中国人妻の地元を訪ねて⑤〜親戚100人大宴会〜
中国人妻の故郷、江蘇省への帰省旅行も後半戦。鎮江→揚州曹甸→淮安と親戚宅のホームステイで各地を転々としていく中で結構大変だったのが食事量。朝昼晩の食事に加えて間食というには多すぎる量のおつまみや果物が頻繁に出され1日8食ペース。さらに昼も夜も酒(50度以上の蒸留酒・白酒)が出てきて日本から来た我々を大歓迎してくれるのはありがたいのですが、これ、帰国したら内臓がぶっ壊れてんじゃないか?と一抹の不安もよぎります。
後半は曹甸鎮から大姨娘(母方の4姉妹の長姉)の家に移りました。自宅は淮安市というこの旅路では一番の都会。揚州、蘇州、杭州と並ぶ運河沿線の「四大都市」に数えられる場所で、周恩来ゆかりの地でもあります。
淮安では観光地もいくつか周れたので、ようやく中国旅行してるなぁ〜という実感が持ててきました。
そして連日の飲み会でストレスを抱えた胃腸を癒してくれる大姨娘のつくる優しい朝ごはんも最高!
そんなゆったりした時間も束の間…
またまたBIGな大宴会の知らせが舞い込みます。
大姨娘の還暦パーティーが淮安で開かれるとのこと。
中国では10歳刻みの誕生日を節目として親戚が勢揃いして祝う風習があり、パパの50歳の誕生日会も日本のカラオケ付きの中華料理店で盛大に行われました。日本にいる親戚は10人くらいでしたが、中国だとどれくらいの集まるのか…想像もつきません。
会場は思っていたより豪華なセットで、入り口で署名してご祝儀を納める光景も結婚式さながら。続々と人が集まり始めると、あっという間に100人規模の親戚が集結していきます。これも優しくて決断力があってみんなに頼りにされている大姨娘の人徳によるところが大きいでしょう。
そして大姨娘の夫である白酒魔王ことダーイーフーも、安定の飲みっぷり。私は色々なテーブルを回ってこの場はうまくかわしましたが、相変わらずパパは横で飲まされています。
この宴会の中で、一人やたらと私に友好的に絡んでくるお兄さんがいました。どことなく次長課長の河本さんに似ているお兄さんは「兄弟!日本から来てくれてありがとう!君は今日から私たち家族の一員だ!@@(妻の名前)は君に託したぞ!乾杯!」熱い言葉をかけながら肩を組み合い、酒を酌み交わします。お兄さんはその後も僕のことを「兄弟!」と呼び、旧知の中と言っていいぐらい仲良くなりました。
縁もたけなわというところで、誕生日ソングの合唱です。
日本でお馴染みの「ハッピーバースデートゥーユー♪」の中国語バージョン「祝你生日快乐♪」の大合唱。
そこで老姨娘(妻の母型の末妹)が私にむちゃぶりしてきます。
「この子が日本語で誕生日ソング歌うよ!」
知らない人だらけの中で、みんなが注目する中、「ハッピーバースデーディア大姨娘〜♪」とマイクで熱唱する私。会場がざわつき出し、一斉に「英語やないかい!」とツッコまれました。だって「誕生日おめでとー♪」みたいな歌詞ないですよねアレ・・
軽すべりしたあとの帰路で妻に尋ねてみました。あの肩組んで仲良くしてくれたお兄さんってどういう間柄なの?
妻「あんな人知らない・・・」
後々調べたところ妻の母の姉の父親の息子の弟・・と、めちゃくちゃ遠い親戚でした(笑) それでもあれだけ馴れ馴れしくできる中国の家族の絆恐るべしですね。
淮安市の大姨娘の自宅に戻ると、早速ダーイーフーが「今日飲んでなかったよな?」と、「ゲェ〜(乾杯の方言)」を連発。本当にこれだけ白酒を飲んで体を壊さないのが不思議でなりません。
ついにママや妻がダーイーフーに対して「これ以上飲ませるな!」とキレ出します。
後々、私も妻からこっぴどく叱られました。
「断らないでつがれた酒をほいほい飲んでるから永遠に飲まされる。うまく酒を断るのもテクニックだし、それができないと中国ではやっていけない」日本人丸出しのイエスマンである私にとっては耳が痛い忠告…反省です。
そして翌日のお昼・・
今度は二姨夫の還暦宴会が地元の曹甸で開かれました。大姨娘のパーティーほどの規模ではないですが、それでも五十人近くの親戚が集まり宴席を囲みます。ここで出たスッポンスープがとろとろで本当に美味しかった!
さてさて、またしてもダーイーフーと隣の席になってしまった私。この日ばかりは妻の忠告を受けて「こんな素敵な時間が酔っぱらって冷めてしまうのはもったいないからチビチビ飲もう!これ日本の文化!」とか「お水も白酒も色は同じ!あなた方との会話が楽しいから水でも酔える!」とか、苦し紛れの中国語で応戦して、なんとか少量で済ませました。ダーイーフーからは「お前も口がうまくなったな」と謎のお墨付きを得ました。
この散々酔っ払った飲み会の後、一同お墓参りに向かいます。
ここまでなんだかんだでみんなでアホやって終始笑いに包まれていた中国紀行でしたが、このお墓参りで雰囲気が一点。わりと衝撃的な体験をしましたので、それは次回お話しできればと思います。