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【エイリアン:ロムルス】を三幕構成で読み解く

#ネタバレ

結末まで語るので、本編を未見の方にはブラウザバックを推奨します。

登場人物
レイン(ケイリー・スピーニー):主人公の女性
アンディ(デヴィッド・ジョンソン):レインが所有するアンドロイド
タイラー(アーチー・ルノー):レインの元恋人
ケイ(イザベラ・メルセード):タイラーの妹
ビヨン(スパイク・ファーン):タイラー兄妹のいとこ
ナヴァロ(アイリーン・ウー):タイラーの仲間
ルーク(ダニエル・ベッツ):宇宙ステーションに居たアンドロイド


まずは、物語を三幕8場構成に分解します。

一幕

0)宇宙空間で「何か」が回収される。

1)植民地惑星ジャクソンで劣悪な重労働に苦しむ五人の若者と一体のアンドロイドが逃亡を画策する。廃棄された宇宙ステーションに装備されている冷凍休眠装置を盗み出せば、豊かな環境の惑星ユヴァーガまで行ける。

2)五人は小型宇宙船で宇宙ステーションに侵入して首尾良く必要なアイテムを集めるが、温度上昇で活動再開した多数のフェイスハガーに襲われて、ナヴァロが寄生される。全員が無事にこの船から脱出するために、荒れたステーション内で活動停止していたアンドロイドを再起動して情報取得を試みる。

二幕

3)他のメンバーの安全のために速やかにナヴァロの殺処分を提案するアンドロイドに対して、人間は脱出を強行して小型船を発進させるが、すぐにナヴァロの身体からチェストバスターが出てきて、制御を失った小型船はステーションの別区画に墜落する。

4)幸か不幸か小型船に乗り遅れていたレインとタイラーは、アンディを連れて墜落エリアに向かう。エイリアンは小型船の中で脱皮と羽化を繰り返してゼノモーフになりビヨンを殺す。レインとタイラーは小型船にたどり着くが、待ち伏せするゼノモーフを視認したアンディは扉の開錠を拒否して目の前でケイを見殺しにする。

5)アンディは墜落エリアまで移動した最優先の目的は(ケイの救助ではなくて)研究施設にあるDNA変異薬を持ち帰ることだと説明する。これはエイリアンのDNAを研究して開発されたもので、劣悪な環境で生きる人類を救う特効薬になるとアンディは力説する。三人は薬品を回収して、倉庫にある貨物船を目指す。

6)道中でタイラーは生け捕りにされたケイを見つけて回収するが、ゼノーモフの集団に見つかりタイラーが殺される。レインとアンディとケイは重力装置をうまく使うなど工夫してゼノーモフの集団を退治して、貨物船でステーションから離脱する。

三幕

7)痛みに耐えきれずDNA変異薬を打っていたケイの胎児が突然変異して生まれてくる。ミュータントはケイを殺し、アンディを破壊する。レインは機転を利かせてミュータントを貨物コンテナごと宇宙空間に捨てる。

8)宇宙ステーションはジャクソンの小惑星ベルトに衝突して大破する。レインはいつかアンディを修理することを誓って、貨物船の自動操縦の目的地をユヴァーガに設定し、冷凍休眠に入る。

FIN

2024年製作/119分/PG12/アメリカ
原題または英題:Alien: Romulus
配給:ディズニー
劇場公開日:2024年9月6日

▼解説・感想:

●構成

しっかり三幕八場構成に合致させることができました。

一幕
 一場:状況説明
 二場:目的の設定
二幕
 三場:一番低い障害
 四場:二番目に低い障害
 五場:状況の再整備
 六場:一番高い障害
三幕
 七場:真のクライマックス
 八場:すべての結末

参考:ハリウッド式三幕八場構成

実際には六場はかなり長いので、一度エレベーターで避難したレインがアンディを救出するために来た道を戻って重力装置をOFFにしてゼノーモフの群れを退治して強酸の血液を無重力浮遊で避けるところまでが六場で、そこからエレベーターシャフトで再び戦う場面が七場、ケイをコールドスリープに入れるところまでが八場と数えて映画としては一区切り、そこからケイのバイタル異常を知らせる警報が鳴って成長したミュータントとの戦闘になる場面はエクストラの第四幕と解釈した方が良いかもしれません。

0-0:プロローグ(エイリアン回収)
1-1:状況説明(苦しむ労働者たち)
1-2:目的の設定(エイリアンの襲来)
2-3:一番低い障害(人間とアンドロイドの衝突)
2-4:二番目に低い障害(船内移動とケイ見殺し)
2-5:状況の再整備(アンドロイドの真の目的)
2-6:一番高い障害(ケイ救出とゼノーモフ撃退)
3-7:真のクライマックス(エレベーターシャフトの戦い)
3-8:すべての結末(冷凍睡眠してユヴァーガを目指す)
4-9:エクストラ(レインVSミュータント)

私はてっきりケイが注射した件は、次回作へのフリで終わらせるのかなーと思って観てました。

エイリアンVS人間という感じのクライマックスはエレベーターの場面でしたね。

●感想

大傑作でしょう!

