぐうの音も出ないと思いました。マーケティングにカテゴリ設定が重要だというのは耳タコですが、財布を絡めて語られるとその重要性がよくわかると改めて思いました。BtoBの戦略策定や活用支援をする際にもこの視点は極めて重要だと思います。

①財布が大きい → ②財布内出費額が大きいカテゴリ → ③そのカテゴリでの競争優位性 → ④発注発生(売上)の構造

また、Web制作や活用支援でも受注に至るかの重要ポイントとして「顧客が本気で困っているかどうか」があると思っていたのですが、そこについても下記の語られ方は完璧だなあと思った次第です。

満足度と売上はイコールではないのだ。また、そもそも、満足とは「足りて満ちている」、つまりこれで十分と言われてるようなもの。実は満足されちゃうと出費額はこれ以上上がらない。 満ちてるがもっとこうしたい、こうなりたい、が取引関係の中で双方で膨れ上がり続けてるのが理想だ。

更に引用

引用した2つのツイートの後に『なぜ顧客理解の前にカテゴリー理解なのか? マーケエビデンスの使い方』を読んでいただくとこれまた刺激的です。興味ある方はご覧ください。なんというか、おれは全然わかってないなあ!と思わせてくれることは刺激的ですよね。

実務面では、「なぜ戦略立案に『カテゴリー理解』が大切なのか」をお伝えできればと思っています。カテゴリー理解とは、そのカテゴリーがどのように買われるのか、そこでは事業やブランドがどのように成長するのかという規則性と例外を理解することです。

マーケティングで何が変えられ、何が変えられないのか。何が脅威で、伸びしろがどこにあるのか。こうした市場や消費者行動のマクロな理解は戦略を考える上で欠かせません。いうなれば、“戦略以前”の問題です。

しかし近年では、なぜかカテゴリー理解を飛ばしてミクロな顧客理解だけにこだわるマーケターが増えた印象です。確かに施策を開発する際には消費者や購買文脈の深い理解が有用ですし、私自身そういう本を書いていますが、戦略はカテゴリー理解から始めるべきです。

なぜかというと戦略視点を大きく外す可能性があるからです。「右に行くのか左に行くのか」を間違えていたら、電車で行こうが、自動車で行こうが、歩いて行こうがゴールにはたどり着けません

https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00801/00020/


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