『Vice Versa』(タイ/テレビドラマ/2022)
2024年1月から3月までの放送時に視聴。
タレーを演じていたTawinan Anukoolprasert(愛称:Sea)の演技がよかった。B Lドラマではなくて、子供がいる若いお父さん役とか、さらに歳を重ねて白髪が混じるくらいの歳になってもいい演技が見られそうな気がした。
このドラマはタイのBLドラマらしく、一緒にお風呂に入ったり、お料理を食べさせあったりという二人のイチャイチャシーンも盛り沢山だった。個人的にはそういうシーンはあまりたくさんいらないが、やはりタイのBLドラマとしてはあのくらいは無いわけにはいかないのだろう。
それはそれとして、物語自体の筋書きは面白いものだったと思う。突然異世界に放り込まれ、別人の体に入り込んでしまう二人の主人公。元の世界とは違う環境に戸惑いながらも外側の人物としての日々をなんとか生きなければいけない。新しい目の前の仕事に打ち込んで夢の実現のために奮闘したり、外側の人物がかつて引き起こした問題(中身の自分には訳がわからないが)の尻拭いを余儀なくされたり、元の世界に戻るためには"ポートキー"と呼ばれるパートナーを見つけなければならないのになかなかピンとくる相手が見つからず見当違いの相手に期待したり。元の世界に戻っても再会できる可能性がひくいなら、いっそこのまま異世界にのこり好きな相手とずっと過ごすという選択肢が頭をよぎるが、それは自分と入れ替わってしまった人物の人生を奪うことであると悩んだり。
最終回で、元の世界に戻れた二人が緑あふれるお洒落なカフェで再会するシーンがよかった。
見た目だけでは中身が誰かはわからない二人。目の前にいる人のその中身が愛するタレーなのか入れ替わったテスのままなのかは、プーンにもわからない。一度探し当てたタレーの自宅に訪ねた時は、中身はテスのままで冷たくあしらわれた。きっと今度も中身はテスなんだろうと思い、声をかけたものの寂しくその場を去ろうとしたプーンは、タレーの一瞬の沈黙とそのあとの懐かしいからかいの言葉から、それがタレー本人であることを察する。このシーンがよかった。
異世界から元の世界に舞い戻るための大切なポートキーであるとお互いに気づき、またそれと同時に次第に愛し合うようになった二人。ドラマではわかりにくかったけれど、異世界では二人は全然別人の外見をしていたわけで、元の世界に戻って本当の姿に戻ってまた対面しても、気づけない可能性のほうが大きかった。せめて一緒に戻れたら互いの本来の外見もはっきりわかってよかったのだろうけれど、そのタイミングもずれて離れ離れになってしまったので、同じ世界に戻っても、もう二度と互いに気付けない可能性も高かった。元の世界では全く住む世界が違う二人だったので、尚更再会の可能性は低かった。
そう考えると、このカフェでの偶然の再会シーンはちょっとジーンときた。
すごくはまったドラマというわけではなかったが、筋書きは面白いとおもうので、入浴シーンなどイチャイチャシーンを控えめにしてBL色を薄め、ほんのりとそれを思わせるようなブロマンスバージョンで見てみたいと思った。日本でリメイクするとしたら、誰がいいかなぁ・・・。