太極拳は武術?健康体操?
テレビでよく使われる中国のイメージ映像と言えば大勢で太極拳してる構図ですよね。実際のところ、中国人はみんな太極拳をやっているのでしょうか?
私が中国で1年暮らしてさまざまな地域を回った感覚でいうと、やってる人はやってるけど、一番ポピュラーな運動というわけではない…みたいな感じです。
私自身も大学から太極拳を習い、中国留学中も大学に通っていた北京や上海だけでなく、中国国内の旅先でもなるべく朝の公園は観に行ってました。
中国の朝の公園は日本とは比較にならないほど賑やかで压腿という足のストレッチをしているおばあちゃんや、旗揚げゲームみたいな体操、公園の遊具も豊富で特に高齢者の方が各々自分の体力に見合った運動をしてるイメージで、その中でたまに太極拳の集団を見かける程度でした。日本のラジオ体操みたいな感じですかね。
また、面白いのが中国の文化として何かやってる人がいるとすぐに野次馬というか人だかりができる点です。私が北京の公園で太極拳をやってたらおばあちゃんが4、5人集まってきて一言も言わずに後ろで同じ動きを真似られたり、朝から麻雀なんかやってる人がいたらすぐに10人以上の野次馬が集まってきてあーでもないこーでもないと言い始めます。(中国語でそんな傍観者のことを看热闹とか言いますが)それもあって朝の公園は大層賑わってるわけです。
さて、ここで本題。太極拳は武術・格闘技なの?もしくは健康フィットネスなの?という話ですが、それはやる人のレベルや目的によってどちらにもなります。
太極拳には陳式、楊式、呉式など様々な流派があり、もともとは歴とした中国武術でした。その中で楊式太極拳をベースにした健康体操として1958年に中国政府が覚えやすい24個の型にまとめたものが簡化二十四式太極拳。これが一番フィットネスとしてはポピュラーな型になります。
私が習っていたのは陳式太極拳というかなり実践的な型ではありますが、簡化二十四式でも陳式でも、武術の意識でやれば武術になるし、体を動かして最低限の柔軟性や筋力を保つための健康体操だと思ってやればそうなるし、その両方を取ることもできます。そこが、ちょっと他のスポーツにない太極拳の魅力かもしれませんね。
ちなみに太極拳にダイエット効果はあるのか?という某テレビ番組からの取材に、私の最初の太極拳の師匠はNOと答えてました。老師も私もビール腹丸出なので答えは出ています。