女性監督のアクション映画ってどうなの?【マダムウェブ公開直前】
マダムウェブの公開を直前に控えて、あるツイートが炎上した。
フォロワー数:約150
インプレッション数:約900,000
いいね数:約60
リポスト数:約300
表示件数に対するいいね数が圧倒的に少ない。これは悪い方のバズりである。おそらくフォロワー数が多いユーザーに否定的な文脈で引用またはリポストされたのだろう。
▼SNSでの誹謗中傷について:
映画オタクb氏の言い方にトゲはあるが、しかし内容は正しい部分もある。
そもそもこの人は「こういう映画」の話をしている。それがどういう映画なのかにもよるけど、仮にヒーロー映画であれば顧客に男性が多いというのはあってそうだから、男性目線でも面白い映画を作れよという意見は筋が通っている。
冷静になって読み返してほしいが、この人はマダムウェブがダメ映画とは書いてない。酷評されてる映画のキャストと監督が女性だったから「またいつものパターンかよ」と思って、日頃の不満をぶちまけただけに見える。それがそんなに悪いことなのか?Twitterで袋叩きにされるほどに?
差別主義者、レイシスト、ニセモノ、荒らし、クソ、チー牛…
ここは誹謗中傷のデパートかな。
(そうだよ、と誰かが言った気がした…)
今回引用させてもらった人達は「女性監督・女性キャストを侮辱したことに対する抗議」という社会正義を掲げて炎上させているつもりだろう。しかし、先に述べた通りで映画オタクb氏の発言は(冷静に読めれば)主張自体はそこまでメチャクチャではない。つまり早とちりである。
中には「楽しみにしてるマダムウェブを酷評されてムカついたから」バッシングに参加しているだけの不届き者もいるだろう。そんな人達が束になって人格攻撃までしている現状は度を越している。
私の脳裏に浮かんだのは2023年5月に映画ファン界隈を賑わせたシネフィルおじさんである。彼は失言も多かったが、どちらかというとSNS不慣れが原因に見えた。根は真摯な人らしく炎上に気を揉んだのかアカウント削除してしまった。今回も燃やしている周囲からはそれに似たネットリンチの空気を私は感じる。
フォロワー100人程度の新参アカウント(シネフィルおじさん)が界隈を揺るがすほど大炎上したのは7,500人の人気アカウントに連日オモチャにされて拡散されたからである。それまでは有力アカウントにちょくちょく筋違いなコメントをしてしまう無名のおじさんだったが積極的にスクショされて一躍有名人になった。
ちなみに私が上記のツイートをして間もなく空翔ぶギロチン氏からブロックされて、氏は鍵垢にした上で「話を盛られた」と弁明ツイートしていたのを別アカウントで確認した。私の記載に間違いがあったならブロックなどせずに説明してほしかったところだ。ギロチン氏は説明できないからブロックして、私より圧倒的多数のフォロワー(信者)に一方的な説明をして逃げた卑怯者だとお見受けする。ギロチン氏の人格がどうであろうと私にとってはどうでもいいことだが、まるで私が嘘をついているような印象操作をされたことは残念である。あとは強いて言うならギロチン氏に騙されている人達が気の毒ではあるかな。
話を今回炎上してる人に戻そう。その後の対応を読む限りでは、どうやら映画オタクb氏はネット慣れしてそうで、この荒波もうまく乗りこなせそうに見えて、そこだけは安心している。意見が違うだけでアカウント削除に追い込まれるのは良くないからね。
これだけ罵詈雑言の誹謗中傷を浴びながら、映画に関する質問には都度打ち返しているあたり、なんと強靭な精神力だと感服する。これを同時に何人も相手しているわけだから。意見を言うからには強くあれという教訓かもしれないね。
さて正義感に酔って映画オタクb氏(やシネフィルおじさん)に人格攻撃をしていた映画ファンへの説教はこのへんで止めよう。
▼ヒーロー映画と女性監督について:
私が論じたいのは女性監督のヒーロー映画の是非だ。
残念ながら、女性監督・女性メインキャストのDC/マーベル映画では失敗事例(興行または批評面で)が続いている。つまり、まだ信用が低い。だからマダムウェブに期待できない人が現れるのは、仕方のないことだ。
このハッシュタグは、おそらくあの炎上ツイートへの異論を唱える気持ちで始めたのだと思うが、やはりアクション映画やヒーロー映画の名前が出てくるのは稀有で、むしろ映画オタクb氏の考察を裏付ける形になっているのが皮肉である。
日本語に詳しくない人のために解説すると、「指標」というのは例えば大辞泉では「物事を判断したり評価したりするための目じるしとなるもの」と書いてあるけど、あくまで「目印」なのだから、少数の例外を示したところで反証にはならない。
