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中国人妻の地元を訪ねて②〜祖父母との出会い〜

2023年8月末〜9月上旬にかけての2週間、妻の実家に帰省するため、中国は江蘇省を目指して、家族一同(私・妻・妻の両親)羽田からの深夜便で上海浦東空港に飛び立ちました。

私自身の訪中はおよそ10年ぶりくらいだったので、ニュースで見聞きする中国の急速な変化(急激なインフラ整備やD X化)が気になっていましたが、噂通り、現金を持ち歩いている人はほぼいなくて、おじいちゃんおばあちゃんでもスマホのQR決済(※多くはWeChatペイかアリペイ)を利用していました。買い物や電車のチケットを買う際に現金を出すといちいち「今時お釣りとかめんどくさ」みたいな表情をされて萎えましたが、とりあえずは現金も使用可です。また、街中には電動スクーターがそこらじゅうに溢れ、テスラやB Y Dなど のEVも結構走っていました。

我々一行はというと、浦東空港から地下鉄で上海火车站(上海の鉄道駅)まで向かい、そこから高鉄(高速列車)に乗り込み、まずはパパの地元の江蘇省鎮江市に向かいます。中華街とかで売っている鎮江黒酢で有名な街ですね。

滞在経験のある方はわかると思いますが、中国って独特の”匂い”があります。それが食品のスパイスの香りなのか、印刷物のインクの香りなのかは謎ですが、空港降りた瞬間にいつも匂いを嗅いで中国来たな〜と実感します。そんな懐かしい香りに包まれながら列車の車窓を眺めると、留学時代や各地に旅行した様々な光景がフラッシュバックしてきます。

高鉄の車窓 たぶんここは蘇州くらい

中国の高鉄は日本でいう新幹線とニアリーイコールですが、若干の違いはあるので、それも別の機会でお話しできればと思います。

鎮江駅に着くと早速、ボロボロの電動三輪車の運転手たちが声がけしてきます。タクシーよりは安い・・という事で、2・2に分かれて乗り込み、パパの実家まで乗せてもらいました。運転士のおばちゃんとパパの会話は鎮江独特の方言なので半分くらいしか聞き取れません。

なぜか理容室風のエプロンを羽織った口達者な電動三輪車の運転士

言葉の通じないおじいちゃん、おばあちゃんにご対面

商店街の路地裏をクラクション鳴らしまくりながら突き進んで行くと、パパの両親、爷爷(養祖父)、奶奶(養祖母)の住むアパートに到着。実は妻と妹は幼い頃にこのおじいちゃんとおばあちゃんにずっと面倒を見てもらっていたそうで、再会と同時にお互い笑顔が溢れ出します。中国では子供が産まれたら親は共働きして祖父母に子供を育ててもらうという家庭が多く、妻もこのケースでした。

軽く妻から私の紹介はしてもらいましたが、一斉に始まる江蘇省の方言トークによって完全に蚊帳の外に…そこで頼りになるのがパパ。私に対して中国語の標準語や日本語で通訳してくれました。おじいちゃんは博学で中国史や伝統文化に詳しい人で、私の大学時代の研究テーマが諸子百家(春秋戦国時代に生まれた孔子、老子、韓非子、孫呉の兵法といった哲学書)とわかると色々なトリビアを教えてくれて少しだけ距離が縮みました。(パパの通訳ありきですが)

おばあちゃんは腰や胃腸など身体のあちこちを悪くしていて、立つのもやっとという状況。会話が中々通じない事もあり、ずっと困り顔で私を見つめています…

一旦落ち着いた後で、パパがお昼ご飯を作るというので我々は一旦街歩きへ。

エモすぎる街風景と懐かしい匂いにクラクラ

家の近くの市場でびっくりしたのはそこらじゅうに放し飼いの犬や猫が闊歩していたこと。市場の人々には懐いてる様子でした。日本も昔はこんな風景だったなぁと思いを馳せつつ、街風景のエモさにやられてしまいひそかに泣きそうでした笑
また中国ならではの食材も並んでいて異国情緒たっぷりです。

猫や犬と共生している市場
精肉店や青果店の雰囲気も昔のまま
ママはスーパーでドリアンを物色
食用蛙が生簀に!?

