マトリックスレザレクションズの疑問に全て回答していく記事(都度、追記も検討)
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▼物語について:
●3行でまとめて?
ネオは再びマトリックスに繋がれて無限ループを暮らしていた。
60年越しにマトリックスから脱出したネオに外の世界へと誘われて
同じくマトリックスに繋がれていたトリニティはONEとして覚醒する。
●もう少し詳しく教えて?
▼世界観について:
●結局マトリックス過去三部作はゲームだった?
違う。マトリックスはゲームではない。
ゲームだというのはネオを騙すために作った偽の記憶である。
過去三部作は(この映画では)実際に起きたことである。
第3作『レボリューションズ」のラストでネオの身体が機械都市に取り込まれて、その後どうなったのかは語られなかった。
それ以降のネオに起きた出来事はこうだ。ネオはそのままマトリックスに再接続されて、マトリックスはバージョンアップされた。同時にネオは記憶を消されて、代わりに「自分の名前はトーマス・アンダーソンであり、ネオとしての出来事は全てトーマスがワーナー・ブラザースの子会社ゼウス・マキナで過去に作ったゲームである」というニセの記憶を刷り込まれていた。映画の前半で描かれていたのは、このニセの記憶の世界を生きているネオ(トーマス)の日常である。
ただし消しきれなかった本当の記憶はわずかに残っているので、トーマスはしばしば記憶のフラッシュバックが起こり、それが現実なのかゲームなのか判別できない自覚症状に死にたくなるほど悩まされていた。
バッグス達に救出されてからは、全部マトリックスに記憶操作されていたせいだと知って落ち込む。
●過去三部作についてサラリと教えて?
舞台は西暦2200年頃。人類と機械が戦争して機械が勝利した後の世界。残った人類はマトリックスに繋がれて1990年代の仮想世界の中で暮らしている。ただし人類はそれが仮想世界だとは気づいていない。
公開当時の時代背景なども合わせた考察はこちら。
●前作から今作までの間に何が起きたの?
機械都市は平和(ザイオンを攻撃しないというネオと交わした契約)を守ったが、ネオの精神と肉体は、当初の計画通りマトリックスのバージョンアップに利用した。(第2作『リローデッド』のラストでネオは拒否したが、第3作『レボリューションズ』で倒れたネオを機械都市は回収して利用した)
機械都市で新たなパワーが生まれたとオラクルは最期の預言を残して死んだ。オラクルが消されたのはマトリックスがバージョンアップされたからである。モーフィアスはオラクルの預言を信じずに、代わりにネオのしたことを信じ続けた(過去作で2人は「預言は嘘だった」「預言じゃなくて俺を信じろ」という会話をしている)。
人類と機械の間に平和的解決という選択肢が生まれて、ザイオンの人々は機械と共生するようになった。
電力不足が原因で機械都市で機械同士の戦争が起きた。圧倒的な戦力を前に、もし戦争になった場合に人類の勝ち目はないと確信したナイオビは、機械の目の届かない場所に隠れて暮らすことを選び、アイオを作った。
機械都市ではアナリストが、ネオとトリニティを2人合わせれば莫大な電力が得られることを発見した。機械都市にアノマリウムが建設されて2人は格納された。これにより機械都市の電力不足は半永久的に解消されて、マトリックスの安定運用が始まった。マトリックスの中では記憶を消されたネオとトリニティが、それぞれトーマスとティファニーとして無限ループの生活を暮らしている。
こうして60年の時が流れ、モーフィアスやローランドは死んで、現在の人類の総司令官はナイオビになり、機械と共生するようになったおかげで人類はバイオスカイによる美しい「空」を獲得し、果物(イチゴ)の栽培までも可能になった。
また60年前のネオの行動に感化された若者が多数出てくるようになった。これはイエスの処刑がキリスト教の更なる拡大につながったのと似ている。彼らは今もマトリックスのどこかで眠るネオを再度救出をすべきだと信じて行動している。(アノマリウムで電力供給のためにネオとトリニティが使われていることは知らない)
●なぜネオのことをトーマスと呼ぶ人がいるの?
