ミドル→メガベンチャーに転職したデータアナリストが感じたカルチャーギャップ
概要
ミドルベンチャーで3年働いたデータアナリストが、昨年2023年の春にメガベンチャーに転職しました
前職のミドルベンチャーでの阿吽の呼吸でのチームワークに甘えてしまっていた筆者は、メガベンチャーのチームワークでは雑なコミュニケーションが許されないというカルチャーギャップにぶち当たりました
筆者の「頭の中にあることをそのまま喋る書く」という生来の悪癖もあって当初大変苦しみましたが、ドキュメントドリブン・コミュニケーションの習得に取り組んだことで大分改善できた2023年でした
はじめに
お仕事についてのnoteは初めてのじゃっこです。前職からデータアナリストとして働いていて、正社員約100人のミドルベンチャーで3年ほど働いた後、昨年2023年の春に正社員約2000人のメガベンチャーに転職しました。この記事では、私がその際に感じたミドルベンチャーとメガベンチャーでのチームワークの違いについて共有したいと思います。
入社時には「(前職)さんとはtoCアプリという点も同じですし、社風も似ているので、カルチャーギャップは少ないと思いますよ!」と言われていました。実際、社内の風通しの良さや社員が性善説ベースでコミットメント強く働いていることなどはその通りでありがたかった一方、仕事面ではチームワークの違いにかなり戸惑ってしまいました。
今後PdMを含めた文系職でのスモール〜ミドル→メガベンチャーの転職が増えていくだろう中で、誰かの助けになればと思いこのnoteを書きました。
ミドルベンチャーとメガベンチャーのチームワークの違い
この記事で伝えたいことはシンプルに一つで、プロジェクトに対する人数とコミットメントの重さが違う、ということです。
ミドルベンチャーでのチームワーク:
少人数/少数プロジェクトに重めのコミット
前職のミドルベンチャーでは、プロジェクトが少人数で進行することがほとんどでした。PdMを中心に、各領域エンジニア・デザイナー・アナリストなど各職種から1〜2人、合計5人程度のイメージです。また各メンバーが同時に抱えるプロジェクトは多くて3〜4つでした。
この環境のメリットは、多少コミュニケーションが雑でも阿吽の呼吸でプロジェクトが進みやすく、PDCAのスピードと回転数を確保しやすかったことです。一方で、デメリットは属人性が高いことで、プロジェクトとしてできることの限界がメンバーの持っている知見・技術・キャパシティに制約されがちであるとも感じていました。
メガベンチャーでのチームワーク:
多人数/多数プロジェクトに軽めのコミット
メガベンチャーでは、プロジェクトに関わる人数が多く、さらに多様な職種の人々が関与します。マーケター・広告運用者・PR広報・法務経理など、前職だとそもそもいないか会社で一人しかいない職種が部署として成立して複数人いて、各プロジェクトにもアサインされていることに驚きました。
この環境のメリットとしては属人性が低いことです。人材の代替も効きやすく特定の人に負荷が集中しにくいし、会社全体の人材プールも大きいのでそのプロジェクトに必要な知見・技術を持っている人材をフレキシブルにアサインしやすくなっており、チームとしての可能性が広げやすいと感じました。
一方でデメリットとしては、一人当たりが同時に持っているプロジェクトも多くなりがちなので、各メンバーの一つのプロジェクトに対するコミットメントや解像度が相対的に低くなりがち、結果プロジェクトの進行スピードが共通認識を揃えながらのものになりがちなことが挙げられます。
このような目まぐるしい状況で、メンバーが前職と同じタスクの持ち方でプロジェクトにコミットするという前提は物理的に無理です。人間のキャパシティを超えます。
このため、前提や共通認識の確認を徹底しながらプロジェクトを進めないと、定例で前提確認をすっ飛ばした説明をして混乱を招きその収集だけで大人数の会議の時間を浪費してしまったり、完成近くまで進めたタスクに前提条件の違いが発覚し作業が全て水の泡になったりします(両方私が数回やりました……)
ドキュメントドリブン・コミュニケーションへの矯正
データアナリストとして致命的なのですが、私はコミュニケーション上の欠点として頭の中にあることをそのまま喋ったり書いたりしてしまうという癖があり、前職上司からも課題として指摘されていました。実際自分でも周りに甘えてしまっているなと思っていたのですが、前職では結局チームメイトに解釈のコミュニケーションコストを払わせることでプロジェクトが回ってしまっていたため、転職して実際に自分の所業で会議を数回破壊したことで、初めて本気で改善しなければと思うようになったのでした(本当にクソ)。
具体的な改善策として現職の上司から指示されたのがドキュメントドリブン・コミュニケーションの徹底です。ただ議事録を取るということではなく、コミュニケーションの土台、前提事項や論点の共通認識化をするというイメージで、メドレーの記事がわかりやすいかなと思います。
教科書として、お馴染み「考える技術 書く技術」を薦められました。相手の要望・疑問に対して、ピラミッド構造で論点を整理して回答しようという本ですね。日頃の業務での分析の成果物として、このピラミッド構造を踏襲した箇条書きができるようになること(第二章の内容)が、ひとまずのゴールだと提示されました。
X(Twitter)でも定期的にバズっているように正直頭に入ってこなかったので、実際には下記のツイートについていた入門書で主に理解していました。
ただ上司に「(元の本の方の内容が)頭に入ってこないんですよね」と溢したところ、実際に私が会議に出す資料を1on1でリアルタイムで改稿しながら実践してくださったりしました。
また他に薦められたのが「ロジカル・プレゼンテーション」です。「論理的かどうかは相手が決める」「とにかく相手に考えさせたら負け」と繰り返しているように、相手が最も考える労力が少なく意思決定できるようにするには、どのように伝える内容を整理すればよいか、という本になります。
頭の中にあることを(相手にとってわかりやすい順番には直さないまま)自分の考えた順番でそのまま喋る書くという自分の所業に嫌気が差していた私は、ヘドバンしながら読んでいました。
このように現職の上司には半年間私のコミュニケーションの改善に相当な工数を割いていただき、本当に頭が上がりません。
まとめ
私にとっての2023年はメガベンチャーでバリューを発揮できるようなコミュニケーションの体得に費やした一年でした。転職理由自体がアナリストとしてできることを広げるための武者修行だったので、個人的には満足していますし、引き続きこの方向で今年も精進したいと思います。
2024年はベンチャーバブルの落ち着きもあり、スモール〜ミドルベンチャー→メガベンチャーへの転職はより増えていくと、周囲の同年代の動向からも予想しています。私の年代でスモール〜ミドルベンチャーに飛び込んだ人が、成否を問わずひと段落して、次のキャリアステージに向かう時期でもあると感じています。
その際、ベンチャーで実践経験を積んできた優秀な人材たちが、コミュニケーションスタイルが違うと言うだけで初っ端躓いてしまうという事態を少しでも減らせたら……と思い、このnoteを書きました。(こんなところで引っかかるのは私だけかもしれないですが、その場合は私個人の振り返りと言うことで……)
スモール〜ミドルベンチャーに20代で飛び込むという行為は、将来の安定を捨てたリスクテイキングなものとされがちです。しかし実際には、中身のある経験さえ積めていれば、同年代の新卒以上の実践経験を持った若手を欲しがる企業は山のようにあります。その中の一つであるメガベンチャーに行った場合の体験談を提供することで、逆説的にスモール〜ミドルベンチャーで挑戦する若者を応援できていたら嬉しいです。
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