ミュージカル「ジョジョの奇妙な冒険ファントムブラッド」ミュージカルというよりはもはや壮大なショーだった
”初日が延期になった”ことで話題になったジョジョミュを観劇
この度、私ども東宝株式会社の製作体制における見通しの甘さ、また不行き届きによりまして、公演の初日を本日まで遅滞させましたこと、こちらにいらっしゃるお客様はもちろんのこと、特に中止公演に当たり、ご観劇いただけませんでした大変多くのお客様に、この場をお借りして、心よりお詫び申し上げます。誠に申し訳ありませんでした。
本来の初日が2/6だったものが上記の理由で2/12に延期になってしまったというジョジョミュ。”人災でした”と認めたように東宝のエラい人が異例のお詫びを舞台からするということで始まってしまいましたね
私が観劇したのは2/23なのですが、それまでの間も開演時間が遅れたり客席に座っている方々がハラハラした上演回もあったとのこと
確かに今までの”帝劇＝東宝作品”に限って言えば観たことが無いスケールの演出の連続でとても面白かったです
しかしながらジョジョミュの演出は全てデジャヴ
今までさまざまな主催者と劇場のストプレからミュージカルまで観劇している私にはジョジョミュの演出や舞台セットは全てデジャヴでした
①基本の円形の舞台セット→「子午線の祀り」（世田谷パブリックシアター）とそっくり。回し方や使い方も同じでした
②開閉する巨大スクリーン（主にプロジェクションマッピングで使用）→「髑髏城の七人」（IHIステージアラウンド）や「太平洋序曲」（日生劇場）とそっくり
③火を使う演出→ハリポタ舞台の方が豪快。松明は既に何度もあちこちで使用されている（ミュージカル「フランケンシュタイン」ではキャスト陣が手に持っていたことも）
④屋敷の部屋の舞台セット→ミュージカル「赤と黒」（国際フォーラムC）にそっくり
⑤犬のパペット→工藤広夢さんの操作がお見事でした！（「千と千尋」の蛙を思い出しました）
⑥”ねぶた”のような張り子→「陰陽師」（新橋演舞場）の巨大鬼にそっくり（ただあの鬼はダンサーさんたちが手動で作り上げていて見事だった）
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というわけで全て既にどこかで行われていたもの。ただ帝劇の天井が高く広い舞台での演出はスケールが大きく見ごたえがありました
既にどこかである演出や舞台セットだったのになぜ初日が遅れてしまったのだろうか
勝手な推測ですが→スケールの大きさと転回の速さと使用頻度の多さは確かに今まで観たことが無かったと思います。
「髑髏城の七人」の時もIHIステージアラウンドの巨大スクリーンの開閉装置の不具合があって上演中止になったことがありましたね
ジョジョミュの場合は特に使用頻度が多かったのはプロジェクションマッピングなどの映像と、展開の速い照明たちです
設計→製作→リリースのプロセスで各部署の意思疎通がきちんと取れていたのか
例えばハリポタ舞台の場合。ジョジョミュよりも舞台セットや演出は凝っていますし、そのために赤坂ACTシアターを大改装し、照明などをコントロールする機材も最新のものに入れ替えました
ジョジョミュのために帝劇が機材を最新型にした、という話は聞いていません。恐らく既存の機材でしょう
またあれだけ速い転回とPMの多用には技術者の方のマルチタスキングスキルが必須だと思われます
「どこか」だけが間違っていたわけでは無く総合的なディレクションの見立てが間違っていたのではないか？と私は考えます
もしかしたらもっと早い段階で誰かが気づいていたかもしれません。ただそれを声に出して全ての部署にアラートを上げたのか？という疑問が残ります
バリューチェーンを担う各部署の連携が取れていたとは思えません
小屋入りする前に誰も気づかなかったのだろうか
ジョジョミュの前の公演からジョジョミュ当初の初日まで10日間あったので通常の公演だったら「短すぎる」というわけではありません。タカラヅカはたった1週間で次の公演の準備が出来ています
ジョジョミュの初日延期が発表されたのは初日から2日か3日前ですから決定的な遅れが発覚したのは小屋入りしてから。
ただ、本当にそれまでに誰か「これはマズい」という勘所は働かなかったのでしょうか？もし働いていたとしても「納期は絶対、なんとかする」という科学的では無い精神論に頼ってしまったということは無かったのでしょうか？ 納期が遅れることはあってはならない、というメンタルモデルが蔓延していたのではないでしょうか？
