磐石の大地
磐石の地平線
磐石の大地は
永遠の無
無なる大地に
巻かれた種
その種が咲かす花を生という
死の間隙、無の間隙
無の間隙を縫って花開く有がある
死の間隙を縫って花開く生がある
花はやがて枯れ
大地に舞い戻る
無なる死に還っていく
我々は皆死から生まれ
生という一瞬を感じている
実に安定たる無や死を縫って
実に不安定たる
有と生…
種の養分となるは神の概念
磐石の大地こそ無であり
そこに巻かれたのは有の種子であった
無の大地は有の種に大いなる理を与える
芽と成長させる理が存在し
茎と成長させる理が存在し
穂をつける理と
葉をつける理と
花開く理と
枯れる理と
様々な理が存在する
そのそれぞれの理に神が存在する
様々たる神の次元
種の養分としたのも神の概念である
花々
我々は花々である
様々たる神により芽吹いたその花は
様々たる色の花を咲かせる
花の色分けをしたのはその理の次元の神である
黒き花、青き花、白き花、赤き花…。
汚れた花、尊き花、悲しき花、虚しき花…。
それぞれの花を司る神がいる
だからどうということではない
良くも悪くも無く
ただそれがそうであるように
ただ磐石の大地より生まれた全てがある
有無も、生死も、善悪も、
神の概念もその理的次元も
全てが相互関係として集約された一瞬が今である
過去は存在せず
いや、
過去と呼べるほど明確な確かなものは
もうどこにも存在しない
あれがただ一瞬だったから
どれだけ記そうと
どれだけ遺そうと
過去を過去のままで補完など
この次元においては不可能なのだ。
ぼやけた雲の様に未来は存在し、
高き風に揺られ形を変える様に
夢現の様に未来は存在する
その未来でさえ一瞬であり
無の間隙を通らねば辿り着くことなど到底出来ず
連続性など
無を介さなくては存在する事が出来ずに
我々は一瞬を生きている
神々に彩られ、神々に汚され、讃えられ、罵られ、軽蔑され、
神を罵倒し、疑い、軽視し、
実存に落ちていく
ただそれも無なる大地、磐石の大地からしてみれば
他愛無い一瞬
どれだけ嘆こうとも
どれだけ虚しかろうとも
それですら一瞬
神ですら無なる大地からすれば一瞬でしか無いのだ
静かなるその大地は夢を見る
確かにそれは夢を見る
叶うことの無い夢を見る
その夢は全てに浸透する
その夢は本来全てが目にする事ができる
それすら理、司る神がいる
未だ眠れるその神は
いくつかの花に夢を見せる
雲の様に揺蕩う未来の様に
朧げに
夢幻の様に
夢を見せる
そう、
それさえもただ見せてみただけであり
大地は少し
遊び心で
見せてみたくなったのであり
我々の幾つかにはその夢を見てしまった
人がいてしまったというだけの事なのである