ネオは彼が自分でつけた名前で、トーマス・アンダーソンというのはマトリックスが彼につけた名前である。よってマトリックス側の人達(アナリスト、ジュード、その他会社の人達)は彼をマトリックス側の人間だと信じ込ませたいので、彼のことをトーマスと呼ぶ。
トーマスが赤い薬を飲んだ直後も鏡の中からアナリストは必死に「名前を呼んで」引き止めようとした。
第1作でも彼は会社ではトーマスという名前を使っているし、エージェント・スミスは終始彼のことを「ミスター・アンダーソン」と呼んでいたのも同じ理由。尋問中に身分証・社会保険番号・納税証明すべてトーマスの名前であることを強調して彼にトーマスのままで居させようと圧力をかけてくる。なお第1作で「ネオ」はハッカー活動のハンドルネームだった。
本作では、彼の人生は完全にトーマスであり、ネオは彼が過去に制作したゲームの中の登場人物に過ぎない、とマトリックスは彼に「思い込ませ」ようとしている。そのために精神科医は「青い薬」を処方し続ける。
●なぜ過去作よりもカラフルになったの?
マトリックスがバージョンアップされたから。
旧三部作では緑がかった世界だったが、本作ではバージョンアップした後のマトリックスが描かれている。
●なぜスミスは顔が違うの?
物語上の理由:マトリックスがバージョンアップされたから。
▼語句について:
●モーダルって何?
トーマス・アンダーソンが会社で作成していたプログラム。彼が20年前に制作してヒットさせた伝説のゲーム『マトリックス』三部作を、新たに「バイナリー」という名前のウェブプラットフォーム(と思われる)に移植するために、彼のPC上で構築していたもの。
要するに過去作のリメイクだから、ルックスが少し現代風にアレンジされて、同じ物語が展開している。
本作『レザレクションズ』ではバッグスとシークがマトリックスを観察(ネオを捜索)していた時に、マトリックスの中に作られたこのモーダルを発見して、ナイオビ将軍の命令(偵察のみ許可)を無視してプラグインする場面(バッグスはこの機会を逃したらネオを見つけられないと直感した)から始まっている。
●ONEって何?
アノマリーの集合体として全てのソースが集まる個体のこと。ONEに集められたソースを使ってマトリックスのソースコードにバージョンアップをかけることができる。
過去のマトリックスではネオが毎回このONEの役割を果たしてきた。第2作『リローデッド』の終盤でアーキテクトとの会話から、その時点で6回目のバージョンアップであり彼は6人目のONEだったことが分かる。つまり本作でのマトリックスは第7世代である。
例え話で説明すると、要するにドラクエに出てくる「伝説の勇者」がONEである。ONEがドラクエをクリアすると、そのONEの意見を取り入れてドラクエ2を作る。このときONEの記憶(冒険の書)は消される。それでONEがドラクエ2をクリアすると次はドラクエ3を作る。その繰り返しをしてるのがマトリックスで、映画マトリックス過去三部作はドラクエ6の話で、今作はドラクエ7だと考えると分かりやすい。
●アノマリーって何?
マトリックスが意図した通りに行動しない素質を持った人間またはプログラムのこと。ある意味では「バグの一種」とも言える。大前提としてマトリックスの秩序を乱す存在になるので、検出され次第エージェントに始末されるが、ごくまれにエージェントで殺せない(マトリックスの限界を超えた)アノマリーが現れる。ONEはその中の一つである。
つまり、ここでもドラクエに例えると、普通の人間はNPCなので何も異常行動は起こさないが、アノマリーはプレイヤーとなって冒険をクリアしてドラクエを終わらせようとする。エージェントはプレイヤーの行手を阻む敵キャラで、基本的にゲームの難易度がメチャ高いのでクリアは不可能(すぐに全滅する)だが、ごくまれにONE(伝説の勇者)が現れてゲームを最後までクリアする。
アノマリーがマトリックスを変化させるという考えは、生物の進化はDNAの書き換えミスが突然変異となって環境変化や生存競争に勝ってきたという進化論や、人類の反映は社会構造を技術的または政治的な異変や革命によって常に大胆に変化しながら実現してきたという考えに基づいている。
●シンシエントって何?
