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熱望

また休みだった。

ここに自然薯を食べさせる店があることを知ったのはおよそ30年ほど前になる。近くを通りかかると必ず寄ることにしているが未だに食べるチャンスに恵まれない。

いつも閉店しているのだ。いや厳密にいうと、開店していたが、売り切れでこれから店じまいという状態が4回ほど。あとは時間帯が外れていて休憩中だったり。

最近も近くを通りかかったら寄ることにしているが未だに食する機会に恵まれない。

なんとしても食べてみたい

自然薯の味を覚えたのが山遊びをしていた子供の頃だった。『山芋』と言ったり、『とろろ芋』と言ったり『自然薯』と言ったりしていた。

『山芋』の語源は多分東南アジアに分布する『ヤムイモ』、『タロイモ』からの転用だと思う。

栽培物ではなく山で自生している『自然薯』は味が格別に違う。服を泥だらけにしても山で掘ってきた『自然薯』を持って帰ると怒られなかった。

掘るのは秋から冬にかけてだが、まず蔓を探しておき成長具合を確かめておく。太い蔓の下には大きな芋がある可能性が高い。崖のふちを狙ったり掘りやすい場所を探しておく。

最近は体力がないので市販物に頼るが、ほとんど栽培物で全く物足りない。

仕方なく、自然薯を食べられるお店を探し回り、丸子まで出かけた。天然物ではないが、我慢出来るほどのものだった。

3度目に行った時に、辺りをぶらぶらと散歩していたら作業中の地元のお百姓さんに話しかけられた。

「あんたたちは、どうして本店に行かずにそこのお店に行くのかね?そこは番頭さんのやっているお店だよ、本店はそこ。」と教えられた。

食後で、食べ直すことは不可能だったので、もう一度出直すことにしている。





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