トム・ケニオン:ノイズ除去呼吸法の紹介
これまで、トム・ケニオンの『BRAIN STATES』にある二つの呼吸法を紹介してきました。
著者のトム・ケニオンは、心理療法家、作曲家、サウンド・ヒーラー、チャネラーという複数の顔を持つ、アメリカ人男性です。
日本では、チャネリング本しか出ていませんが、彼の本業は、心理療法家であり、脳と意識の関係の探究者です。
三つ目の呼吸法の紹介
今日は、「第7章 脳の状態を変える呼吸法」から、また別の呼吸法を御紹介します。
この章では、四つの呼吸法が紹介されていて、今日のは三番目です。
本書のあちこちで紹介されるワークで主に使われるのは、「レベル1呼吸法」と、今日御紹介する「ノイズ除去呼吸法」です。
いずれも短時間で心身をリラックスさせ、意識を内側に向けやすくするので、変性意識状態への移行を容易にします。
呼吸法を習得する実用的な理由を、トムはこう述べています。
”呼吸法は、生命維持だけでなく、変性意識状態への扉を開くことができます。そのような状態は、すぐに発見できる多くの実用的な理由のために、非常に有用です。” (p,86)
トムの呼吸法に限らず、数分でリラックス状態や変性意識状態に移行させてくれる呼吸法を、数個体得しておくと、役に立つ場面が多々あると思われます。
“これらの呼吸法を何度か繰り返して、その効果をはっきりと体験することをお勧めします。” (p,86)
呼吸に意識を向けると、呼吸はゆっくりになります。ゆっくりにしようとしなくても、呼吸に意識を向けるだけで、そうなります。
以下の呼吸法は、呼吸に意識を向けながら、ゆっくりやってみて下さい。
注意事項:低血圧の方や脳梗塞を患ったばかりの方は、これらのエクササイズを行う前に医師に相談して下さい。運転中や注意力を必要とする状況では、これらのエクササイズを絶対に行わないで下さい。これらのエクササイズは、立って行わないで下さい。(p,87)
ノイズ除去呼吸法 (p,88~89)の紹介
この方法は、天才と知能に関する全米屈指の専門家であるウィン・ウェンガー(E.E.)によって開発されました。
これは、情報理論から導き出された概念です。言語・非言語を問わず、あらゆるコミュニケーションは、同様の基本法則に従っているというものです。コミュニケーションの観察から生まれた基本的な概念の一つに、「ノイズ」というものがあります。コミュニケーションの明瞭さを妨げたり、変化させたりするものを「ノイズ」と呼びます。
例えば、人の話を聞いている時に、近くを飛行機が飛んでいたら、言葉(情報)は飛行機の「ノイズ」に紛れてしまいます。また、電話をかけていて、回線の状態が悪かった場合の雑音も「ノイズ」と呼ばれます。雑音が強すぎると、相手の言葉を理解することができません。
「ノイズ」は、外的なものだけではありません。内的なものもあります。内的な「ノイズ」は、さ迷う思考、精神的動揺、緊張などが原因で起こります。また、体内の化学物質が神経機能に影響を与えることによっても生じます。
本当に疲れていて、会話についていけなかったことはありませんか?集中するのが難しいと感じたことはありませんか?あるいは、興奮したり緊張したりして、自分のしていることに集中できなかったことはありませんか?これが、「ノイズ」です。
情報理論の概念を脳内コミュニケーションに適用すると、内なる「ノイズ」が精神的な明晰さに、どのように影響を与えるのかがわかります。
この技法を使用すると、内なる「ノイズ」が劇的に減少し、それにより、精神機能が向上します。
技法のやり方 (p,89~90)
1. 楽な姿勢で座り、目を閉じます。
2. 自分の体が中空の管であると想像し、感じて下さい。息を吸うと、息が、足から脚へ、骨盤やお腹へ、胸や背中へ、そして肩や頭へと、吸い込まれていくことを想像し、感じて下さい。
3. 体内の空洞であるこの管の中を呼吸が「旋回」し、緊張やストレス、不快な感情を運び去っていく様子を想像し、感じてみて下さい。
4. 吸った息が体の頂上(頭)まで来たら、ただリラックスして、通常の方法で息を吐きます。吐くたびに、その前の呼気よりも、自分をリラックスさせていきましょう。
5. 呼吸を長く、ゆっくり、心地よくして下さい。この方法で2分から5分、お望みならもっと長く呼吸して下さい。
どのように感じていますか?体はリラックスしていますか?あなたの体の空間的な方向性はどうですか?「浮いている」と、感じますか?浮遊感やリラックス感は、脳波活動が低下していることの特徴であり、これらのテクニックの目的でもあります。
お望みなら、好きなリラクゼーションミュージックやハトホルのサウンド・メディテーションを聴きながら、この呼吸法をやってみても構いません。
慣れてくれば、数分以内に、心身の緊張を解き、ノイズをかなり減らすことができるようになります。
頭が思うように働かず、そうかといって、数時間の睡眠を取るのが難しい状況で、この呼吸法をやってみることで、多少、ノイズが消えます。
普段、練習していないと、いきなりはできないので、気が向いたら、やってみて下さい。
翻訳記事へのまとめリンク
ハトホルの記事は、こちらにまとめてあります。
サウンド・メディテーションのある記事は、それがわかるように略称をつけてあります。
また、ハトホルの記事だけでなく、トムの記事は、こちらにまとめてあります。