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英文学の書き出しその8「御冗談でしょ ファインマンさん!」

こんにちは。こんばんは。
RAPSCALLI😊N です。

今回は「英文学の書き出しその8」ということで、ちょっといつもと違う文学作品を扱おうと思います。

今回扱うのは"Surely you're joking Mr.Feynman"という本の一部分です。

この本はノーベル物理学賞を受賞したリチャード・ファインマンという人物の自伝で、物理の研究だけでなく、彼の人生の様々な経験やそれを通して得た知恵について書き記した作品となっています。

物理学者が主に書いた作品ということで、文学作品として特段文章の芸術性が高いというわけではないかもしれませんが、ファインマンの経験や考えを赤裸々に書いた文章がとても面白く、笑える部分もたくさんあります。

ファインマンは物理を熱心に研究しながらも非常に多趣味な人物、本書の中でもサンバを踊ったり、絵を書いたり、パーティーに行ったりするエピソードも描かれています。

今回は、その中でもファインマンが日本を訪れたエピソードから一部分を抜粋してお届けします。

実はこれから取り上げる文章は本の書き出し部分というわけではないので、企画の趣旨と矛盾してしまうのですが、そこはお許しください。

では、今回の文章を見ていきましょう。

文学的にどうこう、というよりも、エピソードの面白さを見ていきます。

原文

 Sometime later the woman who took care of my room came in and said something ­­ in Japanese ­­ about a bath. I knew that Japanese baths were interesting and was eager to try it, so I said, "Hai."

 I had read that Japanese baths are very complicated. They use a lot of water that's heated from the outside, and you aren't supposed to get soap into the bathwater and spoil it for the next guy. I got up and walked into the lavatory section, where the sink was, and I could hear some guy in the next section with the door closed, taking a bath. Suddenly the door slides open: the man taking the bath looks to see who is intruding. "Professor!" he says to me in English. "That's a very bad error to go into the lavatory when someone else has the bath!" It was Professor Yukawa!

 He told me that the woman had no doubt asked do I want a bath, and if so, she would get it ready for me and tell me when the bathroom was free. But of all the people in the world to make that serious social error with, I was lucky it was Professor Yukawa!

"Surely You're Joking, Mr. Feynman!" by Richard P. Feynman

翻訳

 それからしばらくして、私の部屋を担当してくれた女将がやってきて、お風呂について日本語で何か言った。私は日本の風呂が面白いことを知っていたし、試してみたかったので、「はい」と答えた。

 日本のお風呂はとても複雑だと読んだことがあった。外から温めたお湯を大量に使うし、お湯に石鹸を入れて次の人のために台無しにしてはいけない。私は立ち上がり、洗面台のある便所コーナーに入ると、隣のコーナーでドアを閉めたまま風呂に入っている男の声が聞こえた。突然、ドアがスライドして開いた。「教授!」彼は英語で私に言った。「他の人が風呂に入っているときに便所に入るなんて、非常に良くないことですよ!」。なんと湯川教授だったのだ!

 湯川教授によると、女将は間違いなく私に風呂に入りたいかと聞いたのであり、準備が終わってお風呂が空いてから私のところに伝えに来るらしい。しかし、そのような重大な社会的ミスを犯した相手が、あの湯川教授でまだよかった!

DeepL + RAPSCALLI😊Nの意訳

ファインマンの自伝の中で、ファインマンが会議で日本を訪れた時に起きたワンシーンです。

ファインマンや会議に出席する他の物理学者たちは最初は洋風なホテルに泊まることになっていましたが、せっかく日本に来たのだからとファインマンは旅館に泊まりたいと言い出し、途中から近くの旅館で寝泊まりすることになりました。

そして、旅館に到着した初日の出来事。女将さんがファインマンに日本のお風呂を勧めます。

興味を持ったファインマンは「はい」と答え、早速お風呂場に向かいます。

そして、この旅館のお風呂がどういう間取りになっているかわかりませんが、浴室があって、扉を挟んでトイレや洗面所があったのでしょう。

お風呂にはすでに誰か入っているので、ファインマンがトイレスペースで待っていると、急に扉が開いて、あの湯川秀樹教授がお風呂から姿を現すのです。

ノーベル物理学賞をとった二人の天才物理学者が日本の旅館のお風呂でばったり会うとは、凄い場面でもありちょっと滑稽ですよね。

ファインマンは結局湯川秀樹に、人がお風呂に入っているのにトイレスペースに入るのはマナーが悪いと少し怒られてしまいます。


なお、このファインマンの伝記のおもしろいところは、ファインマン自身の考え方や経験を知れるだけでなく、いたるところで湯川秀樹のような物理学界のオールスターのような人物が登場してくるというところです。

ファインマンも凄い物理学者ですが、湯川、アインシュタイン、フェルミ、オッペンハイマーなど、たくさんの天才たちとのやり取りや交友関係をこの本を通して知れるのは物理好きの人にとってはたまらないですよね。

ということで、今回はリチャード・ファインマンの「御冗談でしょ ファインマンさん!」という本の一節を見てきました。

他に紹介・解説してほしい本がありましたら是非是非コメント欄で教えてください!

また、スキやフォローをしていただけると励みになるので今回の記事を気に入っていただけた方はぜひお願いします。

では、また!

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サムネ画像の引用元

File:Paul Dirac and Richard Feynman at Jabłonna 1962.png

作成者:Marek Holzman

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