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幻覚剤がもたらす光

幻覚剤と精神医学の最前線。
日本では、日常会話でほとんど取り上げられないLSDやMDMA、大麻といった幻覚剤が、PTSDやうつ病、アルコールや薬物依存の治療に効果的だというエピソードを紹介する本。

 例えばLSDなんかは、ウォルト・ディズニーが摂取して、あの楽しい世界観を生み出したという説がある。ディズニーの世界観を、古いアパートの天井裏を駆け回るネズミたちに感じることができるのなら、まさに夢のようである。さらには、サンタやマリオも幻覚キノコを摂取した幻覚体験から着想を得たという記述があり、わくわくさせられた。

なぜ幻覚剤が役立つのか?

それは、DMN(デフォルト・モード・ネットワーク)に関係している。デフォルト・モード・ネットワークとは、簡単に言えば、脳が集中していない時に働くネットワークで、「ふとした時」、つまり、考えるというより、思いつく時に活動する回路である。この回路が固定化されるとネガティブな思考に囚われやすくなる。幻覚剤はこの固まった回路をリセットし、新たに繋ぎ直す。

もう少しわかりやすく。

10人の幼稚園児に丸くなって座ってもらい、それぞれに1本ずつ紐を持たせる。
紐の端は、隣ではなくランダムな相手に渡す。
そこに先生が「紐を地面に置いて、他の人の持ってた紐を掴んでね」と声をかける。
すると、園児たちは紐を持ち替え、新たな繋がりを生む。

ここでいう先生が幻覚剤、紐が神経回路、園児が思考パターンだ。

 つまり古い繋がりを断ち、新たに繋がりを作ることで、固定化されたネガティブな思考を、新しい視点を受け入れやすい、柔軟な思考へと変える。この流れが、うつ病やPTSDに効果があるのだ。

バッドトリップ

幻覚剤とセットで語られるのが、バッドトリップ(幻覚剤による恐怖体験)である。
その抑制には、"セット"と"セッティング"が重要だ。
簡単にいうと、精神状態を安定させ、静かな安心できる環境で、適切な量を摂取する必要があるのだ。
(簡単に言ったがここが一番大事)

私の場合は大麻だが、心も強くないので、バッドトリップは何度か経験した。お酒と一緒に摂取したり、大勢がいる場所や初対面の人との摂取は危険なので避けたい。
(パニっクになったクロちゃんみたいに取り乱したこともある......笑)

時には恐怖がエネルギーになる。

しかしバッドトリップは悪いことばかりではない。その恐怖こそが人を変えるエネルギーになることもある。私自身まさにそうだった。
以前は毎日お酒を飲み、不健康な生活を送っていたが、バッドトリップが生活を見直すきっかけになり、運動を始め、タバコもお酒もやめた。

現在では、サイケデリックス(幻覚剤)の力を借りずとも、自分自身の内なる力を信じられるようになってきた。
今の生き方は、過去の自分からすればサイケデリックスの生み出した”夢の世界”のように思えるのかもしれない。だからこそ、この生き方を大切にしていきたい。

何をするにも丁度いいバランスが存在する。それを守りながら、自分を良い方向へと変えようとする愛情のある行動なら、自分を信じて突き進むべきだ。

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