待望!パパのガチ中華ランチ

そしてもう一度アパートに戻ると、パパが地元食材をふんだんに使ったガチ中華を所狭しと並べていました。南京名物の盐水鸭(塩漬けの鴨)や、镇江肴肉(豚の足底肉にゼラチンがのった料理)など、地元のガチ中華の数々。ていうかこの量、この頭数で食べられる?と思ってたら、案の定3日後くらいまで冷蔵庫で保存しながら消費していくことになりました。

そしてパパは嬉しそうに度数50度の蒸留酒、白酒で乾杯に誘ってきました。今思えばこれが破滅の始まりだったのですが…それは次回

そうこうしていると、仕事の都合で別便でやってきた妻の妹も合流。妻と同様におじいちゃんおばあちゃんとの再会を喜びつつ、日本で買ったサプリや湿布を渡して喜ばれていました。

妹は中学生の時に来日、日本語も堪能で日本のアニメやゲームが大好きないわゆるオタク。感情豊かな妻に比べて普段はクールでおとなしいイメージでしたが、ここでまさかの展開!妹の進路を巡って両親との大喧嘩が始まってしまいます。よりによってなんで祖父母との感動の再会を果たした直後に…とは思いましたが、妹も負けじとアパートが壊れるくらいのとんでもない声量で激しい口論に発展。私も仲裁に入ろうにも方言が聞き取れないのでタジタジ…そんな状況でもおじいちゃんとおばあちゃんは黙々と家事をこなして意に介さず。あらためて中国の家庭ってこれぐらいがスタンダードなんだなぁと再認識しました。

夜食は鎮江名物「鴨血麺」をすする

嵐のような口喧嘩を終えた後、私と妻とママで地元の風光明媚な観光スポット「西津渡」へ。ここは長江の渡場として栄えた古都で、夜景がとても綺麗でした。

西津渡の夜景

合間で臭豆腐やらべっこう飴やら色々食べ歩きお腹も足もパンパン…

パパから電話で夜ご飯は外で食べてきて!という連絡が入ると妻が「鸭血粉丝!鸭血粉丝!」コール。この麺料理は直訳すると鴨の血と春雨のスープ。江蘇省名物でもあり、子供の頃から大好きな珍味だったので久しぶりに食べたいとのこと。途中通りかかった夜市で中国風おでんを引っ掛けつつ…食べすぎ

そしていよいよ鸭血粉丝のお目見え!

見た目は地味ですが、確かにウマい!だけどちょっとディナーには物足りないなぁという感じ。ちなみに鴨血はプルプルのレバーみたいな火鍋の食材としても定番です。他に鎮江市の名物としては「锅盖面」という鍋の蓋と一緒に麺を茹でて出汁をとる独特の名物もありますが、これも味は普通でした。

锅盖面の調理場を撮らせてもらいました


ジェットコースターのような初日になりましたが、ここでまた事件が起きてしまいます。実家の寝床は人数分あるわけではないので、パパとママが実家に泊まり、私と妻は近所のホテルに宿泊予定だったのですが、実は意外と外国人NGのホテルが多く、近場に私がチェックインできる場所がないと判明。仕方なく妻とママがホテルに泊まり、私はパパと一つの寝床で添い寝することに。結果的に2週間の旅路で最後に上海で泊まったホテル以外はほぼホームステイとなり、連日連夜パパとニの字で寝ることになったのでした。

なぜか家にいるときはずっと裸エプロンのパパと一緒にドリアンを食べて就寝…しようと思ったら妻から連絡があり「明日はママや従姉妹たちと西津渡に行って漢服で映え写真撮ってくるから、おじいちゃんたちとうまくやってねー」と。
まさかの置き去り!

さて、頼りの妻がいない状態で言葉の通じない祖父母とどう過ごすか…酔っ払ってイビキをかいている上半身裸エプロンのパパは助けてくれるのか?先が思いやられます。

次回、鎮江のおじいちゃん、おばあちゃんとの異文化交流と涙の別れ!そして江蘇省に巣くう酒の魔王降臨!の巻

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