ネットで話題の微分を使った1=2の証明を論破してみた
こんにちは。こんばんは。
😎SCAR です。
今回は初めて数学に関する記事を出そうと思いますが、初回から少し変な記事を書こうと思います。
皆さんは1=2「証明」した動画や記事を見たことはあるでしょうか?もちろん直感的には1=1であり、そうならないということは人間には考えられませんが、意外に説得力のある証明がネット上にはあります。
一番有名なのが以下のような証明で、見たことある人も多いかもしれません。
この証明は中学数学の内容しか使っていませんが、なんと1=2が難なく証明されました。しかし、この結果は明らかに我々の感覚に矛盾します。
これはどういうことなのでしょうか?
実はこの証明には間違いがあります。➀から⑤まで操作に番号を振りましたが、この中の一個が数学的に間違っているため、結果的におかしな証明になっているのですが、それはいったい➀から⑤のうちどれでしょう?
答えは③の両辺をa-bで割る操作です。一見問題無さそうですが、一番最初にa=bと仮定しているため、a-b=0となるので、③の操作は両辺を0で割るという数学に定義できない行為になってしまい、後の論理がおかしくなります。
このように、数学のルールや考え方を正しく理解していないと証明のどこが間違っているかを説明できません。1=2の証明というのは出鱈目な証明と呼ぶことも出来るかもしれませんが、一方その証明の何がおかしいのかを考えるのは自身の数学力や論理力を鍛えるための良い訓練になります。
本題はここからです。先ほど示した証明は知っている人も多く、からくりを分かっている人もたくさんいたと思いますが、次の1=2の証明はあまり知られていないものの、とてもユニークで説得力のある私が一番好きな1=2の証明です。
今から紹介する証明を考えたのはジョン・ハッシュさんという教師兼ユーチューバーの方で、この証明を解説した動画は65万回再生されています。おもしろい動画が他にもたくさんあるので是非彼のチャンネルを見に行ってください。
それでは、早速彼が考えた微分を用いた1=2の証明を見ていきましょう。
どうでしょか。x^2をうまく変形することによって、1=2が導き出されてしまいました。
今回も➀から⑥の操作のうち、間違っているものがあります。
時間を取って一度考えてみてください。
ヒントは定義に立ち戻ることです。
皆さんどうでしょうか?
答えは②と③です。
ぱっと見何もおかしくないように思われるかもしれませんが、実は細かいミスがあります。
まず②番の
x*x=x+x+・・・+xですが、
2*2=2+2
3*3=3+3+3
のように一見成り立ちそうですが、ここで大事なのが、この②番がxが自然数のときにしか成立しないことです。
そのため、②はxが自然数のときのみに限定されます。
これによって③の微分がおかしくなるのが分かるでしょうか。
関数が微分可能ならば連続である、という定理があります。
対偶を取れば、連続でなければ微分可能でない、ということが分かります。
②はxが自然数のときにしか成り立たないということは連続ではありません(途切れ途切れ)。
したがって、この連続でない関数は微分ができないので、この証明は間違っていると言うことができます。
このように、1=2のような明らかにおかしい証明でも、反証を挙げるのは難しく、ちゃんと数学の定義を理解していないと正しく答えられないことがあります。
いかがだったでしょうか。
今回紹介した以外にも、おもしろい1=2の証明は他にもありますので、是非調べて自力でそれに反証をあげる練習をして数学力を高めましょう。
では、また。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?