資本主義をゲームに例えて考える①
前回のnoteで、現代は人が生き辛くなったほど資本主義が進んだのではないか、という考えをまとめました。
この現状に対して何が出来るのかを考える上で、まずは資本主義のことを理解する必要があります。前回のnoteでは、「資本主義は人の欲望を原動力にお金を材料として競争を行い、欲望を満たすものを無限に創造していく仕組み」と定義しました。
今回は、より具体的な特徴を考えるために、資本主義をゲームに例えて考えてみました。
資本主義ゲームの目的
このゲームの目的は、「自分が自由に使えるお金をどれだけ増やせるかに挑戦する」ことです。
注意すべき点が、「幸せになる」ことは目的で無いことです。人は誰しも、幸せになることを人生の目的とした上で資本主義ゲームに参加しているため、「どうして幸せになれないんだろう」と悩んでしまうことが非常に多いです。資本主義ゲームは、「幸せになる」ことではなく「自分が自由に使えるお金をどれだけ増やせるかに挑戦する」ことが目的ですので、ここを混同しないように必要があります。
ゲームの評価
このゲームは、一生を通してどれだけ自由に使えるお金を増やせたかで評価されます。「どれだけお金を稼いだか」は評価の対象からズレています。多くの人が「お金を稼ぐ=給料をもらう」と考えています(それしか知らない?)が、給料はその額丸々手にするわけではありません。社会保険料や税金を納めてから自由に使えるお金を手にしますので、お金を稼ぐことは必要ですが「いくら稼いだか」は評価の対象と若干異なっています。
また、一生を通した通算で評価されるので、途中は調子がよくても最後まで結果は分かりません。
目的のところでも言及しましたが、このゲームでは「一生を通してどれだけ幸せになったか」は評価されません。ゲームで勝利しなくとも幸せになることは可能ですが、普段の生活にもゲームは非常に強く影響しています。自由に使えるお金を増やすほど、資本主義ゲームを有利で快適に過ごせるので、幸せを感じやすいと言えます。
ゲームの世界
このゲームの世界では、お金を使って様々なことを行うことができます。美味しい物や安心出来る住環境を手にしたり、高度な医療を受ければ長生きもできますし、様々な代行サービスを使って自分の好きなことをするための時間を買うこともできます。
逆に、お金が無いと非常に不便な世界でもあります。上記のことが出来ないのはもちろんのこと、人に対する評価としても強力に支持されているため、「お金が無い人は低レベルである」と他人から勝手に評価されて自尊心を傷つけられてしまいます。
プレイヤー
プレイヤーは、全世界の人々です。さらに、生まれた瞬間から「強制参加」となっています。ごく一部、このゲームに参加しない(できない?)人々もいますが、ほぼ全人類が強制参加しており、プレイ時間はプレイヤーの一生と同じです。
プレイヤーは、ゲーム開始時に全員同じ条件でスタートするわけではありません。生まれ持った素質、親の教育方針や経済状況、生まれた国や時代によってすでに有利・不利があります。
ジョブ
自分が自由に使えるお金を増やすには、やはりお金を稼ぐ必要があります。このゲームでは、大まかに4つのお金を稼ぐジョブ(職業)があります。それぞれ長所と短所がありますが、ほとんどの人は「従業員」を選択します。
①従業員(雇われて稼ぐ)
長所は、「安定と安心を感じること」です。毎月給与としてお金を安定的に稼げますし、ほとんどの人が同じ稼ぎ方でみんなと同じという安心感もあります。
短所は、「自由に使えるお金が少ない、自由があまり無いこと」です。給与を受け取る際、まず社会保険料や税金を納めた後にお金を手にするため、自由に使える分がどうしても少なくなります。また、会社からの指示には従わなければならず、自分の好きな分野や得意な分野でない仕事をしなければならない場合もあります。
②自営業(自分で稼ぐ)
長所は、「自分で決められること」です。何を、いつ、どのようにやるかを自分で決めることができます。自分の好きな分野・時間で働けますし、その分野や業界でトップになれば、従業員よりも稼ぐことができます。
短所は、「全ての責任を負うこと」です。仕事における成果を全て得ることができますが、全ての責任を自分で負わなければなりません。また、自分自身が働かないとお金を稼ぐことが全くできません。
③経営者(人を雇って稼ぐ)
長所は、「1人よりも大きなことができること、自分がいなくても稼げること」です。自分の苦手なことは、他に得意な人を雇って任せればいいですし、チームで大きなことを行うことができます。また、チームである程度自動的に動けるようにすれば、自分がいなくても稼ぐことができます。
短所は、「自分だけでなく雇っている人への責任も負うこと」です。雇っている人に対して、給与を支払う責任や仕事の失敗を引き受ける責任があります。こちらの指示に従ってくれない時も、基本的に経営者の責任です。
④投資家(お金を使って稼ぐ)
長所は、「自分自身が毎日働かなくて良いこと」です。これから成長しそうな株式会社の株や、人気になりそうな建物・土地を購入して、配当や賃料を定期的に受け取ったり、買った時よりも高い値段で売って儲けます。配当や賃料は、株式会社や借りている人が働いて払ってくれます。ちゃんと人気の出そうな会社や不動産を選べば、自分は何もしなくても勝手に値段が上がります。
短所は、「はじめの選ぶ作業が大変であること、損する責任は自分が負うこと」です。毎日働く必要はありませんが、はじめにどの株式会社や不動産が成長し人気が出そうかを、自分自身で調査し考えて判断する必要があります。ここが上手くできないと全く儲かりません。さらに、儲からないだけでなく投資したお金が返ってこない可能性もありますが、そうした「儲からない・損をする」責任は自分が負います。
今回は、資本主義をゲームに例えて、目的、評価、ゲームの世界、プレイヤー、ジョブの5つについて考えてみました。
皆さんは資本主義をゲームに例えると、どんな風に感じますか?