過去作で人類がMachine《マシン》と呼んでいた機械を、機械本人から見たときの呼び名がSynthient 《シンシエント》になる。一般的な機械とか工場にあるようなロボットではなくて、自分の意思を持って行動するものを区別するための呼び名らしい。
これも例え話で説明すると、要するに「これはロボットですか」「いいえエヴァンゲリオンです」という感覚に近い。意味があるとも言えるし、ただカッコつけてるだけとも言える。笑
●スウォームって何?
ゾンビモードにされたマトリックス内部の人間のこと。与えられた命令に従って、ただ一つのものだけをひたすら追いかける。スウォーム・モードが起動すると眼球が黒くなって緑色に光る文字列が表示される。
古いバージョンのマトリックス(過去三部作まで)では人間を乗っ取ってエージェントに変身させていたが、これではコストがかかり過ぎる(時間と人数に制約が生じる)ので、新しいバージョンのマトリックスにはスウォーム・モードが実装された。
なお、本作でもネオが作ったモーダルの中にだけは警察官が変身してエージェントが出てくる。これはネオはスウォームという新機能を知らず、過去の記憶を頼りにモーダルのソースコードを書いたから。
●ムネモシュネって何?
(Mnemosyne):バッグスの船の名前。ギリシア神話に登場する記憶と回想の女神の名前でもある。
●クリブって何?
(The Crib):cribとはもともと「何かを無許可でコピーする」という意味の動詞。盗用またはカンニングペーパーという意味もある。マトリックスの外に出た人類がマトリックスをコピーして作った仮想世界だから、この名前が付けられたと考えられる。この単語は劇場版の日本語字幕では確認できなかったが、実際にはモーフィアスの台詞の中で一度だけ出てくる。
●コールドブートって何?
(cold boot):コンピューター用語で電源が完全に切れた状態から起動すること。おそらく本作ではクリブを起動すること指す。
劇中では、救出直後のネオが生身だとこのまま死にそうだったので、クリブを起動してその中で活動させて精神の活動レベルを上げることで、合わせて肉体の活動レベルも高めようとしたと考えられる。
●DSIって何?
デジタル自己イメージ(digital self-image)のこと。現実世界では坊主頭でもマトリックスの中では長髪になるのはこれのおかげ。
日本語で馴染みがあるのはアバター。(個人的には日本語字幕も「アバター」で良かったんじゃね、と思う)
●ECOって何?
ecological or environmentalの略称。要するに環境のこと。シークの説明によると、アイオの中はバイオスカイのお陰でこれが保たれている。
●SRIって何?
一般には、社会的責任投資(SRI:socially responsible investment)またはサステナブル投資(SRI:sustainable responsible investment)と訳されて、環境に配慮した活動を行うことを指すとされているが、本作でこのまま適用できるのかは微妙なラインである。ただし、シークのバイオスカイの効用として語られるので、これで良いような気はする。
●アイオって何?
人類が作った都市。過去三部作のザイオンとは別の場所。
機械同士の戦争を目撃したナイオビ達は、もう一度戦争が起きたら絶対に勝てないことを確信して、機械から目につかない場所に新たな本拠地を作ってそこに隠れることにした。
英語表記ではIoとなっており、ザイオンZionから2文字を取った形になっている。作中では特に語られなかったが、何か意味がありそうなネーミングではある。
●アノマリウムって何?
