THE 解説:映画ザ・バットマンの謎解きを英語原文でスクリプトを読みながら
本作を劇場で観ていて日本語字幕が微妙に感じる部分が多かったのですが、最大の原因はナゾナゾのせいだと思います。言葉遊びですから英語で考える必要があります。それを翻訳して文字数が限られた日本語吹替や日本語字幕に反映させるのは至難の業です。(なので結構ばっさりカットされたり、翻訳者によって日本語のダジャレに変更されることが多いです)
しかも本作では全ての問題をバットマンが速攻で解いてしまい、それはそれで観客は日本語の謎解きの意味を考えて理解する必要があるので、日本語話者の観客が日本語と英語をそれぞれ考えて理解するための時間が殆どありませんでした。
なので私は3月に映画館で観ているときは謎解きは諦めて、雰囲気だけ楽しむことにしました。しかし最近になって、4月にスクリプトが公開されていたのに気づいたで、この記事でじっくり読み解いて行きます。
■1問目:
頭をカーペット剥がし器でかち割られた市長の死体に残されていたカードです。封筒には「To Batman」と書かれていました。
●問題:
What does a liar do when he’s dead?
嘘つきが死んだときにやることってな〜んだ?
●正解:
He lies still.
彼は(ずっと横たわっている/まだ嘘をつく)
●解説:
lieという動詞には2つの意味があります。
1)横になる
2)嘘をつく
その掛け言葉になっているんですね。
死んだら人は倒れるし、生前から嘘をつく人は死んでもまだ嘘をついてる。となるわけですね。
この問題に関しては、私はリアルタイムでライの掛け言葉だとギリギリ理解できていました。
逆に言えばライの掛け言葉になっていると理解できないと、バットマンが「嘘つきは死んでも嘘つきのままだ」と非情なことを言っているだけになってしまうと思います。(笑)(※劇場公開時点で日本語字幕がどうなっていたかは、3ヶ月前に一度観ただけなのでもう記憶にありません)
基本的にはバットマンは根は善人だと思いますので、彼には「バカは死んでも治らない」みたいな冷酷な立場は取ってほしくないと私は思いますけどね。(笑)
原文にあるstillは「状態が続いている」ことを示す副詞で、「ずっと」とか「まだ」と日本語訳できます。このstillは正直あってもなくても良いかな…と一瞬思わせるのですが、実はこの謎解きには暗号文も一緒に載っていて、こちらの文字数を合わせるためにstillが必須になります。(なお今回画像を検索して知ったのですが2020年8月時点で予告編映像をもとに既にファンによって解読済みだったようです。笑)
そして、この文字の変換表は第2問の暗号解読のためにも必要になります。
■2問目:
市長の殺害現場に残されていたもう一つの暗号文です。ブルースがコンタクトレンズに仕込んだカメラの映像からプリントアウトして、事件の翌朝にブルースとアルフレッドが協力して解読しました。適切な文字だけ残すとDRIVEという文字が現れたやつです。
●問題:
暗号文。画像がネットに落ちてなかったので省略。
●正解:
DRIVE(=つまり駐車場の車を見ろってこと)
●解説:
台詞で説明されているので引用しながら解説します。
キーというのは暗号を解く手掛かりですのことです。
現時点までにリドラー暗号のアルファベットの大部分はファンによって解析されたようですが、映画の中でアルフレッドはまだ6文字だけだったので、残りの20文字を特定するべく昔ながらの解読方法(2つ続く文字は基本中の基本)でトライしていたということでしょう。
しかしブルースはそうは考えませんでした。
6文字以外の余計な文字を消すと、画面にババーンと「DRIVE」という大きな文字が現れます。
この解き方は完全に私の記憶から消えていました。おそらく劇場でリアルタイムでは理解していなかったと思います。「なんか上手いことやって文字をチョイスしたらDRIVEという単語が浮かび上がったのかな」くらいの認識でした。
なぜ私は当時理解しなかったのか。
それはこの解き方が難しすぎるから?
