中国拳法は踊りだというナンセンスな批判について
最近話題を集めている中国ニュース「峨眉派女子カンフー団」をご存知でしょうか?
「剣を片手にゴミを捨てる女性」という動画が話題となり、四川省の峨眉山発祥の「峨眉武術」を駆使したエンタメ動画などで、結成から半年もしない間に、ネット上に投稿した動画の再生回数が1億回超え。
ここに「武術は客寄せの芸ではない」という批判の声が集まっているそうですが、日本で燃焼系アミノ式のCMから中国雑技団が再フィーチャーされたように、ユーモアやエンタメ交えた動画で武術の魅力をしるきっかけとして、ショート動画で拡散されていくのはすごくいいことだと思うんですけどね。
私はもともと格闘技好きで極真空手を習っていた時期もあり、中国武術を学んでいた時期もありますが、どの格闘技が強いとか、どの流派はニセモノだとか、そういう議論はよく目にします。
その矛先が中国武術に向けられる事もあるけど、中国武術って元々は徒手空拳というより武器術(器械術)ありきで発展したと言われています。農村の人が家にあるホウキをとって戦った棍術が現代武術の原型なんて説もあった気がします。関羽も呂布もいくら強くても戦場で素手では戦わないですよね。
おそらく現代人が格闘技の試合として成立するか否かの価値観に無理やり押し込めて強い弱いと言うのはナンセンスなんですよね。「武術」「功夫」という言葉はポピュラーだけど、日本人が大好きな「中国拳法」って呼び方、中国現地ではあまりしないんですよね。
それに中国武術の種類もとんでもない数がありますし、それぞれに求められる風格や意識なども異なります。ある程度どの武術にも共通した要求としては発力発勁(瞬間的に爆発的な力を出すこと)、身法(身体が伸びたら縮む、縮んだら伸びると言った力学的なルール)、眼法(目・顔と体の動作を一致させる)などがあります。
すごくポピュラーなところで言うと「長拳」という北方で発展した武術は、のびのびとしたスピーディーな動きが特徴で跳躍動作も多い武術。南方の「南拳」は、非常に力強くパワフルな動作が多い武術です。動物や昆虫の動きを真似した「象形拳」も多彩で、有名なとこだと蟷螂拳とか鷹爪拳などがありますね。
なので現代の競技としてはそうした武術の様々な要素を身体能力を試す競技や芸術性に昇華させて、一見体操競技やフィギアスケートに近いような表演競技にしているわけです。(ジェット・リーはこの競技の元チャンピオンです)
結論、峨眉派女子カンフー団、これからも応援してます!