片足立ちでバランス感覚を養う
自分の足と体で「立つ」「歩く」
自分のことは自分でやる、これが自立であり、自律です。
それは、自分の足と体で「立つ」「歩く」「走る」「しゃがむ」「座る」という簡単なことでも構いません。
あなたは、どんな時でも、これらを、体に無理な負荷なく、できるでしょうか。
自分の足と体で「立つ」「歩く」「走る」「しゃがむ」「座る」ができれば、非常時でも大丈夫です。
逆に、平時で、これらを満足にできないか、人の手を借りる必要がある人(病人ではなく)は、危ないです。
バランス感覚の崩れている現代人
現代人の多くは常時歩きスマホです。
多分、彼らは、バランス感覚が相当落ちているでしょう。
後述する、片足立ちをやらせればすぐにわかります。
歩くというのは、片足立ちを連続して行うことなので、リラックスして片足立ちができなければ、安定して歩くことはむずかしいし、歩くことにかなりの意識・エネルギーを使ってしまって、それ以外のことができなくなります。
歩くことだけに意識を用いていれば、周りを冷静に観察したり、相手の話をしっかり理解したりということが、充分にできるでしょうか。
むずかしいと思います。
災害時・非常時には、通信網がダメージを受け、電力供給も止まる可能性があるのに、スマホ操作に余念がなく、体のケアを怠って、生存能力を衰えさせて、何をしたいのか、わかりません。
システマの本を久しぶりに見る
最近、本屋で、『サバイブのための歩法 システマ・フットワーク』(日賀出版社、2015)という本を見かけました。
著者の、北川貴英氏の本は、処女作『システマ入門』を持っていたものの、もうずっと手に取っていなかったこと、以前はブリージング(後述)をやっていたことを思い出しました。
「システマ」とは、ロシアのスペツナズの教官だったミカエル・リャブコが創始した格闘技です。
システマという名称は便宜的なもので、本来は名称もなく、型もありません。
あらゆる状況下で生存することを目標としています。
システマの目標は生存
そのためには、常にリラックスを維持することが大事で、それをするための呼吸「ブリージング」が、システマの訓練の基本であり要です。
私は本を読むだけですが、システマのクラスでは、「もっと呼吸をして」とよく言われるそうです。
呼吸が止まれば、体は緊張しますし、体内への酸素供給が不充分であれば、頭もよく回りません。現代人によく見られる傾向です。
そして、メディアの恐怖・怒りを煽るニュースを見て、すぐに感情的になってしまいます。
絶えず呼吸をし、体から緊張を取り除いて、リラックスしているからこそ、自他の状況を冷静に観察して、その時に最適な動きを見出して、行動していくことができるのです。
・初対面の人に会う
・やったことのないことをやる
・人前でスピーチをする
・神経を使う仕事をする
・クレーム対応
・接客
など、日常には、緊張を感じる場面が多々あります。
そういう時でも、後述するシステマのブリージングを行うことで、緊張を和らげて、リラックスして、前向きに取りくめるようになります。
自然な姿勢とは?
さて、『システマ・フットワーク』を立ち読みして、良い立ち位置を取るとか、フットワークについてきちんと書いてあり、「これはしっかり習得することが自分にとって良いだけでなく、人に教えれば、プラスになるな」と思いました。
その中で、「片足立ちのエクササイズ」が紹介されていました。
自然な姿勢とはバランスの取れた姿勢であると、著者は指摘し、特に「注目したいのは、片足立ちでのバランス能力」(『システマ・フットワーク』p,54)だと言います。
ですから、もし片足立ちでバランスを崩し、緊張してしまうようであれば、リラックスして歩くことなどできないのは、明白です。
システマの基本:ブリージング
その片足立ちについて御説明する前に、システマの呼吸法について述べます。
片足立ちのやり方をお知りになりたい方は、目次から「片足立ちのやり方」に飛んでください。
システマの呼吸法は、「鼻から吸って口から吐く」、これだけのシンプルなものです。
でも、どんな状況でもこれができるようになって、常にリラックスを維持して、普段通りの力が出せるようになるのは、容易なことではありません。
例えばスマホをいじっている時とか、何かに夢中になっている時に自分の呼吸を観察すると、大抵止まっているか、浅くなっています。
私もしばしばなります。
多くの人もそうではないでしょうか。
また、緊張した時も、呼吸は浅くなりがちです。
緊張の源にあるのは恐怖です。
緊張した時は呼吸で対処
緊張や恐怖を感じても、呼吸をすればリラックスできます。
緊張した時は、肩でも首でも、息を吸いながら、緊張している部位をさらに緊張させてください。
そして、吐く息と共に、脱力する。
これを2~3回繰り返すと、緊張がほぐれます。
これでもほぐれない時は、緊張している部位に意識を向けて、そこが呼吸しているつもりで、すばやく「鼻から吸って、口から吐く」を何度か、繰り返してみてください。
リラックスとは動くこと、緊張とは動かなくなること
リラックスとは動くことであり、緊張とは動かなくなることです。
それは状況によっては、生存に必要な動きが取れなくなる危険性があります。
そうならないために、どんな状況でも、呼吸できることが、システマでは求められるのです。
緊張したら、呼吸を繰り返して、リラックスする。そして、その事柄に取り組む。そうすることで、恐怖を克服できます。