いいえ、違います。
その逆です。この解き方が簡単すぎるからです。(笑)
「死んでも嘘をつく」の文字が6文字だと気づいて、その文字にマルをつけた時点でうっすらDRIVEが浮き上がってきそうなものでしょうが。そういう『素直な解き方』を最初からすれば良いもののを、アルフレッドが「このキーは部分的だから他の文字をゴニョゴニョ」と喋っていることで話がゴチャゴチャになっています。ロジカルじゃなさすぎて『ちょっと何言ってるのか分からない状態』(サンドウィッチマン)に私はなったようです。(笑)
もしくは、これはアルフレッドがブルースを気持ち良くさせるために、わざと解けてないフリをして、美味しいところをシャワー上がりのブルースに渡した?という妄想や二次創作に使える案件かもしれません。(笑)
そもそも、この映画では暗号文や謎を短い時間しか映さないので、観客に謎解きすることを基本的には求めません。つまりブルースがアルフレッドやゴードンやセリーナそしてリドラーと相手を変えながら会話するのが本作の見どころであり、本質的にはバディ物の萌え要素だけで突き進んでいく映画なんですよね。ここらへんが「本作はスリラーとして凡作だ」と評価する人が一定数いる理由でしょう。
さて、この場面は「ブルースとアルフレッドが協力して暗号を解いた」ことさえ理解できれば十分な描かれ方だったので、私は雰囲気だけ楽しんで、謎のカラクリについては真剣に考えていませんでした。なので、こうして後からよく読んでみたら想像以上に楽勝な問題だったので呆気に取られています。(笑)
■3問目:
市長殺害の翌日に、ヒ素(ネズミ用毒団子に使われる薬剤)を首筋に注射されて、ネズミの集団に顔をかじられて絶命したピート警察本部長が座っていた椅子…と一緒に残されていた手紙です。
●問題:
Follow the maze until you find the rat.
Bring him into the light, and you’ll find where I’m at.
ネズミを捕まえるまで迷路を進め。
そいつを灯りに持っていけば、僕がどこに居るか分かるよ。
●正解:
URL rataalada
●解説:
ネズミが走り回った迷路に彫られた暗号を解くと、「You are El Rata Alada」になるので、前半をURLと読み替えて、そのウェブサイト(rataalada.com)にアクセスすることでリドラーと通信できるというものでした。
ただし、映画では回り道をしているので順を追って解説します。
最初にバットマンはカードに書かれた文章から考察を始めました。
ネズミには裏切り者というニュアンスがあります。たとえばUrban Dictionaryでは「A person you can not trust(信用できない人物)」と書いてあります。
この謎解きを見つけた直後のゴードンとバットマンの会話が楽しいです。
バットマン正直すぎるやろ。(笑)
そんな折に、失踪したルームメイト探しを口実に強引に協力させたセリーナが侵入したナイトクラブで、タイミング良く検事がネズミの話をします。
都合良すぎるのも笑えますが、映画を観ているお客さんのために状況を説明してくれるバットマンも面白いです。
さらに居合わせたカーラという女から失踪したルームメイトの話題が飛び出しました。全員、口が軽すぎるのよ。(笑)
そのままセリーナが検事をそっちのけでルームメイト捜索に突っ走ってしまい、バットマンが持たせた通信機能付きコンタクトレンズもトイレに捨ててしまったので、仕方なくバットマンはゴードンを呼び出します。
いやいや、ゴードン、あんた鈍感すぎるやろ。あと色々ゆるすぎる(笑)
私、これが映画館じゃなかったら、ゲラゲラ笑いながら観たかったです。(笑)
