安心感。肉親の有り難さとは、切っても切れない切りようが無い関係性、無条件の連帯。具体的な支援ではなく、存在しているという事実だけで世界を彩ってしまう、人格の基礎の一部を形成する、礎石のような安心感だ。それだけでいい、それ以上はむしろ余計だ。だからなるべく関わらない。関わるほどに足が重くなるから。大気のように当然に在るもの、それは生死さえ問題ではない。愛、感謝、恨み、憎しみ、わだかまり、放置された感情、それら全てが大したことではない。風に、吹くんじゃない、と叫んでも無意味だ。大気に、漂うな、と訴えても無駄だ。解決や、整理や、残置など、何ら問題ではない。安心感とはそういうものだ。