ゴッホ展⑥ 夜のプロヴァンスの田舎道
『夜のプロヴァンスの田舎道』の美しさは計り知れない。
オパールのような星の光、紺青の夜空、黄色の畦、水色の道の色彩のバランス、オブジェのような糸杉。
これほど美しい絵なのに、この絵を観て私はムンクの「叫び」を思い起こし、胸がざわついたた。その原因は「うねり」だ。ぐにゃぐにゃした道と、大きくうねった筆の跡が残る夜空、そして画面中央に煙のようにゆらりと立っている大きな糸杉。「うねり」が孕む動的エネルギーは静止画の印象を剥奪する。そして、「うねり」はどうしても人を不安な気持ちにさせ