ゴードン、大丈夫なのでしょうか。陰謀と犯罪が渦巻くゴッサムシティで彼は今後うまくやっていけるのでしょうか。ネズミのことを裏切り者だと言われるまで気づかなかったとか、市長と警察本部長がマローニ逮捕のことで危険な橋を渡っていることを知らなかったとか、実はコルソン検事も汚職に手を染めているのを把握してないとか。これって70年代のテレビシリーズのバットマンのノリなのかもしれませんね、実直で真面目だけど少し天然で間抜けなゴードンのキャラクターが。周りの腐敗を把握した上で知らんふりを続けるノーラン版(ゲイリー・オールドマン)や、時には裏社会の人々を利用して捜査を進めるドラマ版ゴッサムのゴードンが、少し現代的で頭が良すぎたのかもしれません。
結局ナイトクラブにセリーナが潜入する必要ゼロだったんですよね、ゴードンがもう少し頭が良い男だったら。映画的には、これだけ長い尺を使って、新情報ゼロなんですよ。だってゴードンが自分で話してるし、政治家や警察官や司法関係者が汚職まみれであることはバットマンは最初から知っていたんですから。
つまり、ナイトクラブの格好良い照明と音楽の中を、セクシーな衣装で、胸のあたりを男性客にジロジロ見られながら(それをブルースが驚いてるのかいじってるのかよく分からないリアクションあり)、肩で風を切って歩くセリーナ(ゾーイ・クラヴィッツ)…のビジュアルを映画に入れたいだけで撮られたシーンだと言っても過言ではありません。こんなことしてるから3時間に膨らむんだよ。(笑)
そんな骨折り損のくたびれ儲けの翌朝、またしてもアルフレッドがヒントをくれます。ブルースがセリーナとナイトクラブでバーチャルデートに興じている間に、アルフレッドは警察本部長の顔に固定されていたネズミの迷路に彫られた暗号を解読していました。
スツール・ピジョン。直訳すると「椅子の鳩」「切り株の鳩」ですが、アメリカ英語ではスツールに「狩猟に使うおとりの鳥」という意味があり、ここから転じて「おとり捜査官」という意味になります。この言葉を知らないと厳しい会話です。私も辞書を引きながら理解しました。(笑)
もし私が字幕・吹替担当者だったら「警察用語でハトはおとり捜査官のことだ」って日本語訳しますかね。(*日本の警察だと「身体拘束者がこっそり連絡すること」なので紛らわしいのですが)
これだけ謎解きを仕掛けてくる犯人がスペイン語に弱いと推定するアルフレッドがまた素っ頓狂で可笑しいです。…実は後からこの推察は間違いだったと分かるのですが。(笑)
ここでブルースは市長の葬式に出掛けます。そこでコルソン検事が首に爆弾を巻かれた状態で現れます。リドラーから電話がかかり、ネズミが誰なのか暴露するように要求されますが、家族の無事を優先するコルソンは拒否して爆死します。名前を出すくらいなら死んだほうがマシなほど恐ろしいネズミとは誰なのか。再びバットマンとゴードンの会話。
普段から謎解きが好きな人達から見たら、イライラするくらいフワっとした考えで行動していませんか、この二人。(笑)
謎解きのロジックの説明もそこそこに、いまなぜペンギンに会いに行くのかを強引に(映画を観ているお客さんに)説明するバットマンなのでした。(笑)
ゴードンの脳みそお花畑と、70年代テイストの頭が悪そうな会話に、もう私の笑いは止まりません。
さて。こうしてペンギンを見つける過程で、ペンギンがマローニの麻薬ビジネスを後継していたことも分かったので、二人は確信を強めました。激しいカーチェイスの末にペンギンを捕まえて、廃墟で足を縛り付けて怒鳴りつけてと強気で尋問します。しかし残念ながら、それらはどれも見当外れな言いがかりばかりで、スペイン語が堪能なペンギンから二人は逆にバカにされるのでした。
スペイン語の冠詞は「ラ」です。「エル」ではありません。
お気づきでしょうか。2問目に引き続き、またしてもアルフレッドにしてやられました。(笑)
いや、彼にしたって「リドラーはスペイン語が苦手のようですなー」みたいなことを言っていました。しかし、それを甘く見たブルースと、バットマンの言葉を鵜呑みにしたゴードンが悪いのです。(笑)
しかしここまで見当違いな思い込みでペンギンのことを散々痛めつけたくせに、バットマンは一瞬でシカトを決め込んで謎解きに夢中になります。リドラーは間違いじゃなくてわざとエルにしたってことは…You are エル…ひょっとして…URL…ってこと?