災害や大きく動揺することが起きても、ブリージングを普段から訓練していれば、すぐにブリージングでリラックスして、パニックにならず、冷静に、その時必要なことを見出してやっていくことができます。
動揺した時こそ、呼吸です。
いつでもリラックスして、冷静であることのメリット
メディアは連日、恐怖・不安を煽ることばかり流し続けていますが、ブリージングでリラックスし、冷静になれば、「このニュースの意図は何か」「どこへ視聴者を誘導しようとしているのか」を考え、見抜いて、メディアの操作・誘導に乗らないようになることもできます。
しかし、常時、恐怖や不安を感じて、緊張していたら、それもできません。
インスタント否定をせず、結論を急がないためにも、冷静さは必要です。
ゆたかさんが以下の記事でお書きになっておられる、「見えないものを見る」「他人の目的を察する」「光の視力を持つ」「想像脳を使う」といったことは、リラックスして、冷静になっていなければできません。
反対に、インスタント否定、第一印象だけで判断する、すぐに結論を出す人たちは、リラックスや冷静さから程遠いのは明らかです。
「一呼吸置く」ゆとりさえ、見られません。
それでは、調和的・平和的な関係を持続的に築いていくことなど、できません。
獣性ではなく、神性に目覚めるとか人間脳を使えるようになるには、リラックスし、冷静になっていることが前提です。
だから、メディアやネットは、我々を獣に貶める情報に満ちているわけです。
しかし、常にリラックスして、冷静になっていれば、その策略に乗らず、落ち着いて、惑わされず、情報を見て、精査し、必要な行動を取っていくことができます。
片足立ちのやり方
さて、随分、本題の片足立ちから逸れてしまいました。
毎日、隙間時間に、片足立ちをやることで、バランス能力は向上していきます。
また、「片足立ちでのリラックスが進めば、歩きながら行う全ての動作が疲れにくく、より正確なものになる」(『ストレスに負けない最強の呼吸術』エムオン・エンタテインメント、2015、p,30)と、別の著書で北川氏は述べています。
これを、「鼻から吸って、口から吐く」のブリージングを行いつつ、隙間時間に行います。
最初は目を開けてやってください。
右足・左足、それぞれで立つのを30秒やり、それが苦もなくできるようになったら、10秒ずつ時間を伸ばしていく。
人によっては、10秒でフラつくこともあるかもしれません。
自分のバランス感覚の低下に気づけたわけですから、喜びましょう。
多くの人は、そのことに気付いてすらいません。
気づけば、次にどうしたらいいかを考えられます。
慣れたら、閉眼してやってみる
目を開けて、2~3分、リラックスして片足立ちができるようになったら、目を閉じてやってみましょう。
やってみるとおわかりになるでしょうが、開眼時とはうってかわって、ほとんどできないことにお気づきになられるでしょう。
しかし、これも続けていけば、ちょっとずつ、できる時間は増えていきます。
その他の簡単にできる運動
ゆたかさんがこちらで御紹介されている「かかと上げ」「体を左右にひねるストレッチ」「手足ブラブラ」もいい運動になります。
運動が苦手な方でも、この3つと、片足立ちを毎日、短時間でも行うことで、「立つ」「歩く」「走る」「座る」「しゃがむ」に必要な力は鍛えられていきます。
自分の体で動けるか否かは、土壇場でのメンタルを分ける
街中歩くと、以下の人たちをよく見かけます。
・歩きスマホで姿勢の歪んだ人
・フラフラ歩く人
・インナーマッスルが衰えているので、両足でも体を支えられない人
・膝から足が出て、ズルズル引きずるように歩く人(高齢男性に多い)
これらでは、何かあった時に、瞬時に動けません。
また、怪我や病気の原因にもなり得ます。
肉体的な意味で、「自分の足で立てる」「自分の足で歩ける」「自分の足で走れる」というのは、土壇場での、メンタルを分けます。
現状を見て、できるところからやってください。
片足重心の方が安定している
片足立ちの時間が伸びてくると、バランス感覚がアップして、歩く時の機動性も上がります。
また、信号待ちや駅ホームで立っている時は、体重を右足・左足交互に移動してみてください。両足で踏ん張っているより、すぐに動けます。
両足で立つのは安定しているように見えるでしょうが、何かあった時の初動が遅れ、場合によっては怪我をすることもあります。
片足重心だと、すぐに体勢を立て直すことができます。
しかし、それも日々、訓練していなければ、できません。
普段やって、血肉になっていることだけが、何かの時に出せるのです。
北川氏は、『システマ入門』で、「自分のものになっていない知識やテクニックは、頭が真っ白になった時にいとも簡単に吹き飛んでしまうもの」(p,92)と指摘します。
そして、「例え全てを忘れてしまったとしても、決して忘れようがない動き」である「自分自身の動き」を見つけていくことが大事だと続けます。
たくさんの知識や情報を集めるより、自分に必要なことを徹底的に行って血肉化する、それが今のフェーズではないかと、私は考えております。
いろんな自給方法の紹介
なお、こちらに、外側に依存せず、自給していくためのいろんな方法が述べられています。
御自分のできるところから、やってみてください。
すばらしいですね。支配を終わらせる方法が網羅されている。
あとは、理解して、やるかどうかです。