【レベルムーン PART ONE】感想(暫定)
Netflix応募枠でジャパンプレミアに当選しました。アジア最速で映画を観覧できたので感想を書いていきます。
後半はネタバレ有りで語ります。
▼プレミアの感想:
▼映画の感想(ネタバレなし):
とても良かったです👍
アクションと音楽とVFXは最高だったと思います。
すごく歯痒いのですが、この映画は言語化できない部分が本当に素晴らしいのです。すなわちビジュアルとサウンドと、映画全体から滲み出るザックのセンスとスピリットです。ぜひご自身の目と耳と感性で確かめてください。私が言葉にしてしまえば途端に陳腐になるような気がします。
それでも、あえて言葉でいくつか(ネタバレにならないように)ピックアップするならば…
特にトークセッションでソフィア・ブテラも一番観てほしい部分だと言っていた最初のバトルシーンは、この映画で最初のスローモーションでもあり、殺陣と音楽と編集の技術が凄まじく、酷い奴の頭蓋を銃でぶっ放した瞬間には海外勢のインフルエンサーを中心に会場で感性と拍手が起こりました。
同じくトークセッションでエド・スクラインは自分がヴィランを演じるにあたり、ステレオタイプの筋肉は違うと考えて、少し異なるアプローチで身体を作ったとも語っており、その通りで少し気味が悪い形でありながら、実践的な筋肉が、映画に良い味付けをしていました。
2023年に完全オリジナルの物語でSFを立ち上げたというのも凄いことだと思います。まさにザック・スナイダー監督のスターウォーズ第1作と呼ぶのに相応しい内容だと言えるでしょう。今後に広がっていくレベルムーンユニバースに期待は高まるばかりです。
・・・
ただし2023年ベストかと問われれば、正直そこは違うんですよねー。
いや、これはレベルムーンの責任ではなくて、『オッペンハイマー』が凄すぎたのが悪いです。(笑)
…とは言え、レベルムーン単体でも少し気になる点がありました。詳しくはネタバレあり感想で語ります。
▼映画の感想(今回の上映環境について):
これは映画の内容とは直接関係しませんが、あくまでエキシビジョン用のスクリーン上映だったので、通常の映画館よりも体験が劣る部分はありました。椅子が教室のように硬いですし、スマホを光らせる海外インフルエンサーも結構いました。ザックのようにビジュアルで語る作品で、これはあまり良いことだとは言えません。
普通の映画館より大きなスクリーンで、音響も良かったので、ある意味では映画館より良い視聴環境だったかもしれませんが、総合的には劣ると感じました。
あとは日本語字幕が無い状態で観直したいとも思いました。日本語字幕が特に悪いとは感じませんでしたが、それでも没入観は大幅に減ってしまうので、そこで損してるような気はします。
とりあえず年間ベスト10は自宅でNetflixの4K HDR環境で視聴したあとで再考しますが…
もう一つありました。本作はR指定版が別バージョンとして作られるらしいので、それで順位が上がる可能性は十分あると思います。途中で「もっとやれるだろ!」と感じたシーンが少なからずあったので、そちらはディレクターズカットを期待したいです。
さらに、事前に知らされている通りPART TWOがあるので、そちらはもう少し上位に食い込む予感はします。本作はがっつりクリフハンガーなので、どうしてもカタルシスには欠けますね。
*なお会場で会えた知人には場の雰囲気もあるので不満点は一切言いませんでした。(まあジャパンプレミア全体では最高だったのは本当なので;笑)
▼映画の感想(ネタバレあり):
映画をまっさらな気持ちで観たい人はここから先を読まないでください。
ネタバレなしでも語った通りで、この作品の素晴らしさは大体序盤で把握することができます。超ハイクオリティな映像と音響で送る冒険譚。主人公コラ(演ソフィア・ブテラ)が強すぎて最高です。『七人の侍』オマージュも多くて楽しいです。
上映時間が2時間15分あるのですが、序盤と終盤は最高でしたが、中盤は少しダレていると感じました。主人公コラ(演ソフィア・ブテラ)が仲間を集めていく過程なのですが、ある人物の場所に行く→その人物が何か試練をこなす→その人物が仲間になる、という展開をくり返します。