すぐにゴードンのPCを取り出して、URLにrataalada.comを打ち込んでアクセスする二人なのでした。いやいやいやいや。お前らセキュリティ意識低すぎやろ!つい先日怪しい親指USBをぶっ刺してパパラッチ写真をメールで警察やらマスコミやらに大量自動送信されてしまったのを忘れたのかよ!(笑)
ということで、ペンギンはあらぬ嫌疑をかけられて、危険なカーチェイスに巻き込まれて死にかけて、ゴードンとバットマンに恫喝されて、足を縛られた状態で廃墟に放置されます。ゴードンとバットマンの方がよっぽどヤクザです。これも制作の舞台裏を考えれば、どうしてもカーチェイスのシーンを入れたくて無理矢理入れてきたとしか考えられません。こういうことをしてるから映画が3時間に膨らm(以下略)
ただし、足を縛られてピョコピョコ歩くコリン・ファレルは本物のペンギンみたいで可愛かったですね〜。カーチェイスは文句なしに格好良かったです。だからまあ、許してあげても良いでしょう。(笑)
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余談ですが、このウェブサイト(ラタ・アラーダ・ドットコム)は実際に作られて、そこの謎問きをクリアするとジョーカーの削除シーンが観られるというプロモーションも実施されていました。
そして現在はそのキャンペーンは終了していて、蓋絵には「ゴッサム市警によって」と書かれて謎解きには挑戦できない状態です。芸が細かいですね。
■4問目:
時間がやや戻りますが、コルソン検事が首に爆弾を巻かれた状態でテレビ電話で出されたものです。
●問題4-1
“It can be cruel, poetic, or blind, but when it’s denied, it’s violence you may find.”
残酷で、詩的で、もしくは目に見えなくて、でも否定された時には、暴力的になるもの、な〜んだ?
●正解4-1
“Justice.”
正義。
バットマンが速攻で解いてたんですけど、これについてはどうしてこの正解に辿り着くのかスクリプトを見てもよく分かりません…(笑)
●問題4-2
“If you are justice, please do not lie. What is the price for your blind eye?”
もしあなたが正義を貫くなら、嘘はつかないで。あなたが目を瞑るために幾ら掛かったの?
●正解4-2
“Bribes. (Ten grands a month.)”
賄賂。(1ヶ月につき1万ドル=120万円)
どさくさに紛れて詳しく聞き出そうとするバットマンに草。
●問題4-3
“Since your justice is so select, please tell us which vermin you’re paid to protect.”
あなたの『正義』はよく選び抜かれたものですね。あなたがお金をもらって守ったネズミは誰ですか?
●正解4-3
“Falcone.”
ファルコーネ。
この問題はコルソン検事は答えられず爆死します。注目すべきは、この時のバットマンとコルソンの会話です。正義を標榜するバットマンがリドラーと一緒になってコルソン検事を追い詰める形になっています。マジで狂ってますよね。(褒めてる)
言えないって拒否してるのに「Who will?」って問い詰めるバットマンがマジで鬼畜です。(笑)
●解説:
あのさ、20年程前にナイティナインのバラエティ番組内のコーナーで、出演タレントに恥ずかしい暴露をさせるクイズ番組のパロディがありましたよね。クイズ・マジオネアって言うんですけど。それと完全に同じ流れですよね。ご存知ない方は適当に検索してください。(笑)
コルソンが4-3に正解する前に頭を爆破されてしまったので、バットマンがリドラーに接触するチャンス(手掛かり)は消えてしまいました。しかし、偶然にも次の5問目の謎の正解が4-3の正解にも繋がるというラッキーが起きます。失敗しても別のルートを残してあげる優しいリドラー。(笑)
■5問目:
3問目の正解であるウェブサイトで出題された謎解きです。
●問題:
I grew up from a seed, tough as a weed. But in a mansion, in a slum, I’ll never know where I come from. Do you know what I am?
僕はタネから生まれて雑草のようにタフに育った。しかしスラム街のマンションで、僕はどこから来たのかを知ることはない。僕は誰でしょうか?
●正解:
An orphan.
