どこまでも、いつまでも、世界は己の為のみにあり、己自身であり、永遠に、永遠に、唯独りであり続ける。誰かを頼りに生きようとしても、誰かの為に生きようとしても、誰かに自分を定義させて生きようとしても、帰趨は明らかに、唯己のみである。行き場の無い憎しみは、やがて疲労に昇華し骨身に浸み渡る。溢れ出る悲しみも、焦るほどの高揚感も、結局は単純な運動へと変化し、心臓の振動に紛れていく。
人生は、何もかも夢で見る幻より不鮮明な記憶の塊でしかないし、嘘と思えば嘘と思えるくらいに曖昧で輪郭など見えない。人は夢を積み重ねているのか、夢で得た経験をまた夢に反映させているのか、生きるという意識の続く限り現実という夢の質量を集めては零し続けている。所詮は、一握りの砂よりもありふれた星の残滓たる我々である。