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演劇『白衛軍』観劇

帝政ロシア崩壊直後のウクライナで生きるロシア人家族の物語

長男のアレクセイ(白衛軍:大佐)、妹のエレーナ、そして弟のニコライ(士官候補生)のトゥルビン家には美しいエレーナを慕う男たちが次々とやってくる。冒頭の平和で楽し気な家族の様子がどんどん時代の流れや戦争に翻弄されていき、白衛軍は崩壊し、キーウは占領軍が次々と代わっても砲弾が飛び交い続けている・・・・

アレクセイ役の大場泰正さんの安定した帝国軍人らしい芝居、ラリオン役の池岡亮介さんのみずみずしさ。
主演のニコライ役の村井良大さんは歌も披露します。
明るくひょうきんなニコライが戦争を通じて壊れていく・・・・・
その有様を本当に見事な芝居力で演じられていました。

客席を9列目まで潰して舞台を奥行き広く使う手法はレオポルトシュタットを彷彿とさせる贅沢さ

作品、演出、舞台美術、キャスト、全ての質の高さはさすが新国立劇場の演劇。ハズレが絶対ありません。
演出の上村聡史さんは次期芸術監督。『オレステイア』も演出されていましたね。

残念ながら客入りの悪さが気の毒なくらい目立った

平日とはいえ中劇場なのに200人も入って居なかったのではないでしょうか?座席が埋まっていたのは最前列の10列目~13列目のセンターブロックだけでした。
もともとストプレはチケットの先行販売で満員御礼になることはまず無いとはいえ、昨今のチケット代金の高騰や全ての物価の上昇などなどで演劇の観客が”推しが出ている舞台・再演もので安心感がある”ものを選ぶことが加速してきている気がします。
ただ新国立劇場制作の作品はいわゆる商業演劇とは少し違って、あまり客入りを気にしなくてよいのでこういう作品にチャレンジ出来ているのですが、
それでもあの客入りの悪さはキャストにも気の毒。

国立劇場だからといって宣伝しなくてもよいものなのだろうか?

本作の初日の前日。上演時間が夜19時過ぎまで”未定”のままでした。
21時くらいにやっと公式HPに上演時間が出る。


初日は18時開演なので、終演時間によっては遠征してくるような演劇ファンなら帰れるのか?帰れないのか?も分からないので新幹線の予約もできない。こういうところもチケット購入を控えざるを得ない要因になります。

リピーターズチケットを終演後もロビーで販売するとか、出来ることはあると思うのですよね・・・
せっかくの佳作なのだからより多くの人たちに観てもらいたいなら
主催者側の宣伝努力ももうちょっと必要なのではないでしょうか?


#白衛軍
#新国立劇場中劇場
#演劇
#舞台感想
#観劇記録

作:ミハイル・ブルガーコフ
英語台本:アンドリュー・アプトン
翻訳: #小田島創志
演出: #上村聡史

出演: #村井良大 、#前田亜季、#上山竜治、#大場泰正、#大鷹明良
#池岡亮介 、石橋徹郎、内田健介、前田一世、小林大介/今國雅彦、山森大輔、西原やすあき、釆澤靖起、駒井健介/武田知久、草彅智文、笹原翔太、松尾諒

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