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ヤングケアラーと自己啓発本

さて、10年ほど前から自己肯定感、自己受容、自分を愛する系の自己啓発本やセミナーなどが流行り出しました。

ギブアンドギブだとか、愛されたければまず愛しなさい、受け取りたければ与えなさい、怒りに支配されず穏やかな心でみたいなものが多いです。

まぁまぁまぁ、最終的にそうなるとしましょう。
ですが!!
ですがですね!!!
ヤングケアラーってもう十分に与えてきている人なんですよ。

このギブアンドギブ、愛されたければまず愛しなさい。与えなさい
って
子供時代に、ちゃんと保護者に守られていた子供、ちゃんと子供時代に自分本位に生きてきた人向けの言葉や本なんです。

正直なところ、
今まで人に与えてきた、与えすぎてきたヤングケアラーがさらにギブアンドギブ愛されたければ、まず愛しなさいを実行すると、その辛さ悪化する場合があります。

私の場合は、20代前半でそういったものを読み漁り、セミナーにも参加してみたり、仏教の所作の本を読んでみたり
そしてさらに人に優しく親切に愛を与え、ギブアンドギブを実行していました

その結果

事態は悪化!!!!

その時に
“この考え方は今まで与えてきた人に向けたものではない”と言うことに気がついたんです。

ギブアンドギブは“自分本位の軸”がある人だからこそプラスに発揮されるんです。

そんな中で決定打になったことがありました。

自分を愛し周りも愛する系セミナーに参加をしたのですが、そこの代表の女性にすごく冷たく嫌な態度をとられたのです。

こちらはお金を払ってセミナーに参加をしているのに、なんでそんな態度を取られなきゃいけないんだという感じでした。
もちろんすぐ退会しました。
でも、その時に気がついたんです。
「そっか、自分が苦手な人には冷たくしていいんだ」
極端な話ですが、そう思いました。
そして
「自分が苦手だと感じる人からは離れていい、嫌って良いし罪悪感を感じなくていいんだ」ということが腑に落ちました。
そして、実際に離れると言う行動を取ることができるようになったんです。
そう、関わる人を自分で選択していいんです。

ヤングケアラーはいやでも、ひどいことをされても親を見捨ててはいけない、離れてはいけないと言う刷り込みがある人が多いのではないでしょうか?

そして親以外との関係でも、嫌な相手、心地よくない相手から離れると言う選択が苦手な方、我慢してしまう方が多いのではないかと思います。

そして我慢することが美徳だと思っている方もいるかも…

本当は親でも誰であっても、あなたを大切にしない人のことを嫌ってもいいし、さよならをして良いのです。
我慢することは美徳でも、良いことでもありません。

長い間、家族の中での役割がヤングケアラーだった人は今「与えるターン」から「受け取るターン」「自分で自分を大切にするターン」「人には与えないターン」のライフステージに来ているのだと私は思います。

なので、そういう方はギブアンドギブから離れてください。
あなたが与えるとしたらあなた自身に与えてください。
人に与える隙があるなら全て自分に注ぎ込みましょう。

そして「自分から求めなくても自分に与えてくれる人にお返しをする」位でちょうど良いのだと思います。

今、もしも自分の望まない環境にいるとしたら、その環境から逃げてもいいし、縁を切ってもいいと言うこと、自分には環境を選ぶ権利があること、その力があることを知ってください。

そしてまずは自分で自分に
自分にとって心地がいい場所・人間関係
を与えましょう。

あなたには、自分で自分を幸せにする力があることを思い出してほしいのです。

私がヤングケアラーから抜け出す助けになった本が2冊あります。

1冊目は「アドラー心理学」

こちらの本はざっくり言うと「自分が今いる環境を選んでいるのは自分だ」と言う、毒親育ち、ヤングケアラーとしては、なんとも心が痛くなるようなことが書いてあります。

ですが、言い方を変えると
「子供の頃は与えられた環境で生きるしかありませんでした。ですがもう大人であるあなたは、ここからは自分で自分のいる場所・関わる人を選ぶ自由とその力がある。自分で選んで良いのです。」と、いうこと

そして「誰かがあなたを助けようとしたとしても、助かる道を選ぶか、その場にとどまるか、最終的に決めるのは、あなた自身である」
ということが書いてあります。

また逆もそうです。
あなたが誰かを助けようとした時、その誰かはあなたのご両親かもしれませんが。

あなたが懸命に助けようとしたとしても、その誰かがその場にとどまる選択をすれば、それはまた、その人が決めたことなのです。
そして本来、その人は自分で自分を助ける力があるのであなたが助けなくても大丈夫なのです。
その人が助からない事は、あなたのせいではないと言うことを覚えておいてください。


そして、もう1冊は
“悪魔とのおしゃべり”です。
これはヤングケアラーの鬼門である
“いい子でいるのを止める”の役に立ちます。

社会には、普通こう、常識と言うどうでもいいルールがたくさんあります。
別に人が死ぬわけでもない、誰かが傷つくわけでもない守らなくてもいいルールがたくさんあります。
そのルールは何のためにあるのでしょうか?
私は“人を傷つけたり、命の危険がある事”以外であれば何をやってもいいと思っています。
どんな服装しても、どんな髪型をしても、どんな趣味趣向でも

人に評価されることや普通でいられているかよりも、自分の心が満足することを優先するために、普通と言う鎖を緩めて、あるいは解いてくれるそんな本だと思います。

なので、例えば普通ではないと言うことや、道徳的ではない、いい人ではないと言うことに罪悪感を感じる人はもしかしたら読み進めることに少し抵抗があるかもしれません。

ですが、今まで他人の価値観の中で、他人本位に生きてきたヤングケアラーにとって、自分の中に自分本位な部分を作り持つことで、他人本位と自分本位のバランスが整い生きやすくなるのではないかと思っています。

少なくとも、私自身は、他人本位100%だった頃より

自分本位70%
他人本位30%

くらいにした今の方がだいぶ生きやすくなりました。

もしもギブアンドギブ系を実行したのに変わらず苦しい、もっと悪化した、とするならば

この“いい子でいるのを止める”方法を自分の判断で試してみるのも良いかもしれません。

ちなみに、私が“いい子でいるのを止める”ためにやったことは
・仕事を辞める
・髪を金髪にする
・露出の多い服を着てみる
・電車で妊婦さんと怪我人以外に席を譲らない(優先席以外で)
です。
これだけで昔の私がどれほど“いい子”であったが垣間見えますね。

今回あげた2冊は、私にはたまたま合っていました。
ですが、それぞれの人にそれぞれの価値観、それぞれの経験があります。
ですので、必ずこの2冊が良いと言うわけでもありません。

大切なのは、自分の考え方・価値観を誰かの教えに合わせて従うことではなく、

自分自身で考え、自分の価値観に合うもの

を見つけていくことだと私は思います。

みなさんがご自身にとって心地よい生き方ができますように。
どうぞご自愛ください。

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