私は設定厨じゃないので細かいことまではよく判りませんでしたけど、映像も物語もクソ面白かったです。大満足。

過去作をよく勉強してて、作品ごとの個体差まで把握してる人達からしたら、やっぱ第1作と第2作の間の物語ということなので、気になる細かいポイントはあるのかもしれないけど私には判らないーくらいの感じです。ユヴァーガとかジャクソンとかウェイランド・ユタニ社とか過去作を再視聴してみようかなと思いました。

ジャンプスケアの演出も多くて楽しかったです。フェデ・アルバレス監督らしさが出たと言えるのかな。

今回は過去作を再視聴する時間が取れなかったのでうろ覚えですが、イースターエッグも多めでしたね。水を飲んでる鳥の振り子のオモチャとか。ちょっとしたセリフやキメ顔に既視感がありました。

劇中の人間キャラが全員やや頭が悪すぎる気もしましたが、学校が無い環境で育てばあんなものだろうし、観客より少しバカなくらいがエンタメには適正値なので、これが最適解だと思います。

X線透過装置や重力発生装置など、前半のガジェットが伏線になってる演出はとても良かったと思います。手堅く作った感じが好印象です。

DNAを改変して人類を救うというのは、まさに最近人類への使用許可がおりたmRNAワクチンを連想させて良いですね〜。(笑)現実的に考えるとmRNAからDNAへの逆転写が起きて人間のDNAがそっくり作り替えられるような事態が発生する確率は限りなくゼロに近いので心配無用と言い切れるレベルだと思いますけど、未知の薬剤を使うことへの恐怖を煽る演出は現代の我々によく効きます。

クリーチャーのデザインが最高に卑猥&悪趣味で笑っちゃいました。あんなのチ○コとマ○コとキ○○マ以外の何物でもないでしょ。(笑)しかも今作はけっこう長い時間まざまざと見せつけてくるように感じました。過去作のような恥じらいが足りないですね。(笑)古い記憶なので美化されてる可能性も微レ存ですが、過去作ではもっと一瞬だけ見せる演出がほとんどだった気がします。

下半分のシルエットが完全にチ●コとキ●●マやんけ…(笑)

●疑問点

なぜ、政府はあんな巨大な宇宙ステーションを放置していたのか、若者5人があんなに簡単に忍び込めるのに政府が無策だった理由や背景を知りたいです。時間が経てば小惑星ベルトに衝突して無くなるから…なのかもしれませんが、それにしても警備や管理が緩すぎる気がしました。他にも同じように略奪を考える人達が居そうな気もします。

レイン「まさか盗みに入ろうとしてるの?」
ケイ「他の誰かがやる前にね!」

ミュータントが母を殺す場面にも強い疑問があります。父を殺すというのはよくある物語の類型だと思いますが、母を殺す物語はかなり稀な印象を持ちました。私が寡聞なだけですかね。しかし違和感が強いです。ミュータントはもはや人間ではないということを表現するためだったのかしら。もう少し色々調べてみたいなと思いました。

あーでも、クモとか、生まれてきた子供が母親の身体を食べてしまうケースはありますね。そういうのも意図してるのかしら。

あとエイリアンの成長が爆速なのは全然問題ないんですけど、質量保存の法則を無視しまくってるのはちょっと気になりますね。(笑)炭素などの有機化合物でも金属でも良いんですけど、どこかで補給しないとあの大きさ(質量)にはなれないでしょう。そこをどうやりくりしている設定なのか気になりました。

ゆるすぎるセキュリティと、日照時間ゼロなのに見える太陽に疑問符が止まらない(笑)

●不満な点

実は私には、一つだけ不満な点がありました。それはアジア系の女優だけブスだったことです。シンプルにムカつきました。周りと同じくらい美形の役者を起用しろと正式に抗議文書を送りたい気分になりました。

女優というより女芸人に居そうな感じ…

しかも外見以上に、性格が超ブスキャラでした。ここに「アジア人ならブスでもええやろ」という欧米人キャスティング担当者の差別意識が透けて見えて不快でした。

しかもコミコンのインタビューではハブられてる!(怒)
MTVもまるで最初から居なかったようなサムネ!(憤)
Variety誌のインタビューにも居ない!(哀)
しかも、こちらには黒人も居ない…

別にこれだけを理由にこの映画を嫌いになることはないですけど、ナヴァロ役が河合優実や岸井ゆきのや杉咲花や浜辺美波みたいな日本の美人女優だったら良かったのに!とは思ってしまいますよ、ホント。

アジア人女性が世界基準で美人だと、困ることでもあるんですかね?
韓国女優なら『モナ・リザ アンド ザ ブラッドムーン』のチョン・ジョンソとか。

(了)

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まいるず
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