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「獅子山精神」の今後に邦人は伸るか反るか


本来の"獅子山精神"とはちょっとずれるので予めご了承を。因みに本来の意味は香港人のコアバリュー「努力、勤奮、自強不息、刻苦耐勞、同舟共濟、不屈不撓的拼搏精神*」を指します


元々文字通りの「見る前に飛べ(Leap before you look)」的な風潮が強く、何事もつんのめるくらいの姿勢で走りながら考え、考えながら走れという風潮の強い街、香港。

それがネガティヴなベクトルだろうがポジティヴだろうが、振り回しに来るのが英国だろうが日本だろうが中国大陸だろうが、旧来どのみち一度立ち止まってみよう、ということのなかった街だと思っている。

最近、特にこの2年は西(西側諸国)と東(紅いお上、大陸の共産党政府)の狭間で大きくうねり、大きな力に抑圧され、街そのものがものすごく大きな分岐点に居る(いや、悲しいかなある方向へ既に傾いているとも言うべきかも)。

ただその、考えながら走り、回り続けることを余儀なくされていた大きな要因である西とも東ともCOVID-19で物理的な交流がほぼ途絶えた今、(先日ここに書いたとおりの「移民ブーム」も含めてだが)ちょっと皆が立ち止まって来し方行く末を考える機会にもなっていると感じる今日この頃。

無論ここに住むわたしのような個人も、このアジア代表格の経済ハブ都市で日々お金を回す企業達も同じ。そして、香港人だろうが何処から来ていようが、さて今後どうしようかと紅いお上の様子をチラ見しつつ、中長期的な先行きに思いを馳せ、それでもまだこの土地で自分のできることは何だろう、と考えながら走りながら我々は日々生きている。

例の香港バージョン国家安全法(國安法、”National Security Law”なので英文ではNSLと略されることが多い)を敷かれ、今まで良くも悪くも生きるも死ぬも自分の自由だったところで、さてどうするよ?!と色々な思考や様々な試行錯誤を繰り返して来た。

で、USは自国の企業には素早く注意喚起 ↓ した。実際数か月前のニュースでも、在港US企業の6割が撤退や縮小検討中、という情報もあった(ソース忘れた。思い出したらここにシェアします)。


で、わが祖国はどうよと自分周辺で色々見聞きして回っていたところ、我らがSCMP(サウスチャイナ・モーニングポスト=南華早報、香港に昔からある英文紙。一応立場は”中道”としながら中のひとは前オーナーの関係からか星馬=シンガポール&マレーシア関係者が多く、かつ現オーナーはかのアリババ、っていうある意味絶妙なバランス感覚の新聞社だ)が、今月退任する在香港日本総領事に取材していた。

わたしは日頃日本企業中心の在港邦人社会に接触する機会がほぼ皆無な状態なので、彼らの感覚、或は「日本国」としての見解は一体どうなのだろうと興味深く読んでみた。

そして和訳してみたので、下記ご一読を:

(ところで、上記リンクの見出しは「”日本ー香港間の連携は国安法やコロナウィルスを乗り越える”と日本の総領事語る」。下記の記事内容にはないので注記しておく)

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今週のアジア/政治

退任予定の在香港日本国総領事、ビジネス促進のためグレーターベイエリア(大湾区/GBA)における新型コロナウィルス渡航制限緩和を求める


• この日曜日退任の和田充広・在香港日本国総領事、物議を醸している香港版国家安全法についてこれを理由に香港から撤退した日本企業はないと述べる
• 日本は香港との協力関係強化を求めているものの、政府と日本の経済界が望むのは香港の「自由でオープンなシステム」の継続



在港日本総領事・和田充広によると、日本企業は、香港版国家安全法(国安法、NSL)施行後に情報規制、法による支配や司法の独立性が懸念されているにもかかわらず、アジア金融ハブにおけるビジネス上の存在感を落とすまでには未だ至っていない、とのことだ。
一方で、和田総領事は中国大陸本土や他国との新型コロナウィルス肺炎による越境規制により、香港に拠点を置く日本企業は事業縮小を余儀なくされているケースもあると指摘する。また、越境規制を回避し中国本土内にある工場へアクセスを継続するために、広東省へ事業所を移転する企業もあると言う。
和田氏は、中央政府が香港、マカオ、広東省の3エリアの統合経済圏として開発を望んでいるグレーターベイエリア(大湾区、以下“GBA”)内の往来制限緩和を唱える。
和田氏は3年間の任期を終える日曜日を迎え、Eメールにてインタビューに答え、「この状況が続けば、香港に拠点を置く日本企業にとって損害がますます大きくなり、将来的には香港経済に対するリスクになり得る」と言う。
和田氏は、多くの日本企業が香港に管理拠点を、本土に生産拠点を置いているとし、7月の調査では、香港に進出している日本企業270社のうち実に70%以上が、事業において最も深刻な問題は(香港~中国本土の)越境規制である、と回答していることを指摘。
この調査は四半期に一度、在香港日本国総領事館、日本貿易振興機構(ジェトロ)、香港日本人商工会議所が実施しているもので、結果を踏まえ和田氏は「越境規制が日本企業の事業遂行に大きな影響を与えている」「既に企業や従業員を香港から広東省へ移転した企業もある」と述べている。
和田氏は「更に、香港には約2万4千人の邦人がおり、頻繁に変更される越境ルールの中でウィルス陰性証明書など、出入国に要求される書類を作成する負担が大きい。」とも言う。
香港政府によると、パンデミック前までにおよそ1,400社の日本企業が進出しており、そのうち47%が香港にアジア地域統括本部や支社を置いている。
7月の調査で、他に日本企業が挙げた懸念事項は売上の減少や制限、展示会やセミナー等のイベント延期や中止だ。
昨年末実施された別の調査では、香港国安法について52%の企業が「懸念している」、15%が「非常に懸念している」と回答している。それにより「事業の見直しを検討する」と答えた34%のうち、13%が「事業縮小する」と回答したものの、「香港からの撤退」を回答した企業は1.7%でした。
和田氏は、国安法を単独理由として事業撤退や縮小を行った企業はないとするものの、法の支配や報道の自由に対する(香港政府や中央政府の)過干渉や制限は、香港の魅力を損ないビジネスに悪影響を及ぼすであろうと述べている。
「香港が自由で開かれたシステムを維持し、“一国二制度”の下で民主的かつ安定した手段で発展していくこと、それが日本の一貫した姿勢である。これは非常に重要なことで、日本の経済界が期待しているポイントだと考えている」と語った。
香港国安法導入以来、外資系企業は法治国家であるはずの香港が、仲裁や契約締結の場としての魅力を失い、グローバル本社或はアジア地域統括本部機能を移転させるのではないかと危惧を抱いている。多くの人から、この曖昧でありながら独断的と評されるこの新法の下では、個人も企業も標的にされ得る、と不安の声が上がっている。
アメリカ政府をはじめとする西側諸国数か国は既にこの香港国安法を批判する立場をとっているが、一方で在香港アメリカ商工会議所は香港の中心にオフィスを購入しており、この件はアメリカによる香港への長期的なコミットメント(傾倒)の証である、と広く世間で解釈されている。
和田氏に言わせると、このコロナウィルスのパンデミックにより日本企業は数ある懸念を抱えるものの、香港の将来に関しては強気、前向きであり続けているとのことだ。また、日本企業は7千万人以上の人口を持つGBAっアクセスへの足掛かりとしている。