(The Anomaleum):ネオとトリニティが2人揃って格納されていたポッドと、それを取り巻く一連の機械のこと。
サティは「the resurrection podswhere Neo and Trinity were imprisoned」と説明。つまりネオとトリニティを収納してマトリックスに復活(レザレクション)させるポッドのこと。つまり本作のタイトル回収にもなっている。
●ゼウス・マキナって何?
本作のマトリックス内では、ゲーム制作会社の名前。親会社はワーナー・ブラザース。
過去三部作では第3作『レボリューションズ』で出てきた機械の神の名前がゼウス・エクス・マキナで、意味は「機械仕掛けの神」。つまりそれを文字ったジョークになっている。
●ジュードって誰?
本作のマトリックス内では、ゲーム制作会社の社員。トーマスに憧れて入社したらしい。トーマスに色々世話を焼いてくれる。
会社で警報が鳴ったときにトーマスがトイレで「ジュードお前なんだろ」と叫んでいたので、以前から似たような問題行動や、それを想起させる危なかっしい言動をしていた可能性はある。
実際は社員というのはカモフラージュで、ジュードはマトリックスがトーマスの行動を監視するように仕立てたプログラム。
バッグスがネオをマトリックスから脱出させた時点で用済みになったので、アナリストに消去された可能性が高い。
▼モーフィアスについて:
●なぜモーフィアスは顔が違うの?
物語上の理由:ネオが新たに作った《モーダル》の中のプログラムだから。
●なぜネオは《モーダル》にモーフィアスを作った?
ネオは《ONE》であり《アノマリー》の素質があるので、無意識にマトリックスから脱出しようとする。そんな彼が外界から見つけてもらうために(無意識に)作ったものが《モーダル》で、その中の特異なプログラム(=目的がネオを見つけること)がモーフィアス。
●なぜモーフィアスは銀のツブツブなの?
本作のモーフィアスはトーマスが書いたプログラムなので現実世界には実体が存在しない。よって、磁力振動(paramagnetic oscillation)で操作する脱形状粒子技術(exomorphic-particle codex)によって現実世界に実体(入れ物)を作っている。
なお筆者の感想だが、本作は前作から60年後の設定とはいえ、この技術だけは流石にぶっ飛びすぎているような印象は受ける。磁気を利用して形を作るところまでは納得できても、それに意思や思考力をどうして持たせられるのか、また他のシンシエントに比べて、この技術だけが飛び抜けて高度すぎると私は感じる。
▼トリニティについて:
●なぜ最初のトリニティは顔が違うの?
物語上の理由:ネオが新たに作った《モーダル》の中のプログラムだから。
●なぜトリニティはティファニーと名乗るの?
ネオと同じようにトリニティも、マトリックスの中で静かに暮らしてもらうために、別の人格を与えられていたから。なお、ネオほどではないが、ティファニーも今の自分が本当の自分ではないような悩みを抱えて暮らしていた。
第1作でトーマスが「トリニティってあのトリニティ?やべえ伝説的なハッカーじゃん!」と興奮する台詞があるので、トリニティも元はハッカーのハンドルネームだった可能性はある。
本作ではティファニーはアナリストがつけた名前だということになっている。
ティファニーは米国圏では「性を売り物にするバカっぽい女」というネガティブなイメージがあるらしい。キャバ嬢の源氏名に使われていそうと言うべきか。作中でもジュードに対して「こんな名前なのは母がオードリー・ヘップバーンのファンなの」と言い訳っぽく語っているシーンもある。
オードリー・ヘップバーン主演の『ティファニーで朝食を』では、主人公は「カフェ・ソサイエティ・ガール」であり、日本語で言うなら「港区女子」である。要するに、自分では働かず、金持ち男性と交際することで生計を立てて、クラブやレストランに通い、現金や高価なプレゼントを与えられ、いつか彼らの一人と結婚することを望む。フェミニズムが標榜する自分の力で生計を立てる強い女性とは正反対のイメージ。
また終盤でティファニーがトリニティを選択したときのアナリストの台詞からも、彼の「女性に対する古い価値観」が見える。
●なぜティファニーと子供の髪色は違うの?
