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148 特殊なバイリンガル教育で育ててもらったものは。

娘が中学・高校の6年間、特殊な教育の学校で学んだこと、育んでもらったことを考えると、本当にいろいろあるなと思います。

今回は、それをちょっとまとめてみました。


① 日本語と英語が、同時にしっかり身についたこと。


まずは、各クラスに日本語のネイティブの先生と英語のネイティブの先生の2人担任で、1つの教科を今日は日本語、明日は英語という感じで、完全な2言語で学べたこと。
それも体験学習が中心なので、授業中に眠くなるようなこともないし、ただ単語を暗記したわけでもありません。

変にどちらかが中途半端にもならず、娘の中に日本語と英語の2つの言語の柱がしっかりできあがっていました。

バイリンガルの土台ができると、他の言語も入りやすく、マルチリンガルになることも可能。
選択授業では、中国語やフランス語、イタリア語などもあったので、それらが得意になった子たちもいたようです。


② 楽しく勉強できたこと。


少人数制や先生方の素晴らしい指導のおかげもあって、文字を読むことにやや障害のある娘が、嫌いな教科もなく落ちこぼれることもなく、楽しく勉強できたのは本当によかったと思います。

たとえば、国語の授業は東大院卒の先生に6年間お世話になったんですが、決して娘の弱点を指摘されるようなことはありませんでした。

普通なら、漢字が苦手で本を読むのが難しい娘には、
「漢字の書き取りを重点的にやりなさい。」
「毎日本を読みなさい。」
みたいな指導がされるでしょう。
でも、それでは苦手がもっと苦痛になり、国語が嫌いになってしまいます。

それより、楽しく国語を学べるようにしてくださり、たとえば年明けには毎年百人一首大会が。
娘は熱心に覚えて、勝ち上がっていっていました。
百人一首はひらがなのみだから。(笑)


普通の学校のように教科書に載っている作品を読むのではなくて、先生がレベル別に数冊ずつ用意した本の中から自分で選んだり、全員で同じ作品を読んだり。

参観で見た様子では、5人くらいのグループでテーブルに座り、読んでいる作品について先生がすごい速さで一人ひとりに質問を投げかけていきます。

「ここの『〇〇』という言葉は、どう言い換えることができる?」
「ここの文章は、何を意味していると思う?」

それらの質問は、テストのようにただ正解を求めてるわけじゃありません。
どう思うか、どんな見方ができるか。
論理的・批判的な思考を育て、多角的に考えさせる訓練をしてくださったおかげで、娘なりに少しずつ読む力がついていき、その成果は大学に入ってから出てきていました。


③書く力がついたこと。


中学の3年間お世話になった、ハーバード院卒の英語の先生には、たくさん本を読む指導をしてくださったことで、英語の土台をしっかり作ることができ、 同時に「もっとクリエイティブに!」 という創造性を叩き込んでいただいて。

さらに高校では別の英語の先生が、以前書いたように書くことをものすごく丁寧に指導してくださいました。
様々な文章表現の方法を、詩や物語、論文を書いたりすることで徹底的に訓練。


おかげで、それまでの娘の学力からは想像もできないような文章を書けるようになって、それがアメリカの大学に入ってから、また仕事をするようになってから、とても役立つことになったと思います。


④コミュニケーション力がついたこと。


この学校では、社会に出てからそのまま役立つような力を身につけさせてくれましたが、中でも1番よかったのは、コミュニケーション力がついたことだと思います。
授業の中でも、ディベートやディスカッションを訓練。

日本では話し合うというと、小学校の学級会に代表される
「〇〇くんがいけないと思います!」
的な、正しいか間違っているかという議論になりがちじゃないでしょうか。

でも、ディスカッションというのは、目の前のAかBかとは限らず、今見えていないCやDのよりよい答えを見つけていくためのもの。
そのために、ディベートという、1つのテーマについてあえて賛成派・反対派などに分かれて、両面から考える練習もします。

自分の意見を論理的に組み立てて伝えること、相手の話を聞くこと、そして同時に多様な角度から考えること。
それができるようになると、単に正しいか間違っているかではない、建設的な議論ができるようになるでしょう。


そんな話し合い方を始め、さまざまな年齢、さまざまなバックグラウンドの子たちとグループプロジェクトなどで関わり合うことで、娘は多くの人とコミュニケーションをしたり、共同作業したりすることに慣れていきました。

こうしたコミュニケーション力を鍛えられた生徒たちは、お互いにとても仲良くなって、学校でも放課後でも男女関係なく10人以上で遊んだりして。
卒業して5年経っても、その仲は続いています。


⑤ 個別の能力が磨かれ、将来が明確に見えたこと。


普通の学校では机上で学ぶだけなので、高校生の時点で自分が将来何をやりたいかを見つけるのはなかなか難しいですよね。

それがこの学校では、多種類の選択授業でいろんな体験ができたため、生徒たちは自分の興味のあること、適性を見つけやすく、高校の時点で将来の方向性が見えている子が多くいました。

最近も、プロの方を招いて通訳を学ぶ授業や、オーケストラの生演奏で舞台劇を行う授業など、実践的でおもしろい選択授業が次々行われているようです。


でもそれ以前に、どんな子もそれぞれの個性が認められ、障害があろうと性的志向が違っていようと、そのままで自分のよさを磨いていけていて。

だから、この学校の子たちは自己肯定感が高い子が多いというのが、一番いいところかもしれません。


他にもこの学校で得られたこと、身についたことは書ききれないほどです。
自分で学び考えること、行動すること、自分を信じること。

一言で言うと、世界のどこでも生きていく力がついたこと。
娘の人生に必要なことの多くが、この学校で学べたんじゃないかと思います。

いつの日か教育がもっと多様化されて、こんな学校が全国にできてほしい。
それも公立で。
と思うのは、私だけでしょうか・・・?


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