印象派の旅〜新印象主義の誕生〜
閲覧ありがとうございます。
印象派の旅シリーズも後半戦となりました。
今回は新印象主義という流派が生まれたところから始めます。
1,新印象主義の誕生
新印象主義はこれまでよりも一つ一つの点が大きくはっきりと点描画だと分かりやすい作風です。
これまでの印象派は睡蓮のように荒々しい筆の跡が残されていましたがこの新印象派はほぼ同じ大きさの点のみで構成されています。それにより、緻密な表現を追求したのです。
このヘッダーにもなっている絵画を1891年に制作したのは新印象主義勢力圏において三番手の巨匠であったクロッスです。
今まで見てきた印象主義の絵画とはかなり作風が異なりますね。
新印象主義はモネを中心に集まった画家たちの原則と探究に由来してはいるけれど色の分割に全く新しい次元をもたらしたのです。
クロッス以外にもこの新印象主義の巨匠にはスーラやシニャックがいます。
シニャックは新印象主義として絵画を制作するにあたって
という課題を設定しました。
ここでシニャックの作品を見てみましょう。
これまでよりも粒子の大きい点で立体感が演出されています。
確かに、今までの印象派で見られた絵画よりもかなり彩度が高く絵画全体が眩しい印象を受けますね。
もう1人の巨匠であるスーラの作品も見てみましょう。
点の集まりだけでここまで大胆で細かいサーカスの様子、躍動感を描き出すのは流石巨匠だと言うしかないですね。
確かに、シニャックが表明した課題通りに今まで見てきた三巨匠の絵画は明るい印象を受けますね。
この新印象主義という動向が注目されたのは1886年の第6回印象派展においてです。
芸術家アルフレッド・スティーヴンスがスーラの『グランド・ジャット島』を
と評価しました。それを皮切りにこの『グランド・ジャット島』という巨匠スーラの絵画が論争を巻き起こしたために新印象主義が注目され始めました。
それほど美術界に衝撃を与えた『グランド・ジャット島』とはどのような作品だったのか見てみましょう…
正式なタイトルは『グランド・ジャット島の日曜日の午後』です。
スーラが制作したこちらの絵画、木の影の効果が上手く使われており実際に人々が浮かび上がってくる、目の前のその風景が広がっているかのような印象を受けます。
また、彼の絵画は緻密な配置により成り立っている特徴があるためこれだけ大勢の人を描いていても木や人同士が被っておらず更には画面から静かな印象まで受けます。
また、こちらの絵画にもアウロラとケファロスの回で紹介したようなモチーフによる暗示が使われています。
それは、1番大きく描かれていると言っても過言では無いドレスを着て日傘をさしている女性は隣にいる男性と不倫関係にあるというものです。
そのことは引用した画像の関係でちょっと見えづらいですが女性の足元にいる猿が暗示しています。
よく見るとリードに繋いでペットとして猿を連れているのですが猿は悪徳の象徴とされていてます。
このことから2人は夫婦関係ではなく……
というのが推測できるのですが確かに猿をペットにしている人をわざわざ描くのも不思議な話なのでそのようなメタファーを用いて示唆したと考えられますね。
また、猿の手前にいる犬の方が濃く描かれているという対比も猿が実在のペットではなく不倫の象徴として描かれているということです。
(フランスだと犬猿の仲的なアレは無いのだろうか)
さらに、中央部を見て貰えれば分かりますが日に当たる位置にいる白い服を着た少女の純粋さと日陰にいる黒いドレスの(不倫をしている)女性という対比構造になっています。
やはりメタファーとか対比の構造に注目するようになると絵画鑑賞に深みが出てきますね。
参考にしたこのサイトさんではその他、この絵画についてや印象派と新印象主義の違い、スーラが新印象主義を『科学』として見ていたことなどとても詳しく説明されています。
スーラは、芸術の熟達は目と脳の健康のためになり、画家は神経系等へ働きかけることで社会的エデン(楽園)を地上に構築するべきだと確信しました。
芸術で世の中を良くしていこうと考えたわけですね。
次回からは後期印象主義の時代に入ります。
今回はスーラの話多めでしたがやっとゴッホが出てくるので皆様お待ちかねだったと思います。
すみません
(このシリーズ最初のタイトルがモネからゴッホまでだったのでタイトル詐欺感が凄いことになってるなと今更気づきました💦)
是非閲覧して絵画に対する知識を深めて貰えたら嬉しいです!
ではお楽しみに!
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