カフェでトーマスがティファニーと初めて話したときに、不自然なことがある。
ティファニーは黒髪。
夫は白髪混じりだがおそらく黒髪。
しかし子供達はブロンド髪。
遺伝的に考えて、これは不自然である。
この理由はマトリックスの世界ではティファニーはブロンド髪だから。
トーマスと同じようにDSIが加工されていて周りには違って見えている。
実は、髪だけじゃなくて顔も違う。
映画の中でティファニーがトリニティの顔として描かれるのは、トーマスにだけはティファニーの中にある本当のトリニティが見えているからである。
●一瞬だけカフェのガラスのテーブルが映る理由
カフェでトーマスがティファニーにカプチーノを奢ったときに、一瞬だけ不自然にガラスのテーブルが映るカットがある。よく見るとティファニーの代わりにブロンドの女性の顔が反射して見える。
つまり老人の見た目にされていたネオと同じく、彼女はブロンド女性のDSI(アバター)を与えられていたということである。
●なぜ60年前にネオとトリティを救出できなかった?
マトリックスが2人に別のアバターを与えたから。
バッグス達が発見した時点でネオは白髪の老人に、トリニティは金髪女性に変えられていた。トリニティはカフェのガラスのテーブルで確認できる。
映画の中でマトリックス内部のネオとトリニティが現れているときは、あくまでネオから見たときの姿が映像化されていて、他の人達には白髪の老人と金髪女性に見えていたのだと思われる。
なお、マトリックスを脱出した以降のネオは、再びマトリックスにプラグインするときには人間側で用意したDSIを使用するので、彼の脳内イメージの通りになっていたと考えられるが、トリニティは夫と子供達が普通に話しかけているので金髪女性だったのは間違いない。
▼アナリストについて:
●何者なの?
現実世界ではマトリックスのパワープラントの管理者(プログラム)。
マトリックスの中ではアナリスト(精神分析医)。
●何をしていたの?
現実世界では、第3作『レボリューションズ』の後に、ネオとトリニティの記憶を消してマトリックスに再接続して超強力な電力を安定して供給してきた。2人がいなくなると機械都市は電力不足になるので困る。
マトリックスの中ではネオを治療するフリをして、実際はネオが「目覚め」ないように監視する役割を担っている。ネオが消された本当の記憶に苦しみ始めたら、青いピルを与える。
●ラストシーンでアナリストはどうなったの?
ネオに続きトリニティにも脱走されたので、十分な電力を得られなくなり、マトリックスは1つ前のバージョンに戻った。
マトリックスとしてはバージョンが下がったのでアナリストは人間ならば懲戒免職(プログラムならば消去)レベルの失態を犯したことになるが、パワープラント管理者として能力があることに変わりはないので、特に消去されずにそのままマトリックスに残っている。そこらへんは人間と違って機械なので、あくまでドライにジャッジする模様。
1つ前のバージョンになったので、
→アナリストはバレットタイムが使えなくなった。
→ネオは空が飛べるよう(スーパーマン)になった。
→トリニティは上位バージョンで飛べるので下位バージョンでも飛べる。
ということで、これまでティファニーにされていた腹いせに、トリニティからアナリストはボコボコにされる。笑
▼サティについて:
●何者なの?
現実世界ではクジャクという機械として活動する。
マトリックスの中ではインド系の女性の姿をして、カフェの店番をしている。
第3作『レボリューションズ』で初登場したプログラムの娘。おそらくプログラムなのに明確な目的を持っていなかったため本来は消去される運命だったが、父親がメロヴィンジアンに交渉してマトリックスの中で生きる権利を得た。この時点で空を虹色に変える能力を持っていた。
●なぜネオ救出に協力してくれるの?
