本当はどのジャンルの映画?(ジュラシックワールド/炎の王国)
実は、炎の王国、好きなんですよねー。
割と叩かれてる印象もあるんですけど。(笑)
最新作の公開日(7/29)に金ローで放送されるようなので、どこら辺が好きなのか語ってみます。
なお私はこの映画を公開当時はIMAX3Dで一度だけ観て、まあまあ満足して、そのあとシリーズを揃えたくて4Kブルーレイを購入し、今でも稀にHDRで視聴しています。
▼炎の王国の良い所:
ずばり、映画が一つのテーマパークのようになっている所です。
みんなシリアスな映画だと思って観てるからガッカリするだけで、あれはテーマパーク映画でっせ。(笑)
たとえば東京ディズニーランド/シーだったら、みんな作り物だと記憶の片隅では分かっていても、意識からは追い出して、夢の世界に入り込んで楽しむじゃないですか。そういう映画なんです。楽しく観ましょう。
前半はジェットコースターで、後半はお化け屋敷です。そう割り切って観ればかなり楽しいです。もしくは、考えるな感じろ、の世界です。
たとえば、この映画のクリス・プラットは超人です。体重数トンはありそうな恐竜に使う麻酔銃で撃たれても恐竜より早く目が覚めますし、燃える溶岩がほんの数メートル先に迫っても熱い素振りひとつ見せず普通に動き回り、火山灰に巻き込まれても平気で走り続けて火傷ひとつせず、何十メートルの崖から海に飛び込んでそのまま水中でゴーグルなしで救命作業を開始します。こんなのゼッタイに人間じゃありません。シュワルツェネッガーでもロック様でもやったことない(*ワイスピのヴィン・ディーゼルならワンチャンあり)レベルです。常人なら確実に死んでいる案件です。こんなことができる人間は、某マーベル映画でエゴの力を受け継いで生まれたのでパワーストーン(オーブ)を素手で掴んでも平気だったスターロードくらいです。な〜んだ、この映画は制作会社(Disney x Universal)の垣根を越えた夢のユニバース共有作品だったんですね!(*違うよ)
そして忘れちゃいけないのは映像がバチクソ綺麗なことです。
後半の屋敷でのインドラプターとの追いかけっこは、完全にホラー映画です。実は暗闇と光と水の演出による映像がかなり素晴らしくて、4K HDRで観るとトップクラスに美しいので、自宅でUHDか、もしくは映画館でIMAXやDolbyCinemaなど輝度が高いハイエンドな上映を選んだ方は共感いただけると思います。
細かいことは良いから、かっこいい、おもしろい、こわい、ハイレベルな映像を思いっきり楽しむ。これが『炎の王国』の正しい鑑賞方法でしょう。
最新作の『新たなる支配者』についても、予告編を観る限りでは、そういう方向に突き抜けていそうなヴァイブスが強く伝わってくるので、これは期待できると思います。ブルーに見た目がそっくりな子供がいるとか、レジェンド俳優が集まって有名なセリフを再利用しまくるとか、トム・クルーズみたいにバイクでヨーロッパの石畳を爆走するとか。
極め付けは、カルタノサウルスらしき個体(しかも2対)に向かって「待て」のハンドサインをするクリプラです。もう完全にセルフパロディのギャグでしょ。確信犯で笑わせるためにやってるでしょ。(笑)
ジュラシックパークは第1作が比較的シリアスな覆面をかぶっていたから誤解されやすいですが、第2作から先は一貫してコメディであり遊園地的でもある娯楽テーマパーク映画です。
第1作のキャストをよく見直してください。あのサミュエル・L・ジャクソンが出演してるんですよ。横では半裸のジェフ・ゴールドブラムがsexy全開ですよ。これはもうクソ映画だと認定せざるを得ないでしょうが。(笑)
▼炎の王国のダメな所:
ありません!テーマパークなんで。USJに遊びに来てガチで粗探しする人なんて居ますか?(笑)
でも実は一つだけ残念なポイントがありました。それは…
ずばり、日本語タイトルです。
なんですか?『炎の王国』って。
この映画、別に炎の要素ないんですよ?…強いて言えば火山かな。