酒場で乱闘して、そのまま盗賊の船乗りが仲間になるのは、まんまSWエピソード4のハン・ソロだったので、観ていてニンマリしてしまいました。そこまでは話運びも完璧だったのですが。(苦笑)
一応それぞれの試練がエキサイティングな見せ場になってはいるのですが、大きな枠組みとしては同じ展開をリピートしているだけなので、私は少し退屈というか作業っぽく感じました。レッドカーペットの後で疲れているのもあったかしら。でもTwitterでも「ずっと同じ調子で、ちょっと胸焼けがした」みたいなニュアンスのことを書いてる方を見かけました。
如何せん、インスパイア元である『七人の侍』がテンポよく仲間を集める最適解をやっているので、全ての追加メンバーにたっぷり時間を使う本作のスタイルは多少しんどいと感じてしまいます。
さらに悪いことに、かなり時間を割いた割には、キャラの掘り下げはあまり出来ていません。バトルを重視したり、スローモーションを多用すれば仕方ないですよね。4時間のスナイダーカットでさえバリーとヴィクターとステッペンウルフの3人しか描いていないのに、本作では2時間で5人ですから。(もしかしたらPART TWOでもっと語られるのかな、とは思います)
そして「場面を変えて雰囲気の異なる試練を見せる」という形式はサッカーパンチでもっと上手くやってるんですよねー。しかもそちらの方がテンポが良くて観やすいです。ザック自身の過去作が素晴らしすぎて越えられない壁になったか、という感じですかね。ちょっと厳しく言うと。
ちなみに中盤の時間帯は前列に座っていたインフルエンサーも集中力が切れている人が多いように見えました。言い方は悪いですけど、もともとザック映画の熱心なファンというわけではないでしょうから、少し冷めた一般客の視点としてリアルな材料だったと思います。
▼映画の感想(結末ネタバレ):
いよいよ終盤について語ります。私はかなり楽しめました。
なかなかのサプライズ要素もあり、ネタバレが強すぎるので、まだ映画を観てない人はここで引き返すことを強く推奨します。ぜひ映画を観た後に戻ってきてください。
まさかチャーリー・ハナムが悪玉で、しかもレイ・フィッシャーと揃って死ぬなんて予想してなかったです!どちらも最後まで生き延びそうなキャストでありキャラだっただけに、これは良い意味で予想を裏切られました。
ダリアンが戦死したことで、ダリアンの姉デブラ(演クレオパトラ・コールマン)のドラマが準備でました。PART TWOでは彼女の活躍に期待です。
で、この映画では主人公コラの昔のあだ名がスカーギヴァー(THE SCARGIVER)だったと判明します。これは王女様のライフギヴァー(THE LIFEGIVER)の対義語であり、PART TWOのタイトルにもなっているのですが、現時点で『傷跡を刻む者』と日本語タイトルが付けられており、これは素直にカタカナで『スカーギヴァー』と書くべきだと思いました。というか劇中の日本語字幕でカタカナ表記なんだから、そっちに合わせればいいじゃん。せめて『傷を刻む者』とか『傷を与えし者』にするべきでしょう。傷痕を刻むって、要するに傷をもう一度なぞることですよね。明らかに誤訳ですし、もし翻訳が正しいのならネタバレだと思います。
というか、PART ONEの『炎の子』にしたって、映画の内容に鑑みれば『戦火の落とし子』等にするべきでしたよ、これ。Fireは文字通りの炎じゃなくて「戦火」のような比喩的表現です。日本タイトルには詩的さが大幅に不足しています。マジで日本のネットフリックス担当者には恵まれないのが歯痒いですね。
ということで、不満点が多めの感想にはなりましたが、これは仕方なくて。なぜなら、言語化できない部分がメチャクチャ良い映画だからです。つまりビジュアルとサウンド、そして映画の全身から滲み出るザックの類稀なるセンスとスピリットです。目と耳と感性で観れば、多くの方がきっと満足できる作品だと、自信を持って言えます。12月22日から配信なので、ぜひご自身でご確認ください!
(了)