父親の目的(意志)を継いでいるから。
アノマリウムの設計情報を漏洩した罪で父親(パワープラントの管理プログラム)がアナリストに消去されるときまでに、マトリックスからクジャクに移動していたおかげで消去されずに逃れた。父親がアノマリウムの情報を漏洩したのはネオとトリニティを自由にするためで、彼女はその意思を受け継いで、計画を練りながら機会を60年間待っていた。
結果的には、バッグス達がシベーベとオクタクルの2台の機械と協力してネオだけ先に救出したので、サティは残されたトリニティの救出から関わることになった。
●なぜアナリストのことを恨んでいるの?
別に恨んではいない。
人間なら親の仇なので恨んで当然の状況だが、サティはプログラムなので、特に怒りの感情は持っていなかった可能性が高い。ただし、父親の意志(ネオとトリニティの解放)を受け継いでいるので、その目的の達成のために必要なことはする。それがたまたまアナリストの失脚に繋がる行動だったというだけ。
▼物語の進行に関して:
●最初の会話の意味は?
バッグスとシークがマトリックスを観察(ネオを捜索)していた時に、マトリックスの中に作られた奇妙なモーダルを発見して、ナイオビ将軍の命令(偵察のみ許可)を無視してプラグインすることにした。
バッグスはこの機会を逃したら、もうネオを見つけられなくなると直感したと後で語っている。彼女はマトリックスからネオを救出することしか考えていない。
●途中で撃たれたネオはどうなったの?
ズバリ、死んだと思われる。
いや、正確には死ぬ直前にマトリックスの中でリセットがかかっている。
本作に出てくるマトリックスでは過去作でバージョンアップした後なので、大量の電力が必要。このためアノマリウムにネオとトリニティを繋いでおくことが必須になる。
ここからマトリックスの中でネオが自殺行動をとると魂が消える直前にリセットがかかる仕組みをアナリストは用意した。このため頭を撃ち抜かれたはずのネオは、次の瞬間にはアナリストの部屋に移動していた。
●途中でのビルからの飛び降り映像は何なの?
過去にビルから飛び降りたときもスミスの発砲時と同じく、ネオを殺さないためにマトリックスによる強制リセットがかかった。このためバッグスはネオが落ちる場面を見なかった。
おそらく屋上でパーティーをしていたデウス・マキナの社員は全員プログラムで、窓の掃除をしていた2人は人間である。このため掃除をしていたバッグスだけが「目覚めて」マトリックスから脱出したいと思うようになり、後日にナイオビの仲間によって摘出されたと考えらえる。
●ナイオビはなぜ怒っていたの?
ネオとトリニティの摘出はマトリックスへの反乱に該当する可能性があるため、アイオの平和を守るためナイオビは総司令官として許可できない(少なくとも状況が明らかになるまでは)。
なのでナイオビはわざとネオとバッグス達に「反乱」という形で脱走させた。
その上でナイオビは、バッグス達の身を案じて、ムネモシュネ号が現実世界で機械軍団に襲われないようにシェパードにこっそり護衛させていた。
ムネモシュネ号のクルーがマトリックスでトリニティに接触したことからスキッドの攻撃対象となった。広範囲スキャンで危機をいち早く察知したシェパードはバッグス達に警告するが、これはナイオビの「バッグス達は反乱したから放置した」という指針に反するため、やむなくシェパードはムネモシュネ号を拿捕してアイオに連行した。
とはいえこの行為は機械軍団がアイオに攻め込む理由を与えたことになる。この事態についてナイオビは「もう本当にどうしてくれるんだよ!」という、困った母親のような状況に陥った。
●トリニティ救出作戦とは?
難攻不落のアノマリウムからトリニティの救出する作戦のこと。
作戦は全部で9段階。
マトリックスの中でトリニティ自身が「選択」をする必要があるのがミソ。
最初に「物理的にトリニティの身体に近づくまで」が難しいので色々と手を尽くしたり説明をしたりしているが、要するに「モーフィアスの粒子ボディを使ってチート技で侵入しただけ」と考えれば良い。
●脳をバイパスするってどういうこと?