”企業風土”とはこういうところに現れてしまいます
例えば自動車業界の”リコール隠し”。納期は絶対！のために安全さえも後回しにしてしまう・・・・これも企業風土の”悪”です
確かに初日が延期したことはチケットを持っていたお客様を悲しませることになってとても悪いことです。しかしながら今回は、東宝はいったん立ち止まって正直に現状を開示し初日を延期することにした。これは間違っていることとは言えないと私は思います
実際に舞台に立つキャストや裏方さんたちの安全を考えるとやるべき行動であったでしょう
キャストの熱演と舞台セットや演出もとても素晴らしかった
ジョジョ役の有澤さんは帝劇初センター。生まれながらの貴族の子息の成長をみずみずしく誠実に魅せてくれました
デュオ役の宮野真守さんは「髑髏城の七人～下弦の月～」で主演も務めた方。もともと声優さんでもあるので歌声の美しさ、声色を自由自在に使い分ける高いスキルを存分に発揮されて観客を魅了しました
ベテランの別所さん、コングさんは要所要所で舞台をしっかり締める安定感。特に別所さんは西洋貴族を演じさせたら日本一、なので惚れ惚れしました
ジョジョを全く知らない私の観劇のお目当ては・・・・
実はジョジョの物語は私はほとんど知りません（「岸部露伴は動かない」だけは知ってますが）
このミュージカルを観に行こうと思ったのはなんといっても河内大和さんが出演するからでした
もう最高！期待をはるかに超えた暴れっぷり！
おけぴとeplusの合同観劇会だったので終演後に舞台挨拶があったのですが、座長の有澤さんから「日曜劇場の・・・・」と紹介されていた河内さん。
やっぱりVIVANTの怪演ぶりで一躍有名になりましたよね
河内さんは彩の国シェイクスピアシリーズには欠かせないシェイクスピア役者さんです。そして野田地図出演の常連でもあります
とにかく芝居力が高く、迫力がある。ジョジョミュではジャック・ザ・リッパーを演じましたが本当にゾッとするすばらしさでした
あの河内さんが帝劇のミュージカルに出演する、これは絶対観に行かねば！と思ってチケットを取ったので本当に帝劇の大舞台で大暴れしている河内さんを観られて幸せでした
最後に帝劇はやはり建て替えすべきだと思ったこと
最近観劇していた劇場が新しく出来た劇場たちだったので帝劇の不便さと古さをこの日はしっかり体感してしまいました
まず客席の椅子。「ナイツテイルー騎士物語ー」初演の時に客席は椅子を含めて改装していますがとにかく椅子幅が狭く足元も狭い。ジョジョミュは幕間休憩を入れて3時間半だったので物凄く窮屈でした
それからロビーの混雑に辟易。劇場改札を入ってから、奥のキャストボードを撮影する人たちの長蛇の列、物販の列、化粧室の列がもうぐちゃぐちゃでまるでお祭りの満員の参道のよう。
キャストボードは2階に設置でいいんじゃないでしょうか？今の帝劇では。
新生帝劇開幕がいつになるかわかりませんが、劇場改札と同じ階に客席を作るのは止めた方がいいと思います
幕間が25分あってもそのほとんどの時間が化粧室の列に並んでいる時間になってしまっています。中高年女性ばかりの観客層なのでみなさん化粧室に行く人がほとんど。
帝劇の美しい装飾やこだわりのデザインなどゆっくり楽しんでいるヒマがないのがとても残念
建物の老化以前に他の新しい劇場と比較しても建て替えは必須だったと思いました
劇場スタッフのみなさんはとても迅速にそして的確に観客のあちこちの列を誘導されていましたがそれでもあの混雑にはゲンナリします
新しい帝劇は今ある負の解消を心から願います
#有澤樟太郎(Wキャスト)
#宮野真守
#清水美依紗
#YOUNGDAIS
#東山義久(Wキャスト)
#河内大和
#島田惇平
#コング桑田
#別所哲也
天野夏実/ＡＹＵＢＯ/池田 遼/伊藤 奨/伊藤広祥
今村洋一/江上万絢
岡田玲奈/尾崎 豪/加瀬友音/鎌田誠樹
工藤広夢/倉元奎哉/シュート・チェン
杉浦奎介/住玲衣奈/西澤真耶/花岡麻里名
古澤美樹/町屋美咲/望月 凜/森内翔大
〜バンド〜
蔡 忠浩/吉田省念/小池龍平/田中佑司/梅本浩亘/高橋飛夢
＜スタッフ＞
原作：荒木飛呂彦(「ジョジョの奇妙な冒険」(集英社ジャンプ コミックス刊))
演出・振付：長谷川 寧
音楽：#ドーヴアチア
脚本・歌詞：元吉庸泰
＜公演HP＞
https://www.tohostage.com/jojo/
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