ある一つの芽から伸びた柔らかな草はすぐに堅い木となり、より高くより太く成長を続けやがてその先端に無数の枝葉を茂らせるに至った。今やもう彼の顔は見えないけれど、きっと似ても似つかぬ顔に変わってしまったのだろうけれど、それでも同じ中心を持つ我等はその生命を共有していると信じる。唯一の大地、根はふわふわと頼りなくしかし複雑に食い込み水流はとぎれることがない。生きることが生きていることを証明する。並び立つ無限の蒼炎は消えては点る、消えては点る。完全になろうとして夢は醒める。半分を自覚して悪魔に引導を渡す。螺旋は動いているようで本当はずっとそこに居るのだと、風が囁いて教えてくれた。明滅する全ての現象に賛歌を捧げる。ありがとう、だから生きるのです、だから死ぬのです、そこに居てくれてありがとう。