何でもいい。仏だろうと神だろうと、生まれた罪を許す理由を与えてくれるなら、誰にだって帰依してやる。我々の思想に道筋を示し、迷いを断ち切り、首輪を付けて引張っていってくれ。不味い餌にも、狭い小屋にも、理不尽な叱責にも、黙って耐えてやるから、この魂の従属先をくれ。気を抜くと何処かに飛んでいく世界、足下が不安で不安で仕方ないんだ。ナイフリッジを爪先立ちで歩く恐怖、あまりにか細く頼りない自我、生きることは、なぜこんなにも苦しいのか。こんなにも苦しいのに、なぜ生まれてくるのか。皮肉な口を叩くのは、せめてもの抵抗だ。この苦しみを楽しんでやるという、やけくその悲しみだ。