でも、物語で火山が舞台になるのは中盤までの話。なんなら後半は火山は登場せず、クライマックスは暗闇と雨です。最後の一撃にしたって重火器の使用はありません。だからファイヤーな展開を期待して視聴した日本人は肩透かしを喰らったかもしれません。
原題ではJurassic World: Fallen Kingdomとなっていて、直訳すると『落ちた王国』なので、もう少し音や格好良さを意識しても『滅びゆく王国』などにするべきだったでしょう。
実際に、このサブタイトル『滅びの王国』は劇中で2度のタイトル回収があります。1度目は恐竜の島です。火山活動が活発化して、そこに住む恐竜は絶滅の危機に晒されます。これを見たら「滅びゆく王国とは恐竜のことだな」と誰もが思うでしょう。
そして2度目は終盤で出てきます。これはネタバレになるのでご注意ください。物語のラストで、ある理由で恐竜の群れがアメリカ大陸の自然に解き放たれてしまいます。6,500万年前まで支配者でありながら巨大隕石で絶滅した恐竜が、再び地上に現れたら地球の生態系や人類はどうなるでしょうか?…そうです、滅びる可能性が出てきます。人類はもはや地球の支配者ではなくなる。「滅びゆく王国って人類のことだったのか!」と大逆転して終わるのが本作の醍醐味です。
映画ではマルコム博士の公聴会のシーンが何度か挟まれます。序盤では絶滅危惧の恐竜の話をしてるのかと思いきや、実は人類に対する警鐘を鳴らしていた場面だったと終盤で判明するトリッキーな編集はかなりグッドだと思います。(*あんな少ない恐竜の数でそんなことが起きるかよ!という野暮なツッコミを入れてはいけません、これはテーマパーク映画なんですからw)
しかし『炎の王国』だと思って視聴していた日本人には、このダイナミクスはちょっと気付きにくくなってしまう(ピンと来ない)でしょう。もし、これが『滅びの王国』というタイトルだったら?「ええええ、滅ぶのって人間の方なの?」と衝撃を受けた観客を増やせたかもしれません。
なぜ邦題がこんなファイヤーテイストに大胆アレンジされたのかは不明ですが、なんとなく推察できるのは、ユニバーサル日本法人のマーケティング部門が「滅びる」というネガティブな単語の使用に躊躇したからではないかということです。日本人の場合、滅びるという単語を見ただけで「なんかバッドエンドっぽいタイトルだから観るの止めとこう」となりそうな雰囲気もします。だって「ファイヤー!」なタイトルの方が楽しそうじゃん。(*元から続編を待っていたファンというよりは、むしろ興味がない一般的な日本の映画館ユーザーを意識した場合の話です)
なお新作の『新たなる支配者』という日本語タイトルは、まあギリセーフって感じですかね。
これも原題のdominionをほぼ直訳して、なんなら波線も付けて『ジュラシックワールド〜支配者〜』くらいにしておいた方が良かった気はしますが。だって、勝手に「新たなる」って付けてるんですよ。なぜ「新しい」って分かるんですか?それってアナタの意見ですよね?(ジャパン法人の意見ですよね?)(笑)もしも、また映画の内容と一致しないサブタイトルになってたらどうするのよ?
もしくは、逆に先に翻訳作業のために脚本を見たチームが内容を考慮して「新たなる」と追記したなら、それはそれでタイトルでネタバレになってしまうんだけど、どう考えてるのよ?みたいな。翻訳については「何も足さない/何も引かない」が理想ですね。
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ジュラシックワールド/新たなる支配者(Jurassic World Dominion)は日本では2022年7月29日に公開予定。米国では一足早く6月に公開済みですが、これに関しては米国は小中学校の夏休みが6月から始まりますから。ちゃんと子供達やファミリーが行きやすいタイミングまで日本公開を遅らせたのは、納得できる遅延だと言えるでしょう。
楽しみだな〜。どのフォーマットで観ようかしら。
了。
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