本作で屈指の意味不明ポイント。マトリックスからトリニティの意識を抜き取る時に、一度他人の脳を経由させる必要があるらしい。何でも知ってるサティが自信満々で言うのだからそうなんだろうだけれども。どんな効果があるのかは不明。人間の脳に入れることで、まだトリニティが繋がれているとマトリックス側を騙すのが簡単になる効果があるのかもしれない。
正直な話、映像的な面白さを得るために無理矢理つめ込まれた設定のようにも感じられる。(アノマリウムに生身の人間を連れていく必要を作って侵入シーンのハラハラ感をアップさせるとか、バイパス実行中にトリニティとバッグスのDSIが重複して表示されるシーンとか)
●なぜトリニティは飛べるようになったの?
このバージョンのマトリックスでは彼女がONEであり、そのことに彼女自身が覚醒したから。
●なぜラストシーンではネオも飛んでいるの?
ネオに続きトリニティにも脱走されたので、アノマリウムから十分な電力を得られなくなり、マトリックスは安定動作のために1つ前のバージョンに戻った。
1つ前のバージョンになったので、
→アナリストはバレットタイムが使えなくなった。
→ネオは空が飛べるよう(スーパーマン)になった。
→トリニティは上位バージョンで飛べるので下位バージョンでも飛べる。
という変化が生じている。
●結局、物語的にはどこに着地したってこと?
世界は第3作『レボリューションズ』の最後の状態に戻って、そこにプラス要素としてネオとトリニティ(覚醒版)が復活したということになる。
第3作のラストでネオとトリニティが自己犠牲の末に、機械と人間の平和を手に入れた。これは「契約」なので機械は絶対に守る。(人間と違って嘘をつけない)
そこから機械は、機械都市の中で死んだネオとトリニティの遺体を回収して蘇生してマトリックスをバージョンアップして60年間やってきた。しかしネオを信じる者たちの協力もあり、ネオとトリニティが脱出してしまい、マトリックスは1つ前のバージョンに戻った。これが本作の物語であり、状況的には第3作のラストにマトリックスを戻したことになる。
ただ、今回は違うのはスーパーマンになったネオとトリニティが復活したということである。これから2人は自分達が思う素晴らしい世界にマトリックスを好き勝手に作り替えていくだろう。その一例が空を虹色に変えるということ。(ただしアナリストの売り言葉に買い言葉なので冗談半分の可能性も高く、どちらかというと第3作へのリファレンス(引用)目的の台詞だと思われる)
また、2人は今後、マトリックスから抜け出したいと思う人が現れたら、彼らが脱出するのを手伝うのだと予想される。それはマトリックス第1作とほぼ同じ構図のショットで、ONEになった2人が飛び立っていくことからも明確である。2人の想いはすで第1作でネオが電話越しに観客に向けて語っていたので、そこから引用しておく。
▼物語の意味について:
●トリニティが覚醒した理由は?
ラナ・ウォシャウスキー(Lana Wachowski)監督は、この20年の間にトランスジェンダーを公表して、性別適合手術を受けて外見的にも男性から女性に変わった。それがそのまま救世主がネオからトリニティへ交代する形で表現されている。
●本作に監督が込めたメッセージとは?
「君達(私達)は弱い。だが、もっと自由にやれる。だから夢の実現に向けて進もう」という応援と慈愛のメッセージです。
ただし、かなり残酷な本質をえぐらないとこのメッセージは見えてきません。
覚悟ができている方は、詳しくはこちらを読んでください。
●ポストクレジットの意味は?
最後のポストクレジットシーンは完全なおまけで、二次創作のジョークである、というのが筆者の解釈である。「今の時代にマトリックスを作っても流行らないでしょ」という自虐ネタかもしれないし、近年のMCU映画に顕著な「ポストクレジットまで意味がある物語を入れるブーム」に対する風刺かもしれない。エンドロールなんか見てないでさっさと帰れバーカ、みたいな。笑
了。
この記事で引用している本編の画像は全て公式予告編のものです。
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