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『芭蕉通夜舟』@紀伊國屋サザンシアター 内野聖陽さんが綴る芭蕉の生涯


一人芝居だけれど一人で舞台に立っているわけでは無い

井上ひさしの「芭蕉通夜舟」は、1983年にしゃぼん玉座で初演された作品。“ほぼ一人芝居”を掲げる本作では、40年にわたる松尾芭蕉の俳人としての人生が、1人語りを中心に、富士三十六景になぞらえて全三十六景で描かれる。今回は演出を鵜山仁が担当。出演者には芭蕉役の内野のほか、小石川桃子、松浦慎太郎、村上佳、櫻井優凛が名を連ねた

ステージナタリーより

”ほぼ一人芝居”とはなんだ?w
観劇前のナゾ!内野さんだけでは無く他にも出演者は居ます。
ただなぜ”ほぼ一人芝居”か?と言うと、内野さん演じる芭蕉は他のキャストとは”会話”をしないからです。
他のキャストの方々は時にはストーリーテラーになったり、舞台上で小道具を操ったり、コロスのような役割も果たします。

敢えて、だとは思いますが内野さん(松尾芭蕉)以外のキャストは現代のカジュアルなファッションというか衣装。
正直、あの”敢えて”の現代カジュアルファッションである必要はあまり感じられませんでした。(再演ものなので初演からの伝統なのかもしれません)

※10/20追記→朗唱役(というそうです)の方々の現代カジュアルファッションは2024年版からだそうで過去公演は黒子だったとのこと。そっちで観たかったなあ。異化効果を狙ったのでしょうか?
ラストの「芭蕉通夜舟」の場面は4人とも黒子であのシーンはとても情緒と哀しさがあり印象に残りました。

劇場ロビーにあるキャストボード

100分ノンストップで内野聖陽さんが客席を惹きつける

松尾芭蕉19歳~40年後までの生涯を活き活きと、人間らしく魅せるのはさすが内野さん。
”言葉”を勝手に解釈して曲げて伝えていってしまう人間の愚かさは現代にも通じる点です。
内野さん演じる松尾芭蕉は自問自答の中で言葉の意味を深く考えて自身の生き方に活かす。
しかしながらミーハーな大衆は自分の価値観や解釈で言葉の意味を決めつけて伝聞していくうちに芭蕉が表現したかったものとは大きく違ったものにしてしまう。まるで現代のSNSを皮肉っているようです。

劇場では内野さんが描いたイラスト入りのTシャツも販売

1人1枚の制限付ですが買うことが出来ました。販売前に観劇された方は観劇後の半券を持参すれば購入可能だそうです。

日本語に遊び、日本語の革命児となった芭蕉のまわりにはいつも静けさがあった
日本の美意識を普通の言葉〝かるみ〟で残した俳諧人の心のつぶやきとは。


芭蕉は生涯を通して「一人になりたい、一人になろう」とつとめた人だった。
だからどうしても一人芝居でなければならなかったのである。

────井上ひさし

HPより



東京は10月26日(土)まで。前売り券は完売のため若干の当日券あり。
この後全国ツアーもあるのですね!

■作  #井上ひさし
■演出 #鵜山仁
■出演 #内野聖陽
    小石川桃子 松浦慎太郎 村上 佳 櫻井優凜

#芭蕉通夜舟
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#こまつ座

#舞台
#観劇記録



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