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資産状況と親子関係に相関はあるか

前回の親ガチャの記事からの流れで、今回はちょっぴり辛辣な内容となりまが、真実ですのでどうかご容赦ください。

私はもう20年以上、シニアが抱える諸問題を解決することで生業を立てています。なので、必然的に周囲はシニアだらけです。飲みにいくのも、8割がたシニアの人たちです(苦笑)。

特に仲のいいシニアのみなさんが、私の還暦祝をしてくれた時のことです。いつも誕生会をやってくださるのですが、人生の節目ということで、ちゃんとしたホテルの個室を用意していただきました。18名もの方が集ってくださり、みなしっかりと着飾ってらっしゃってるので恐縮していると、幹事役のシニアレディからこう言われました。

「これでもう、あなたも本当の意味で私たちの仲間ね。ようこそ高齢者の世界へ!」
「いやいやSさん。高齢者ってぇのは65歳からのことを言うんだよ。だから、それを言うなら5年後の今日でしょ」
「いいじゃないの、Kさん。あなた、本当に細かいんだから。私たちの年齢に近づいたわねって意味で言ってんだから。ねぇ、Sさん」
「こりゃ基本的なことでしょうよ。60と65じゃ大違いだ。山崎さんには、いつまでも若く元気でいてもらわにゃならないんだから」

よくありがちな光景なのですが、どうしたものかと困っていたら、Sさんが場を収めてくれました。

「はいはい、わかりました。わたしが悪うござんした」
「”はい”は一回だけ!」
「もうやめてちょうだい。今日はおめでたい日なんですから、ねぇ。山崎さん、ごめんなさいねぇ。さ、乾杯乾杯」

その後、ひとりずつメッセージをいただき、最後にSさんの補佐役のTさんの番になりました。

「記念すべき日ですから、みんなで山崎さんがいちばんほしいものをプレゼントしたいの。何かある?遠慮なく言ってちょうだい」

お礼の言葉を述べてから、私はちょっと考えてからこう答えました。

「では、折角ですので、お言葉に甘えさせていただきます。金品はありません。私がいちばんほしいもの。それは、みなさんの本音です。いつもいろいろなアンケート調査にご協力いただいて、ありがとうございます。実は今日も、帰りがけにお渡ししたいと思って用意してきました。簡単に書ける内容ですが、ちょっと踏み込んだ質問になっています。私の還暦に免じて、是非、本音でご協力いただけたら最高にうれしいし、とても助かります」

頭を下げると、受諾を示す言動が読み取れたのでホッとしていると、

「そんなことでいいならお安い御用ですよ。私たちごときが、あなたのお仕事の役に立つなら遠慮なく言ってくださいな」
「簡単なアンケートなら、先にちょちょっとすませてしまいませんか。お料理が出てくる前に」
「そうね。そうしましょう。それがいいわ。酔っぱらって忘れちゃったら大変ですからねぇ」

ということで、その場で、「ああでもない、こうでもない」と賑やかにご回答いただいたのでした……。

長くなりましたが、ここまでは前置きです。私が依頼したアンケートは、シニアのみなさんの親子関係を問うものでした。加えて、おカネに関することも。数年前から関心を持って調査している老後の親子関係についてのもので、この時は、「資産の多寡と、親子の接触頻度」の相関性を知りたいと思って用意した内容でした。

普通、なかなか答えにくい設問だとは思いますが、5年とか10数年とかの良好な間柄があり、かつ、参加者の半数は、私がエンディングまでフルサポートをお約束している関係(『さいごまで丸ごと安心パスポート(通称:SMAP)』というサービスの契約者)でもあるからでしょうか、あっさりと、それこそスラスラと回答していただくことができました。

それでは以下に、アンケート調査の結果をご紹介します。

調査対象:18人(70代女性3人、70代男性4人、80代女性9人、80代男性2人)
質問1「何でも相談できる専門家がいるか」 ⇒ はい 18、いいえ0 *超うれしかった!たぶん私のことです。
質問2「何でも相談できる家族がいるか」 ⇒ はい 6、いいえ12
質問3「もしもの時に、すぐに駆けつけてくれる家族がいるか」
⇒ はい 13、いいえ5
質問4「さいごを託す家族を決めているか」 ⇒ はい 12、いいえ6
質問5「そのことを本人に伝えてあるか」 ⇒ はい 5、いいえ13
質問6「家族との接触頻度は」 *電話、LINE・メールも可
・ほぼ毎日(週に2回以上)⇒ 1
・週に一回程度 ⇒ 1
・月に一回程度 ⇒ 2
・隔月一回程度 ⇒ 1
・四半期に一回程度 ⇒ 2
・半年に一回程度 ⇒ 4
・年に一回程度 ⇒ 6
・数年に一回程度(「家族なし」を含む) ⇒ 1
質問7「資産総額は」
・相続税非課税枠以上 ⇒ 5
・相続税非課税枠未満 ⇒ 13

上記に基づいて、「資産の多寡」と「接触頻度」の相関関係を整理した結果は、以下のようになりました。なお、便宜上、相続税非課税枠(3千万円+6百万円×相続人数)以上の資産がある人を「資産多」、相続税非課税枠未満の人を「資産少」。四半期に一度以上接触がある人を「接触頻度高」、四半期に一度も接触がない人を「接触頻度低」としました。

・資産が多く、接触も多い ⇒ 4
・資産は多いが、接触は少ない ⇒ 1 *お子さんがいらっしゃらない方
・資産は少ないが、接触は多い ⇒ 3
・資産が少なく、接触も少ない ⇒ 10

この結果をもって「資産と接触頻度」に相関関係があるかどうかの判断は、読者のみなさんに一任します。サンプル数も少ないし、前提条件が不明確なことも否めません。でも、私としては、まあまあ予測が当たったな…とは感じました。

あと、もうひとつ。
自身のさいごを託したい思っている家族に対して、そのことを伝えていない人がとても多いと感じました。還暦祝に参加してくださった18人は、みなさんずっと私どもの終活講座の常連です。にもかかわらず、この結果であったということに、正直かなりのショックを受けたのを覚えています。

ただ、もっと大勢を対象に行った別のアンケートでも、「9割超のシニアが終活していない(できていない)」という結果が出ていますし、すでに高齢者施設(サービス付き高齢者向け住宅)に入所しているシニアでさえも「8割近い人が終活していない(できていない)」といった具合ですから、まぁ仕方のないことかもしれません。

でも、そなえないというのは本人の自由だし勝手ではありますが、問題は、子どもたちのほうです。親がきちんとそなえておかなかったことのツケは、間違いなく子どもたちに転嫁されることになるのですからね。そう。前回の記事に書いた、”もうひとつの親ガチャ”です。

次回は、エンディングに向けたそなえの在り方のヒントとして、あるふたりのシニアの生き様を比べてみたいと思います。

P.S)三度目のハタチを驀進してまいります……(笑)

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