また、和田氏は「深圳やGBAに繋がっている香港は、人材、金融、そして技術の面においてその開発中心となり得る要素を備えている」「我々は香港とGBAに大きな期待を寄せている」とし、日本企業がGBAでヒト、モノ、そしてサービスの自由な交易を期待していると述べている。
そして日本と香港、双方とも高齢化社会への対応、生産年齢人口の減少、地球温暖化及びプラスティック廃棄過剰等の共通した課題に直面していると言う。
和田氏のコメントは「我々は香港と協力し、こういった問題の解決に貢献したいと考えている」とし、「両社は日本企業の製品発売や高齢者介護機器レンタルのための技術支援を行うなど、高齢者ケアの分野で協力している」とのことである。
和田氏も観光事業の再開に期待を寄せていた。「香港人の方に会うたび『いつ日本に行けるのでしょう?』といつも訊かれる。コロナウィルス感染が落着き次第、日本~香港間の観光往来をパンデミック前の水準に戻す努力をしたい」と語った。
パンデミック前の2017年から19年にかけて、毎年約220万人の香港人が訪日していた。そのうち3分の1ほどは10回以上も訪日するリピーターだ。
しかし、渡航制限は日本製品への需要を促進することにもなっており、香港への日本酒、ワインや卵の輸出は昨年急増したとのことだ。香港は16年間、日本の農水産物や食品輸入都市のトップとして君臨し、日本の総輸出量の実に22.3%を占めている。
香港政府は、2011年の原発事故後、福島周辺4県の農水産物に対する輸入規制を緩和したところだが、福島県産の一部の製品については依然輸入制限になっている。
これについて和田氏は「これまで同様、日本政府は香港の皆様へより詳細な説明を行い、輸入制限の解除に向けて香港の皆様からの信頼を得られるよう努力を続けたい」とした。
1984年、和田氏は香港中文大学でマンダリンを学ぶために訪港。この、初めての海外訪問が忘れられない思い出になっていると言う。啓徳空港(*訳者注: 旧空港)に降り立ち、機体のドアが開くと香港の多湿な亜熱帯の空気と「独特の匂い」に迎えられたことを鮮明に記憶しているとのことだ。
「当時は、見るもの聞くもの触れるもの全てが自分にとって斬新だった。海外については全く無知だったので、香港での生活は素晴らしい学習になった」「わたしの外交官としての基礎は、香港で培われたと言っても過言ではない」と和田氏。
在香港日本国総領事としての最後の数週間、和田氏は香港の人々に感謝の気持ちを表され、「日本の総領事として、自分の努力が香港の人々に評価されたということであり、これ以上嬉しいことはない。後任者にも同じようなご厚意を寄せて下されば幸いだ」と返答した。






何というか、US他西洋諸国に比べると生暖かい、曖昧なふわっとした、ある意味典型的な日本らしさ。旧来の製造業(来料加工、移管ビジネス的な貿易業含む)進出が依然数多いという性格上、大陸とのリンクが不可欠なことは理解できるし、その辺は差し引くにしても。

一応「西側諸国」の端っこに席をもらっている我が母国だが、東アジアに位置する以上は紅い大国が隣から繰り出す威圧感と巧みにやっていく必要があるので、他の「西側諸国」にはない事情はあるという前提なものの。ほわっとしてる。

で、ふとかの天安門事件の時も、「西側諸国」で唯一紅い国に経済制裁しなかった立場を思い出しつつ。さて今回はそのふわふわが吉と出るか凶と出るか。




注:*「努力、勤奮、自強不息、刻苦耐勞、同舟共濟、不屈不撓的拼搏精神」     努力、ほぼ日本語と同じ。勤奮、勤勉であること、ハードワーキング。    自強不息、絶えず自己研鑽すること。                   刻苦耐勞、は困難に耐え苦労を惜しまないこと。               同舟共濟、(同じ舟に乗り合わせたら)助け合い難関を切り抜ける。    不屈不撓、は強い意志を持ち挫けないこと。                  つまり上記全てを併せ持ち精神集中して戦う精神。

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