自分の命が尽きる光景をどうすればこの眼で見ることが出来るだろう。いや、そもそも自分を自分の眼で見たことさえ無い。この眼で見る自分とは常に反射され新たに結ばれた虚像でしかない。この眼で確認出来るものは既にこの身を離れた老廃物でしかない。視界の死角に於いて実はこの身とこの首が繋がっていないかも知れない。確かなものなど何もない。他人は言うに及ばず、自分自身でさえもその実体には何らの保証も無い。死とは何だろう。自ら動かないこと、反応しないこと、増殖しないこと、復元しないこと、形のないこと、どれもこれも死を定義するには死の本質を捉えていない気がする。世界を失うこと、これは少し近いんじゃないだろうか。命尽きる光景を見たい。