孤児。
●解説:
まず「どこから来たのか分からずに育った」ということで「親を知らない=孤児」となります。
また「スラム街にある(孤児が育った)屋敷」ということで、過去に焼け落ちたウェイン財団の孤児院ということになります。
そこでゴードンとバットマンは、無実の罪で尋問(拷問)していたペンギンの足首を縛ったまま放置して、現場に急行します。(この二人マジで鬼畜なんだが。笑)
■6問目:
ゴードンとバットマンが孤児院跡に向かったときに、すでに次のターゲットであるブルース・ウェインにはリドラーから小包みが届いていました。ウェインタワーでアルフレッドが開けた瞬間に小包みは爆発し、その中に耐火包装紙で保護されていたバットマン向けのメッセージカードの問題です。
●問題:
See you in hell.
地獄で会おうぜ。
●正解:
Arkham Asylum.
アーカムアサイラム。
●解説:
これは厳密には『謎解き』ではないかもしれません。
元々のリドラーの計画としては、
小包み爆弾でブルース・ウェインを殺す。
爆破現場にバットマンが現れて手紙(See you in hell)を読む。
ウェイン家の過去(マーサ・ウェインが精神異常者だったことと、それを知った記者をトーマス・ウェインがファルコーネに暗殺指示したこと)をリドラーがSNSで暴露する。
その暴露を証拠にファルコーネが逮捕されるタイミングで、リドラー自身がライフルでファルコーネを射殺する。(実はリドラーはナイトクラブの隣のアパートに住んでいた!)
リドラーが警察に捕まってアーカム精神病院にぶち込まれる。(3問目の謎解きの「裏切り者を見つけて灯りのところに連れて来い、そしたら僕のことを知れるよ」にも繋がる)
でした。
なので、捕まってアーカムに収監された自分に、バットマンに会いに来るように、一種の招待状として贈られたメッセージでした。だから敢えて謎解きとして扱うなら、『地獄』の正解はアーカム精神病院ですね。
ちなみに、本来はブルースが死んでからウェイン家の過去が暴露される段取りだったので、ブルースは「母の両親に不幸があり入院したことと父が殺人を指示した事実」を知らずに済んだはずだったので、その点では同じ孤児であるブルースに対してリドラーはある程度の優しさを持っていたと言えるでしょう。結果的には小包爆弾が失敗して生き延びてしまったから、ある意味でもっと大きな苦しみを与えることになりましたが。
この一連の暴露はブルースの両親について謎を残したまま終わります。これについては長くなるので別記事にまとめました。この映画の裏テーマの核心をついた文章になっていると思いますので、興味がありましたら、そちらもご確認ください。
■箸休め(偶然のラッキーについて):
コルソンが4-3の回答を拒否したため、バットマンはファルコーネに辿り着けなくなりました。
しかし偶然にも、セリーナがルームメイトのアニカを拉致した汚職警官ケンジーを拘束したら運よくセリーナのスマホが無事に回収できました。(なぜケンジーはさっさと捨てるなり壊すなりしなかったのだろうか;セリーナとアニカの秘密のニャンニャン動画でも入っていたのだろうか;笑)
そこで録音を聴いたケンジーがあっさりと真相をしゃべります。(コルソンは家族に危険が及ぶからと言って黙秘を貫いたのに薄っぺらい男だ)
この録音とケンジーの証言が決め手となってゴードンはファルコーネの逮捕へと動き出しました。
ちょっと待って。
これって、、、
もう謎解き全然関係ないところから情報出てきた〜〜!(笑)
謎解きの意味!(笑)
もうさ、セリーナが居なかったら、どうなってたんだよ!(笑)
ケンジーがもう少し頭が良くて、さっさとスマホを処分してたら、どうなってたんだよ!(笑)
それ以前に、たまたま殺された市長の愛人の若い女にルームメイト(しかもバイセクシャルの恋人)がいて、それがセリーナだったから、ここまで協力してくれただけですよね。それって市長は一体どんな確率のレアガチャ引いたんだよ?(笑)
しかし。
実はセリーナが居なくても、リドラーの暴露VTRの中でファルコーネの名前は出てるので、バットマンなら単独でナイトクラブに押し入ってファルコーネを脅迫しながら尋問とか普通に出来たと私は思います。当然、同じことはケンジーに対しても出来たでしょう。
