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しっかりと食べるために

今日11月8日は語呂合わせでいい歯の日ですね。今週はいい歯で良い食事にするためにお子さんの食事について気にしていただきたいことについて投稿したいと思います。
食べるの変化
お子さんの食事に関して、食べるのが遅い、あまり噛まずに飲み込んでいる、食べるときにクチャクチャ音を立てて食べる、などでお悩みのご家庭も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。
大人にとって食べるという行動は自然に食べられるようになってきたと思いがちですが、実際は何もしないで育つものではなく、段階を踏んで育っていくものです。
人間の食べるという機能は正しく食べることで発達していきます。赤ちゃんの時は液体しか摂取できない口が、次第にドロッとしたペースト状の物が食べられるようになり、次いでバナナや豆腐を舌や歯ぐきですり潰せるようになります。歯が生えてくると軟らかい固形物が食べられるようになり、さらに成長が進むと肉などの噛み切りにくい物でも噛んで食べられるになるというように段階を経て成長していくものなのです。
ただ、近年この食べる機能が発達しないお子さんに不安を覚える親御さんもいらっしゃるようです。
食べるためには「食べるために必要な歯が生えているか、その歯は健康か、よく噛める噛み合わせになっているか」、「噛み合わせなど協調運動させる筋肉や神経が発達しているか」、「お子さんに食べたいという意欲があるか」などが必須条件となります。
ただ、これら必須条件以外にも大切なことがあります。それは「食べる姿勢」。食べるときの姿勢は食べやすさ、食べにくさに直結し、口の動きや舌の動きのほか、誤嚥や窒息の予防など「安全な飲み込み」にも関係してきます。少し気を付けるだけでも改善しやすいことでもあるので是非意識してみてください。

食べる姿勢
では食べる姿勢とはどういう姿勢が良いのかですが、次の絵の左が良くない姿勢、右が正しい姿勢になります。それぞれの姿勢の違いは机と椅子の高さ、顎の角度、背筋が伸びているか、足が床についているかです。

食べるための正しい姿勢とは、顎が上がらない、背もたれに寄りかからずに背筋が伸びている、机と椅子の高さが体に合っている(肘と膝の角度は90度くらい)、足の裏全体が床についている(足が届かなければ台を置く)、これら全てができている姿勢になります。
大人から見ると当たり前のことのように思えますが、大人と同じ机と椅子に座っていると子供の場合姿勢が崩れてしまうこともあります。ご家庭でお子さんが正しい姿勢で食事をできているか確認してみて、悪い姿勢であればすぐに正すようにしましょう。
正しい姿勢で食べるということは、よく噛めて安全に飲み込める姿勢です。食べやすく飲み込みやすいだけでなく、お口の筋肉も動かしやすいのでお子さんの食べる機能の成長が自然と促されます。

正しい姿勢が必要な理由
先ずは顎が上がらない。飲み込む時に顎が上がっていると、食べ物が気管に入りやすくなります。これは高齢になってお口の機能が弱ってきた場合、誤嚥や窒息のリスクにもなります。お子さんのうちから顎を上げない正しい姿勢での食べ方を身に付けておくと将来的にもとても役に立ちます。
次に背筋が伸びている。大人の方も試してみればお分かりになると思いますが、猫背で体が前に傾いている時と背筋が伸びた状態では背筋が伸びた状態の方が食べやすいはずです。前傾姿勢だとお口周りの筋肉が動かしにくいと感じるはずです。逆に、背筋が伸びた状態だと体幹が安定するのでお口周りの筋肉をスムースに動かしやすくなります。前歯で噛み切って奥歯で咀嚼するという理想的な口の動きをしやすくなります。
次いで机と椅子の高さがあっている。食べることは手と目と口の協調運動です。机の高さが合っていないと手を動かしにくいので食べにくく、さらに机が高すぎると美味しい料理を作っても皿の中の料理が見えません。お子さんは机や椅子を選べないので、机が高すぎるなら椅子にクッションを敷く、椅子が高すぎるなら足元に台を置くということで高さを補いましょう。手ごろな台が無い場合は厚手の雑誌などを束ねるなどして足の高さに合わせてください。
最後に足の裏全体が床についている。こちらも試していただくと分かるかと思いますが、何かを飲み込む時に足の裏を床に付けて飲み込むのと、足の裏をブラブラさせて飲み込むのでは圧倒的に足の裏が床に付いている方が飲み込みやすいものです。飲み込む時は一度息が止まり、気管が塞がって食道が開きます。その一瞬の緊張状態に踏ん張ることで飲み込みやすさがまったく変わってきます。前述の椅子の高さがあっているでも書いたとおり足の裏が床に届いていない場合は、何か台になるものを置いて足を踏ん張れるようにしてください。
お口の筋肉をしっかりと動かして食べられるようになることで顔や顎の成長、発達に繋がるほか、舌や頬を動かす力や唇を閉じる力が付いてきて、歯並びやお口ポカンの防止にも影響してきます。
ちなみに、食べる姿勢は私たち大人にもとても大切なことです。お子さんだけでなく大人も今一度ご自身の食べる姿勢も見直してみてはいかがでしょうか。


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