つまりこのタグが盛り上がるほど「ほら、だから女性監督はヒーロー映画やアクション映画には向いてないと言ったろ」という映画オタクb氏の主張を後押しすることになるのだ。
具体的に最近の傾向を考えよう。
まずMCUは直近ではニアダコスタの『マーベルズ』が記憶に新しいが、ケイトショートランドの『ブラックウィドウ』とクロエジャオの『エターナルズ』も興行で苦戦した。
2021年当時はコロナもあったので数字での比較は無意味かもしれないが、フェーズ4に入って女性監督の作品が現れた時期と、徐々にMCUが信頼を失っていった時期は重なる。偉大なるインフィニティサーガの後釜というのもあったが、ウーマンパワーを強調した新規作品群は苦戦している印象がある。
昨年『バービー』を大成功させたマーゴットロビーでさえ、同じく女性監督や女性スタッフを重用して自身がプロデュースしたヒーロー映画『バーズオブプレイ』は興業的に失敗した。成功したバービーの監督脚本は夫婦二人三脚だしライアンゴズリングやシムリウなど男に助けられた部分も大きい。
DCでは『ワンダーウーマン』でヒーロー映画初の女性監督を務めたパティジェンキンスも、続編『ワンダーウーマン1984』でザックスナイダーが演出から退くとアクションが大きく劣化して海外の映画ファンを中心に酷評の嵐となり、トマトスコアも大きく下がった。
ちなみに私はバーズオブプレイを公開当時からずっと支持してきた。こんな女性蔑視騒動が起きる前からずっと。いつもは意見が一致しやすいスナイダーカルトがこの映画を酷評しても変わらずにずっとだ。
一方でWW84は私には珍しいほどの低評価にしている。本作では数字が悪かった時のパティジェンキンス監督の発言がひどくてますます嫌いになってしまった。つまり重要なのは性別ではなくて、作品と言動だ。
▼女性に映画監督は向かないのか:
特に監督について思うことだが、一流の料理人や工芸職人がほぼ男の世界であるように、映画作家も一流になるには男性の細やかさが必要なのではないか。女性は出産に耐えるように体ができてるので究極まで修練すると鈍感さが邪魔して、男性に負けるのだと私は考察する。少なくとも物づくりに限れば。
人類は500万年くらいずっと男が外に出て狩猟や外交や戦争の仕事を、女が子育てなど家庭の仕事をしてきたので、脳と身体がそれらの仕事に合うように出来てしまっている。社会理念が変わって(男女平等の考え)も僅か100年くらいで生来の身体性を超越することは常人にはほぼ不可能である。
おしゃべり好きだから自分はコミュニケーション能力が高いと感じる人は多いが、映画監督が一つの物を作る時に人々を統括するコミュニケーション能力とは別物である。それは政治・外交・戦争など哺乳類ではオスに求められるスキルだった。だから映画監督に男性が多いのはある意味当然である。
では男性だけで「今の時代に」傑作ができるかと言えばそれも誤りで、ノーランやスナイダーの作品には必ず妻がプロデューサーで参加してるし、ミラーの『怒りのデスロード』は編集として妻が参加している。編集や制作というクレジットはあくまで名目で、実際は夫婦で都度相談しながら創作する。
要は、お互いに「それは違うと思う」と男女がクリエイティブ面で意見を出せるようにすることが「今の時代に」受け入れられるためには最も重要そうに思われる。フェミニズムやミソジニーが先鋭化した現代にどちらかの性別だけに寄せすぎたり、強調して宣伝するのは悪手である。
▼クロージング:
さて、かなり長くて重苦しい話になってしまったので、あえて最後はおバカなことを書いて終わろうと思う。
今回バズった映画オタクb氏は以下のように公約している。
まあ、正直マダムウェブが絶賛傾向になるとは私も思えないし、この宣言ツイートだけでは「絶賛傾向」の明確な基準がないので仮に大好評の嵐になっても何かしら言い逃れをして土下座画像はお目にかかれないだろうけど。
でも、もし万が一にも画像アップされたら面白そうではあるので、あまり期待せずに待ちたい。娘さんに撮ってもらうのか?など想像するとオモロい。(笑)
私自身は海外版トレイラーを観て、絵の作り方とか編集は面白そうな予感がしたのでマダムウェブを観に行こうと思ってる。『MONDAYS』や『リバー流れないでよ』にも似たループ要素らしきものが気になってる。それこそ世間の評価とか、ましてや映画オタクb氏の評価がどうとかは関係なく、ソニー映画らしい雰囲気を楽しめたら良いなと期待している。
そして主演ダコタジョンソンと言えば、そこはやっぱり『フィフティシェイズオブグレイ』の人である。であれば、彼女を起用をしておきながらお色気シーンが無かったならば、それがある意味一番「男子の期待」を裏切ることになるかもしれないなあ。(笑)
お後が宜しいようで。。。
(了)