つまり、映画にセリーナが登場する意味を持たせるために、すでに出来上がった物語に後から都合よく核心部分として彼女の活躍が盛り込まれた感じがすごく強いのです。このためにバットマン(とゴードン)の活躍の場が奪われ、むしろ2人がマヌケに描かれることになってしまったのが個人的には残念に思います。セリーナの必要性については別記事にも丁寧に書いたので興味がある方はそちらもどうぞ。
ケンジーの告白を聴いて逆上したのかセリーナは、ケンジーから奪ったピストルを握りしめて「ファルコーネを殺しに行く」とバットマン達の静止を振り切って飛び出してしまいます。「彼女より早くファルコーネを確保しないとリドラーに会えなくなる」と懸念したバットマンはゴードンに警察を手配させて、間一髪のところでセリーナの父親殺しを阻止して、警察は無事にファルコーネの身柄を確保しました。
しかしナイトクラブを出たところで、向かいのアパートに潜んでいたリドラーにライフルで撃たれファルコーネは絶命。すぐに逮捕されたリドラーから面会を求められたバットマンはアーカムへ接見に向かうのでした。
さて、それでは最後の謎解きに参りましょう。
■7問目:
接見に訪れたバットマンから、「俺とお前は違う」とはっきり断言されて激昂するリドラー。それまでの崇拝する態度から打って変わってバットマンを侮蔑するようになります。
●問題:
What's black and blue and dead all over?
黒くて青くて死んでいるものってなんだ?
●正解:
You.
お前だよ。(バットマンのこと)
If you think you can stop what’s coming…
ただし、もし君がこれから起こることを止められると考えている場合に限る。
●解説:
これも厳密には謎解きではないですね。すぐに正解を発表してますし。
黒くて、青くて、死んでいるのが、バットマン。
黒いのは服装で、青いのは水死体だから、かもしれません。
ただし条件付きです。ただしイケメンに限るみたいなノリでこう続けます。「もし止められると思ってるならね」と。
つまり、今から起きること(堤防爆破による洪水)を止めようと抵抗すれば巻き込まれて死ぬよ、と警告しているだけです。
逆に言えば、大人しくアーカムの中にいれば命の危険は無いということですね。最後まで優しいリドラーでした。
この後、もちろんバットマンはリドラーの謎の計画を阻止するために動きます。手掛かりを探すためにリドラーのアパートを調べて、カーペットの下から地図を見つけますが、結局は時間切れで、ゴッサムシティを囲む堤防は爆破されてしまいます。そしてバットマンは新市長候補を助けるために現場に急行し、そこでリドラー部隊に殺されそうになる、という流れです。(結果的にはセリーナの助けもありバットマンは死なずに済んだ)
= = =
■まとめ:
はい、そういうことで、リドラーの謎解きを全て解説してきました。
この記事が皆さんの謎解きの理解の助けになれば幸いです。
個人的には、この映画は謎解きとしてはあまり上手くないというか、解釈がいくらでも出来てしまう粗悪な問題が多かった気がします。
それゆえに映画の展開でもミスリードが結構多くて、登場人物がマヌケな思い込みで行動する場面も散見され、しかも謎解きに全く関係ない人物(セリーナとアニカとケンジー)からポンと有力情報が提供されてしまうなど、割と肩透かしの展開が多くて(奇を衒いすぎたか、もしくは強引な脚本変更が足を引っぱったのか)純粋なミステリーとしてはあまり高品質ではないと思いました。
まあでも映画全体では、衣装とか美術とか照明とか画面構成などの雰囲気作りはバッチリで、あまりシリアスに考えないで観ていれば大いに楽しめる映画だったと思います。つまりダークなヒーロー映画としては十分ちょうど良いチューニングだったと言えるでしょう。
続編があるような雰囲気だったし、マット・リーヴス監督が続投するなら、次はミステリーで頑張ろうとしないでアクションとか世界観にもっと振り切って制作してくれたら嬉しいです。
了。